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ウー・カンレン出演の叙事詩ドラマ「斯卡羅SEQALU」8月~放送開始!予告映像公開中

ニュース提供元:PTS台湾公共テレビ(公視)

PTS台湾公共テレビ(公視)は3月12日、制作に3年の歳月を費やした叙事詩ドラマ「斯卡羅 SEQALU:Formosa 1867(原題)」(全12話)の放送を、8月14日より開始すると発表した。

原作はチェン・ヤオチャン(陳耀昌)の小説『フォルモサに咲く花』(原題:傀儡花)。ツァオ・ルイユエン(曹瑞原)監督が映像化を手掛けた本作は、屏東、台南、新北、苗栗などで135日間にわたり撮影された。

   

「斯卡羅」(※1)は、実際に起きた歴史的な事件をモチーフにし、その事件が国際的に及ぼした影響を描く物語。1867年3月12日、恒春半島の南端で座礁した米国の商船ローバー号の船員がパイワン族に首を落とされたことを発端に事件は引き起こされた。俗にいうローバー号事件である。

米軍と清朝の軍がそれぞれ出兵し、さらには「原住民(※2)」のマカタオ族、客家人、移民してきたビン南(福佬)人との対立までを引き起こしていく……。6分40秒にわたる予告映像の驚くほど壮大なビジュアルから、映画スケール並みの製作規模がうかがえる。

注釈※1  斯卡羅(パイワン語:SEQALU):かつて台湾の恒春一帯に存在した、プユマ族、パイワン族、アミ族ら原住民による政権、またはそこに属する民族
注釈※2  原住民:台湾の先住民の正式な呼称


ツァオ監督は「台湾の運命を左右した、154年前のローバー号事件と同じ日に発表することに特別な意義がある。本作を通して、台湾で重要な位置づけにあるこの史実を再認識し、異民族の文化の尊重、フォルモサの感動的な生命の物語と魂を一緒に感じてもらえたら」と話した。


ローバー号事件による波紋を収めるため調査を行う米国領事ルジャンドルを、台湾在住のフランス人俳優ファビオ・グランジョン(法比欧)、ルジャンドルの通訳を務める客家人と原住民との混血の少女・蝶妹を、ウェン・チェンリン(温貞菱)が演じる。パイワン語、英語、客家語、ビン南語などに精通し、アイデンティティーに揺れる役どころを演じた彼女は、「これまでで一番大変な役だと感じるが、私たちを歴史の重要な分岐点に立ち返らせてくれたことに感謝する」と話した。

ウー・カンレン(呉慷仁)は、部族の存続のためビン南人、客家人と調停役を担う社寮の頭目・水仔を演じる。彼はこの役のために、徹底的に日焼けしたほか半月で11キロ減量し、パイワン語や客家語も学んだ。猜疑と不安に満ちた目つきと猫背で、大きな時代を生きた飢えた庶民を存分に表現している。

また、本作に欠かせない3人の重要な原住民の役は新進気鋭の俳優が務めた。斯卡羅族の酋長・卓杞篤(Tokitok)を演じたCamake Valaule(査馬克・法拉屋楽)、副酋長の伊沙役のMassuke Szuke(雷斌・金碌児)、ローバー号事件を引き起こしたKuarut部落(※3)の頭目・巴耶林役のユー・ジュールー(余竺儒)らの驚くべき演技力は、予告映像でも見ることができる。

ツァオ監督は「パイワン族のCamake ValauleとMassuke Szukeを積極的に起用したのは、作品を通して原住民の物語を表現したかったからだ」と話した。普段は屏東の泰武小学校で古代民謡伝承隊の指導教師を務めるCamake Valauleは、「部落の人や友人から大きな励ましを受けた。この役が正しい考え方による立場から、私たちが伝えるべき物語を語ってくれるよう願っている」と話した。

注釈※3  部落:主に台湾原住民の村落・集落の呼称

「斯卡羅」は、当時の清朝がローバー号事件の発生場所を「統治の及ばない地」と見なしていたこと、のちの「番地無主論」など、台湾の未来に影響を与えるきっかけとなった国際的な事件を描いたドラマとして、初回の放送に大きな期待が寄せられている。




翻訳・編集:二瓶里美
編集者、ライター。2014年より台湾在住。中華圏のエンターテインメント誌、旅行情報誌、中国語教材などの執筆・編集に携わる。2020年5月、張克柔(字幕翻訳家・通訳者)との共著『日本人が知りたい台湾人の当たり前 台湾華語リーディング』(三修社)を上梓。2017年4月より、ラジオ番組「Asian Breeze」では台湾の現地情報を発信するコーナーを担当中。

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