Cinem@rt エスピーオーが運営するアジアカルチャーメディア

連載

【きゅんとあじあ】台北之音 vol.3

皆さん、こんにちは。
シネマート六本木 元支配人の村野です。
7月の訪台で集めてきた、「台北らしい街の音」の第3弾をお送りします。

まずは、フリータイムに訪れた街のお話。
最近、古い街や建物がオシャレスポットへと生まれ変わっている台湾。
その中でもガイドブックや雑誌に取り上げられているのが「大稻?」と「迪化街」です。

「大稻?(ダーダオチェン)」は、台北の西に流れる淡水河に沿って広がる、交易で栄えた地域。「大稻?」の南に位置する「??」(『モンガに散る』の舞台)から流入した人々が築いた街で、戦後、「迪化街(ディーファジエ)」と名称が変わったそうです。
美しいバロック建築の漢方屋や乾物屋が軒を連ね、観光地としてもよく知られています。
旧正月前には、上野のアメ横のような賑わいになるとか。


この大稻?といえば、シネマート六本木で公開した『ピース! 時空を越える想い』(〈台湾シネマ・コレクション2015〉にて上映)の舞台となった街。原題も「大稻?」です。
というわけで、ロケ地好きの血が騒ぎ、「大稻?碼頭」という埠頭を訪れました。一番暑い時間帯でしたが海風が心地よく、しばしぼーっとしておりました。ここ、夕方来たら夕陽がきれいなのではないでしょうか。



さて、ラストシーンが撮られたスポットを探してウロウロしたのですが......ど、どこ???
(恐らくは、一般人が入れない閉鎖された建物の上だったと思われます)
と、モヤモヤが残ったロケ地訪問でしたが、こんな垂れ幕を発見~

(写真:「大稻?」記者会見の垂れ幕)

その後は、ガイドブックと某雑誌を手に、10年ぶりくらいに迪化街をぶらぶら。
まずは民生西路と迪化街一段が交差するところから、迪化街一段を北上。
「夏樹甜品」で、台湾名物ふわふわかき氷の底にどかっと杏仁豆腐が入った「杏仁豆腐氷」をいただきました。



続いて竹細工のかご屋さんとして知られる「高建桶店」でプラスチック紐を編んだバッグなどを購入。さらに北上し、涼州街を右折。
と、ここで、奇跡の遭遇!


「ヤ~ク~ル~ト」って叫んでるの、分かりましたか?
これ録音するべく、下手な探偵みたいにヤクルトおばちゃんを尾行したのでした。

本来の目的地に戻ります。涼州街にある「?好我好」。台湾紹介でお馴染みの青木由香さんが開いたギャラリーショップです。ここではコップや台湾珈琲を購入。

また迪化街一段に戻り、先程の「高建桶店」の向かいにあるカフェ「鹹花生」でコーヒーとシナモンロールをいただきました(はい、食べ過ぎ、休み過ぎです)。お隣にはこれまた可愛い雑貨屋さんが。フェアトレードのお店で、大きなワンちゃんが2匹昼寝をしてました。



ここからはひたすら南下。民生西路と、南京西路の間が、ガイドブックでもよく紹介されているエリアです。ここにもオシャレなお店がたくさん出来ていました!

このエリアに残るレンガや石造りの建物が、近年リノベーションされてさらに魅力が倍増。先程の「鹹花生」もそうだったのですが、中庭を介して裏側の建物と繋がっている作りになっており、店舗の入り口から中庭、さらに裏側の建物へと同じ店舗がつながっていたり、テーマを変えた系列店になっていたりと、日本では味わえないようなワクワクする空間になっています。

(写真:お店の入り口)

(写真:中庭とその奥)

さて、脇道も見落としてはいけません。
「小藝?」という建物には、1階に「ブックストア1920S」「印花樂」という雑貨屋さん、2階にカフェ「爐鍋??」、3階には「思劇場」という小さなイベントスペースがあり、様々な文化イベントを開催しているようです。入り口で靴を脱いであがると、右側にはテーブルとイスが並べられ、自由に使えるようになっています。左側がステージ。貸し出しもしているようです。
階段には映画「念念」のポスターが貼ってありました。

(写真:階段には映画「念念」のポスターが。)

と、ここで、あの音が! これぞ台湾! 録音せねば!
私が道に飛び出すのとほぼ同時に、店員のお兄さんもあるものを持って駆け出します!


はい、映画やドラマでお馴染み、「ゴミ収集車のBGM」です。
店員さんが持っていたのはゴミ袋。彼同様、この音を聞いてゴミを持った人たちがわらわらと集まってきました。日本のように収集場所に置いておくのではなく、ゴミ収集車が来たら渡しに行くシステムなんですよね。私は録音しながら、店員さんと先を争うように飛び出した自分が、「現地の人みたいだったな~」と、ちょっと嬉しくなったのでした。

この迪化街を隅々まで歩きたい方は、MRT淡水線(赤)の中山駅から南京路を西に進み、迪化街一段にぶつかったらひたすら北上するか、MRT中和新蘆(黄)の大橋頭駅から迪化街一段をひたすら南下するか。はたまた、新しくできたMRT松山線(緑)の北門駅から南京西路を目指した方が近いのかも(確実に中山駅からより近そう)。いずれにせよ駅からは少々歩くので、タクシーが便利かもしれません。

乾物の香り漂う中、文化的な時間が流れるオシャレスポットに生まれ変わった迪化街。
まだまだ開拓してみたいお店がいっぱいです。
茶藝館「南街得意」でお茶するという目的を果たしてなかったので、次回も必ず行きます!

それではまた。再見!(文:村野奈穂美)


【きゅんとあじあ】その他記事
台北之音 vol.1
台北之音 vol.2
台北之音 番外編≪永瀬正敏攝影展≫

記事の更新情報を
Twitter、Facebookでお届け!

TOP