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「元宵節」ってどんな行事?|中国時代劇トリビア#80

「華麗なる皇帝陛下(エンペラー)」「驪妃(りひ)-The Song of Glory-」のグー・ジアチェン最新主演作「玲瓏姫-The Wolf Princess-」は、野性的でヤンチャな将校と、二つの人格を持ったヒロインが繰り広げるファンタジックラブコメディー。今回はこの物語に登場する気になるトピックを詳しく探っていきます!
 

元宵節ってなに?

出会った時から、まったく気の合わない玲瓏と炎青。そんな2人の関係がちょっぴり近づくきっかけとなるのが、元宵節のお祝いでした。この元宵節とは一体どんな行事なのでしょうか?

元宵節は旧暦の元旦である春節から数えて15日目の満月の日を言い、お正月最後の行事となります。古代中国では夜を「宵」と呼び、15日は一年の中で初めの満月の夜となるため、正月15日を元宵節と呼ぶようになりました。家々に赤い提灯を提げ、家族揃ってご馳走や“元宵”というお団子を食べるのが習わしです。


「玲瓏姫-The Wolf Princess-」ⓒJetsen Huashi Wangju Media Co., Limited

元宵節の由来は漢の文帝が正月の15日、戦いに勝利したことを民衆とともに祝おうとして始まった行事だそうです。その後道教や仏教の行事と混じり合い、今の元宵節になっていきます。やがて、隋、唐、宋と時代の移り変わりと共にさらに大きな行事になったという元宵節ですが、その裏には厳しい生活上の取り決めがありました。

古代中国では、町の治安を維持する目的で、周の時代から夜間の外出が禁じられていたため、夜間に自由に外出することは許されていませんでした。特に、身分ある女性は普段から家の中から出ることはなく、厳しい制約を受けていました。

しかし1年のうち、この元宵節だけは、その慣例を破り、庶民も夜通し外出して遊ぶことができ、男女とも朝まで歩きまわってお祭りを楽しむことが許されたそう。そのため元宵節の夜は、男女にとって絶好の出会いのチャンスであり、まさにドラマで玲瓏と炎青が楽しんだようなトキメキ満載の場面となっていたようです。


「玲瓏姫-The Wolf Princess-」ⓒJetsen Huashi Wangju Media Co., Limited

この楽しいお祝いの日に食べるのが、「元宵」。黒ゴマ餡や小豆餡、ピーナッツ餡などが入った白くて丸いお団子状のもので、北京を中心とした北方地域で食べられているのが元宵(ユエンシャオ)で、江蘇省や浙江省を中心とした南方地域で食べられているのが湯圓(タンユエン)なのだそうです。

米の粉で作ったお団子を茹でる…という基本的な作り方は一緒ですが、この2つの違いは、粉の上で転がして作るのが元宵、生地で餡を包んで作るのが湯圓となるのだとか。いずれも、家族皆が新しい一年を幸せに健康に過ごし、すべて円満であるようにとの願いを托した縁起の良い食べ物なのです。

2022年の元宵節は2月15日。おいしいお団子をお供に、月の夜を楽しんでみるのも良いかもしれませんね。

Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。Cinem@rtにて「中国時代劇トリビア」「中国エンタメニュース」を連載中。『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『見るべき中国時代劇ドラマ』(ぴあ株式会社)『中国ドラマ・時代劇・スターがよくわかる』(コスミック出版)などにも執筆しています。

このコラムに登場した作品

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