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サスペンスが生まれる?! 中国式結婚の作法:前編|中国時代劇トリビア#67

真っ赤な衣装に身を包み、祝いの日を迎える結婚式。めでたい席にも関わらず、時にはまさか!と驚きの展開を迎える場面となって、時代劇には登場したりもしますよね。

今回は、この中国式結婚のお作法や儀式がどんなものなのか、そしてドラマではどんなところがサスペンスポイントとして使われるのか?を交えて探っていきたいと思います。

 
「明蘭~才媛の春~」での結婚式のシーン。時代によっては、緑色の婚礼衣装も


古代中国で結婚をする際には、結納のしきたりがありました。

中国の結納の歴史は古く、西周の時代(紀元前1046年~紀元前771年)にはすでに厳格な婚姻の規定があり、それが、漢の時代(紀元前202~紀元後220年)に至って「六礼」という6段階の婚礼手続きとして完成されたそうです。以来、中国では数千年の間、「六礼」が伝統的な婚礼の範例となっていました。

この六礼とは、

①「納采」男性側が仲人を介して女性側へ礼物を贈り、求婚をすること。礼物を受け取ることで求婚承諾とする。
②「問名」女性側へ礼物と招待状を届け、吉凶を占うために女性の姓氏を問い、生年月日時(干支)を尋ねること。
③「納吉」男性側が自邸の先祖位牌の前で占いをし、結果を女性側に教えること。
④「納徴」占いの結果がよければ、女性側へ貴重品の礼物を贈り、正式な婚約とする。
⑤「清期」男性側が結婚式の期日を選び、礼物とともに女性側へ伝え女性側の承諾を待つ。
⑥「親迎」新郎と仲人が礼物を持って女性側へ出向き、花嫁の親と先祖祠堂に排謁し、花嫁を輿(こし)(花轎)に乗せ男性宅へ迎え入れる。

というしきたりがあり、この意義とは六つの礼を尽くし、生涯における大切な儀式を執り行なおうとすることなのだとか。

この中の①「納采」が、日本の「結納」にも取り入れられ、皇室では「納采の儀」として現在も行われています。

また、“夢”や“神獣”などのトリビア(※)でも取り上げましたが、相性を占ったり、式の日取りを決めたりするのにも“干支”が登場しており、干支と生活の深いつながりを感じますね! 現在の結婚式の日取りでも、やはり二人の生年月日などから、占い師さんに吉日をみてもらい、選ぶことが多いそうですよ。


こうした「六礼」のしきたりを見ても分かるとおり、昔の婚姻は、本人たちの意志によるものではなく、両家の親や親族同士が婚姻を決定し、式の準備を進めていきました。

このため、式の当日まで当人同士はお互いの顔を知らないことが多く、ここがドラマでよくある「まさか、相手がこの人だったなんて!?」というサスペンスポイントとして描かれたりします。


「海棠が色付く頃に」では当日まで新郎の顔を見ることが無かったため、ヒロインは結婚式当日に結婚相手が想いを寄せる弟ではなく兄の方だと気が付く。


後編へつづきます

Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。『台湾エンタメパラダイス』『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)にて執筆記事掲載中。

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