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【特集】アジアのお弁当を知りたい!<ベトナム編>#2:人気のお弁当箱は、ガラス容器や三段重ね

「暖かくなってきたから、外でお弁当を…。」学校や職場、行楽行事と、暮らしのなかにお弁当が定着している日本では、春になると、こんな会話が聞こえてきます。では、年中、常夏の東南アジアの人たちは、どのように昼食タイムを過ごしているのでしょうか?
そこで今回は、ベトナムのお弁当事情をリサーチ。ホーチミン在住の日本人パワーブロガーで、フードアナリストのちぇりさんに教えていただきました!

\\韓国・台湾・インドのお弁当事情はこちら//


人気のお弁当箱は、ガラス容器や三段重ね

お弁当を勤務先などに持っていく、という人の話を聞いていると、タッパーではなくガラスの容器を使っているという人も多くいました。「重くないの?」と聞くと、「なんとなくずっと使っているから」と答える人もいましたが、「洗うのが楽だから」という返答が多かったのも印象的。

油との親和性が高いプラスチックのタッパーは油汚れを落としにくく、また、傷がついたところに汚れが滞留しやすい。一方、ガラスの容器は傷がつきにくく、簡単にきれいに油汚れを落としやすい。結果、ガラスの容器のほうが衛生的である、という事実があります。そこの安心感が、感覚的に使い心地の良さに繋がっているのかもしれませんね。

さらに調べてみると、よく話に上がってきたのがステンレス素材の3段重ねのお弁当ケース。なかなか大きな容量で、1段にはご飯、もう1段にはスープを入れることが多いのだとか。もちろん何を入れるかは個々人の好みで上記の限りではありませんが、例えばお弁当に2段分のスペースを使って、1段には果物を入れるなど、おやつにも活用するケースもあるようです。


3段重ねのお弁当箱。ガッチリとロックされるので汁物でもこぼれることがありません

三段それぞれに分けられたおかずやご飯



スープ必須文化が生み出した魅惑のお弁当箱とは!?

さて、お弁当にスープを持参する話に触れましたが、ベトナムではお食事時にスープを一緒に並べるのが常。日本人も朝食には味噌汁を当たり前に食べますが、ベトナムでも食事にスープは「なくてはならない」と思う人が多く、外食時でもスープなしで食事をしていると、「スープは頼まないのですか?」と何度もお店の方に聞かれることがあります。

そのくらいこだわりが強いからこそ、お弁当にもスープを持ってくる人がいる、となるわけですが、そうなると温かいスープを飲みたいと思う人も出てくるようで…。

スープジャーのように保温できるタイプのお弁当箱もありますが、なんと、食べる前にスープやおかずを温めつつ、同時にご飯も炊けてしまうお弁当箱を発見!

こうなるともう、お弁当というより立派な調理器具で、これをオフィスに持ち込んでいる人がどのくらいいるかはわかりませんが、市場には同系統の商品が出回っているようなので、そこそこ使われているのかもしれません。

栄養学的なことはまだ一般に浸透していない感のあるベトナムですが、そもそも食事の時には「野菜をたくさん使った温かいスープを飲む」という習慣があり、体に優しい食文化があるのは素晴らしいし、それがお弁当にまで生かされるというのは、日本人も見習いたいポイントかもしれません。



ベトナムでは、スープは食事の時に当たり前に食べるもの

スープを入れる枠があるお弁当ケースも!


#3:コロナ禍で加速。日本スタイルのBENTOの広まり につづきます


Text:ちぇり
フードアナリスト


ベトナムに在住9年。ホーチミンを中心に、日本と東南アジアを合わせると3500件以上の飲食店や食材をレビューしている、食べるのも作るのも大好きな食いしん坊ブロガー。
「フードアナリストちぇりのホーチミンの美味いもん」https://cheritheglutton.com


Q. ちぇりさんの好きなお弁当のおかずは?
A.たこさんウインナー。

写真提供:ちぇり
Edited:
野田智代(編集者、「韓流自分史」代表)

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