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中国ドラマのブーム!? "成長型主人公" について考える 前編:情熱型と和解式

過去4年間に好評を博した多くのインターネットテレビドラマを通じ、成長型主人公の成長方法は大きく2つのカテゴリーに分類できる。

情熱的な成長を遂げるタイプ

1つは情熱的な成長を遂げるタイプ。このタイプのほとんどは、独自のインスピレーションを備えており、周囲からの圧力に対抗する強い行動力も持っている。そしてこのタイプは、人気の俳優が主演を務める大型時代劇でよく見られる。

例えば、「長歌行」の李長歌、「夢幻の桃花~三生三世枕上書~」の白鳳九、「琉璃(原題)」の褚璇璣、「明蘭~才媛の春~」の明蘭、「瓔珞<エイラク>〜紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃〜」の魏瓔珞、「闘羅大陸(原題)」の唐三、「蒼穹の剣」の蕭炎などが代表的だ。

特に主人公が女性の場合、彼女たちのキャラクターは往々にして「美しく、強く、悲惨」と特徴づけられる。そこに男性主人公との苦しい恋、もしくは因縁の仇といった条件が絡み、やがてヒロインは自立自強の心を持って“仕事も恋愛も失敗しない”成長を遂げ、多くの視聴者から共感を得られるキャラクターが形成されていく。

もしドラマの主題が社会問題と結びつくことができれば、ヒロインの成長はより普遍的な重要性を持ち、世論の高い注目を集めることになる。

「明蘭~才媛の春~」では、チャオ・リーイン(趙麗穎)演じるヒロイン明蘭は、家族の問題や夫婦の関係、そして家長制度という古い束縛から解放されて、女性が自立して生きる方法を見出していく。こうしたテーマは社会的価値や評価も高く、古代中国の自立した女性の代弁者としての位置付けをも獲得した。

一方、主人公が男性の物語では、逆境の中で運命を変えていくスタイルが定番となりつつある。

シャオ・ジャン(肖戦)が演じた「闘羅大陸」の唐三は、幼い頃に母親を亡くし、闘羅大陸で強くなるために戦いや修行を続け、やがてリーダーへと成長していく。ウー・レイが演じた「蒼穹の剣」の蕭炎は、最初は家族が災難に見舞われ武芸の力も失うなど、どん底であったが、3年の時を経て運命の転換点を迎え頂点に達する。

こうした男性主人公たちの成長物語では、女性主人公に見られた「美しく、強く、悲惨」という特徴以外に、子どものようなピュアな心が際立って描かれている。むしろこうした脆さを打ち出すことで、成長後にまばゆいばかりの輝きを引き出すことができるのだ。

「陳情令(原題)」から「山河令(原題)」まで、男性キャストがダブル主演するドラマにおいては、男性主人公の成長は、二人の運命、そして強い絆と切り離せないものであり、そこが視聴者を深く感動させ、二人の成長にも満足できる。

リー・イーフォンが演じた「号手就位」の夏拙のような熱血タイプの成長型主人公は現代ドラマに登場することが多く、より多様だ。

このようなタイプは、民国劇、サスペンス、eスポーツ、トレンディドラマなどでよく見られる。現実的なテーマのドラマは視聴者にとって親近感があり、主人公の思考論理、言葉、行動は共感を得られやすい。彼らの成長過程は現代の時代背景や生活環境と密接に関連しており、視聴者の日常にも近く、人々の心にも届きやすいともいえる。



和解式成長を遂げるタイプ

2番目のカテゴリは和解式成長を遂げるタイプ。

このキャラクターは、人生によって磨かれた後も、退廃的で悲観的な情緒を底辺に持ち、自己防衛する固い殻を持ちながらも、自分自身の中にある矛盾と折り合いをつけ、周囲の力を得て成長するタイプだ。「安家(原題)」でスン・リー(孫儷)が演じた房似錦、「穿越火線」でルハン(鹿晗)が演じた肖楓などが挙げられる。

さらに情熱型と和解型を組み合わせた主人公、例えば「有翡(原題)」でチャオ・リーインが演じた周翡のようなキャラクターも増えており、新しいアイデアが次々と産み出されてきている。


後編:独立性と許容性 につづきます


翻訳・編集:Cinem@rt編集部

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