Cinem@rt エスピーオーが運営するアジアカルチャーメディア

モー・ズーイー、公視の番組で自身を語る「自分は矛盾した人間」

ニュース提供元:台湾公共テレビ(公視/PTS)

公視の番組「保持聯絡/Alone Together(原題)」が、金馬奨受賞歴がありながらも、なお控えめな俳優モー・ズーイー(莫子儀)をゲストに迎えた。司会のリー・ミンツォン(李明璁)やリー・ペイユー(李霈瑜)と共に、あらためて「一人でいることと寄り添うこと」について考える。


スクリーンの前で常に神秘的な雰囲気を醸し出すモー・ズーイーは、私生活でも一人でいることを好む。先だって、新型コロナウイルス感染症が拡大し台湾全域で警戒レベルが上がった際は、誰もが長い時間一人で過ごすことを強いられた。

ズーイーは、「オンラインで朗読イベントをしたり、劇場の友達とオンライン出演に挑戦したりして、皆と共に過ごそうとした」と、コロナ禍においての活動を明かした。ペイユーは、「ズーイーさんは時代に先駆けている。元々は一人が好きなのに、コロナ禍には逆に自分の情熱と専門を生かして人を助けるなんて尊敬する!」と手放しで称賛した。

  

著名人は、人前に出る機会が多い。そのような仕事と一人が好きな性格とどのようにバランスを取っているのかとの質問には、「子どもの頃から、自分がとても矛盾した人間だとわかっていた。歳を重ねるうち、少しずつ矛盾する感情を受け入れられるようになり、そうした矛盾は時に自分がいる社会と無関係ではないことに気づいた」と答えた。

また初めて芝居に接した当初、最も衝撃を受け啓発された感覚は、「自由」だったという。「芝居を通して、人が本来持つ多くの面を知った。これも役者としての重要な使命で、誰もが唯一無二の存在だということを世界中の人に知ってもらいたい」と話した。

コロナ禍では、皆が欲を抑えることを強いられたが、その中で多くの人が諦められないものは何かを考えさせられた。ズーイーは、何もない状況で求めるのは「ペン」だとし、「一本のペンがあれば、感じたことを書き留められる。どうすればいいかわからない、世界から取り残された感じがするという人たちにも『君たちは孤独じゃない。私もその感覚はわかる。私も一緒にいるよ』と伝えることができる」と、共感を通して寄り添えたらと話した。

孤独や一人でいることは、往々にしてマイナスなレッテルを貼られがちだが、ズーイーはその点に対して同調しない。泰然と孤独に向き合い、その中で自分と付き合うのは勇気がいることだ。毎日ポジティブで精一杯頑張ることが、コロナ禍を過ごすために必要なこととも限らない。ミンツォンは「一人でいることは、ネガティブな感情ばかりではなく、ヘッドフォンをつけて好きな音楽に聴き入り、自身に安らぎを与えるようなもの。それもまた素晴らしい人生の経験」だと表現した。

「保持聯絡/Alone Together」は全シリーズ13回。毎週土曜午前10時から台湾公共テレビ(公視/PTS)で先行放送のほか、同日夜8時から公視+、Youtubeの公視 PTS 臺灣チャンネルで配信中。




翻訳・編集:二瓶里美
編集者、ライター。2014年より台湾在住。中華圏のエンターテインメント誌、旅行情報誌、中国語教材などの執筆・編集に携わる。2020年5月、張克柔(字幕翻訳家・通訳者)との共著『日本人が知りたい台湾人の当たり前 台湾華語リーディング』(三修社)を上梓。2017年4月より、ラジオ番組「Asian Breeze」では台湾の現地情報を発信するコーナーを担当中。

記事の更新情報を
Twitter、Facebookでお届け!

TOP