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【新作ドラマin台湾】8/14放送開始の「斯卡羅」、先行上映会で絶賛の嵐! ウー・カンレンは役作りで激痩せ

ニュース提供元:結果娯楽

台湾公共テレビ(公視/PTS)が2億台湾ドル以上の制作費を投じた大型叙事詩ドラマ「斯卡羅 SEQALU:Formosa 1867(原題)」(以下「斯卡羅(※)」)が、8月14日より放送される。

チェン・ヤオチャン(陳耀昌)の小説『フォルモサに咲く花』(原題:傀儡花)を原作とした「斯卡羅」は、およそ3年の月日を費やしてツァオ・ルイユエン(曹瑞原)監督が映像化を手掛けた。

    

注釈 ※斯卡羅(パイワン語:SEQALU):かつて台湾の恒春一帯に存在した、プユマ族、パイワン族、アミ族ら台湾原住民による政権、 またはそこに属する民族


「斯卡羅」は、1867年に発生したローバー号事件を題材にした物語。ローバー号事件は、恒春半島の南端で座礁した米国の商船ローバー号の船員が、パイワン族の領地で首を落とされたことを発端に引き起こされた。米軍と清朝軍がそれぞれ出兵し、さらには原住民(※)のマカタオ族、客家人、移民してきたビン南(福佬)人との対立にまで発展する。最終的に在廈門米国領事が斯卡羅族の酋長・卓杞篤(Tokitok)と「南岬之盟」の平和条約を結ぶことで幕引きを迎えるが、ローバー号事件がその後国際間にもたらした影響と衝撃が、改めて人々の前に明らかになる。

出演は、ウー・カンレン(呉慷仁)、ウェン・チェンリン(温貞菱)、Camake Valaule(査馬克・法拉屋楽)、Massuke Szuke(雷斌・金碌児)、ファビオ・グランジョン(法比欧)、ホアン・ジエンウェイ(黃健瑋)、アンドリュー・チョウ(周厚安)、ホアン・ユエン(黃遠)、レイ・ホン(雷洪)、シア・ジンティン(夏靖庭)、ユー・ジュールー(余竺儒)ら。

注釈 ※原住民:台湾の先住民の正式な呼称


新型コロナウイルスの影響によりオンライン開催となった7月17日の先行特別上映会には、監督のツァオ・ルイユエン、キャストのウー・カンレン、ファビオ・グランジョン、アンドリュー・チョウが参加し、評論家やオピニンオンリーダー150人と交流した。


上映後の口コミでは「キャスティングが神。全員の演技が生き生きとしている」、「台湾ドラマのビジュアルを超越している。まるでハリウッド映画を見ているようだ」、「ローバー号に何が起こったのか明らかにしたいという歴史魂が感じられる」と大好評を博した。

監督にとって「一把青」に続き二度目のコラボとなるウー・カンレンが演じるのは、ビン南人、客家人、部落間との調停役を担う社寮の頭目・水仔。監督は「スターっぽさを捨て去り、一介の見すぼらしい小市民役を演じるカンレンをみんなに見てほしくてこのキャラクターを作った」と明かした。

カンレンは自身の役柄について「水仔は、生きるためなら誰にでも尻尾を振って媚びる犬」と形容した上で、「叙事詩というテーマは、私たちの立っているこの地に映し出された鏡のようなもの。その時代の最も卑しい様を体現する水仔という役が好きだ」と語った。また撮影当初は、パイワン語の習得に苦労し「ミッション・インポッシブル」だと感じたが、ローマ字に注音符号をふって勉強したという。「模倣するのではなく、理解することが必要」と高いレベルを目指したことを明かした。


「斯卡羅」には、重要な外国人の役が二人いる。そのうちの一人で、今回ドラマ初出演となるファビオは、事件の調査のために台湾に来た在厦門米国領事のフランス系アメリカ人ルジャンドル(李仙得)を演じる。

フランス出身のファビオにとって、英語のせりふには多大な労力を要したが、劇中では彼の母国語がフランス語であることを忘れさせるほどの流暢さを見せた。この役は全体の物語を進める人物のため、キャスティングは困難を極めたが、台湾を愛するファビオの献身ぶりは監督の要望に見事応えたようで、「ファビオは非常に真面目な俳優。彼のたゆまぬ努力がこの役を作り上げた。ファビオは天が与えてくれたギフトのようだ」と手放しで称賛した。


もう一人の外国人役を演じるのは、香港スターのワーキン・チョウを父に、アメリカ人を母に持つアンドリュー。その面立ちを生かしたイギリス人のウィリアム・A・ピカリング役はまさにはまり役で、キャラクターをより生き生きと自然に見せた。また、イギリスのアクセントを学び、独特ななまりと話し方も披露した。


カンレン、ファビオ、アンドリューの3人は、言葉の習得だけでなく、役柄に見合う体づくりも監督に要求された。食べられるのはサツマイモだけという食糧不足の時代背景を考慮し、カンレンは撮影前の半月で11キロ減量。撮影に入ってからも飢えの状態をキープしたそうで、「当時口にした食べ物で、カロリーが一番高いのはサツマイモだった」と笑いながら話した。撮影現場でカンレンとすれちがったアンドリューは、その激痩せぶりに誰だかわからなかったという。

一方、アンドリューは当初運動で体を絞ろうとしたが、すればするほど筋肉がついてしまったため、ケトジェニックダイエットに切り替えて5キロの減量に成功した。普段からトレーニング習慣のあるファビオは、撮影期間中、自ら菜食弁当を作り、撮影後半の減量ぶりは顕著だったそうだ。

◆斯卡羅_メイキング映像_俳優編


また、監督は「その時代の雰囲気や服装などをしっかり把握していなかったら、すべてが嘘くさくなってしまう」と、文献に当たってはわずかな手がかりを探し出し、当時の時代感を表現するために多くのエネルギーと時間を費やした。

美術指導のシュー・イングアン(許英光)は、154年前の台湾を復元した建物を一から作り上げ、ファッション指導のヤオ・ジュン(姚君)は、フィールド調査を通してさまざまな民族の衣装や精緻なデザイン、コーディネートを取り入れた。

◆斯卡羅_メイキング映像_美術編


「斯卡羅」は、8月14日より毎週土曜夜9時〜11時、台湾の公視で2話ずつ放送される。全12話。そのほか公視+、LINE TVで同日台湾夜10時〜、Netflix台湾、myVideoで翌日曜、おって中華電信MOD、Hami videoなどで配信予定。


翻訳・編集:二瓶里美
編集者、ライター。2014年より台湾在住。中華圏のエンターテインメント誌、旅行情報誌、中国語教材などの執筆・編集に携わる。2020年5月、張克柔(字幕翻訳家・通訳者)との共著『日本人が知りたい台湾人の当たり前 台湾華語リーディング』(三修社)を上梓。2017年4月より、ラジオ番組「Asian Breeze」では台湾の現地情報を発信するコーナーを担当中。

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