台湾映画上映会2026『深く静かな場所へ 』≪ トークイベント レポート ≫

【台湾映画上映会2026『深く静かな場所へ』上映会&トークイベント詳細】
日 時:2026 年10 月4 日(日)※上映後にトークイベント
開 場: 17 時45 分
開 演: 18 時00 分(上映時間108 分)
場 所:シネ・ヌーヴォ(大阪府大阪市西区九条1-20-24)
登壇者:シェン・コシャン(本作監督) ※シェン監督はオンライン登壇
聞き手:リム・カーワイ(『台湾映画上映会2026』キュレーター、映画監督)
通 訳:岡野翔太
【レポート】
台湾駐日本代表処台湾文化センターと、1997 年の開館以来、大阪を代表するミニシアターとして親しまれてきたシネ・ヌー ヴォによる連携企画として、映画『深く静かな場所へ』上映会が10 月4 日(日)にシネ・ヌーヴォにて開催された。上映後には、 シェン・コシャン(沈可尚)監督がオンラインで登壇し、トークイベントが行われた。
『深く静かな場所へ』は、抑圧された日常の中で見過ごされてきた沈黙の暗部へと鋭く迫る野心作。ドキュメンタリー映画監督と して25 年のキャリアを持つシェン・コシャン監督による、初の長編劇映画作品で、金馬奨主要7 部門にノミネートされた。ジョ セフ・チャン(張孝全)、アリエル・リン(林依晨)はじめ、チン・シーチェ(金士傑)の出演も話題となった。
ドキュメンタリーで培った視線を、劇映画へ──
シェン・コシャン監督が語る『深く静かな場所へ』
『深く静かな場所へ』は、妊娠をきっかけに幼少期に受けた父親からの虐待の記憶がフラッシュバックし苦しむ妻と、それを受け止めようと する夫の葛藤が描かれている。
「この映画を日本ではじめて上映することができてうれしいです」と、スクリーンに登場したシェン・コシャン監督が挨拶すると、会場は拍手 に包まれた。20 本以上のドキュメンタリー映画を監督してきたシェン監督にとって、本作が監督にとって初の長編劇映画となる。「9 年前、 幼少期のトラウマを抱えた女性を追っていました。ドキュメンタリー映画として公開されたときに、いまもその葛藤を抱えて生きている女性自 身にとって、つらい状況になるのではないかと感じました。そこで、劇映画として制作することにしたのです。」と、制作のきっかけを語った。

キュレーターのリム・カーワイが「シェン監督のドキュメンタリー映画は、日本でも山形国際ドキュメンタリー映画祭でも多く紹介されていま す。ドキュメンタリー映画と劇映画では、テーマは同じでも、制作の過程で難しかった点などはあったんでしょうか」と問いかけた。シェン監督 は、劇映画を制作するにあたり、最初は怖さを感じていたという。「ドキュメンタリーは、真実を追い、さらにテーマとした題材とした方々の人 生や命、そういったものを追いかけることができる。劇映画を撮ることになったときに、撮影のアプローチも撮影に関わるスタッ フ編成もすべてがちがう。自分にとって大きなチャレンジであり、プレッシャーを感じたのです。」と、そのプレッシャーの大き さを語った。
しかしそのプレッシャーは撮影初日になくなったという。「ドキュメンタリーというのは、自分自身がフィールドワークをしな がら撮影し、そこにはその人たちの真実が映し出されていきます。『深く静かな場所へ』では、俳優の皆さんが、カメラを通して その人物が抱えている真実を描き出してくれている。その姿は、私自身がフィールドワークしながらカメラを通してみてきたもの と非常にリンクしていると感じることができました。」ドキュメンタリー映画で培ってきた撮影プロセスが、『深く静かな場所 へ』の撮影にも強く結びついていることを実感したという。
本作には原作となった同名の短編小説「深度安靜」(林秀赫・著)がある。「原作となった小説はあるのですが、完成した映画は 95%くらいオリジナルな内容なんです。著者の林秀赫さんは、映画を観たときは非常に驚かれていました。」と、シャン監督はは にかんだ。「先ほども話したように、本作は元々ドキュメンタリー映画として追っていたものでした。ドキュメンタリーではなく 劇映画として形にしようと思ったときに、原作の小説に出会いました。図書館で出会ったふたりが結婚し、やがて妻が妊娠する。 妻の死後、夫は妻の過去を知りたいと思い、そこから父親、家族との関係に踏み込んでいく。その設定に、家庭内暴力というテー マを組みこみ、映画を完成させたのです。」と制作秘話を語った。林秀赫さんはシェン監督の映画を観て、「最初は驚いていたが、 自分の作品を原点に、様々な人間関係や議論へと広げてくれたことを、とても喜んでいた」という。
会場にいたアリエル・リンさんのファンから、起用のきっかけを問われると、「まずオファーしたのがアリエル・リンさんでし た。彼女はとても軽やかな足取りで打合せ場所に現れ、私がフィールドワーク、そして映画の内容について話すと、非常に慎重な 表情になりました。すぐに返事はできないと帰っていく彼女の足取りはとても重いものになっていました。」と振り返った。夫役 のジョセフ・チャン、父親役のチン・シーチェが決まってからも、アリエルからの返事は保留のままだったという。「あらためて アリエルに役を引き受けてもらえないかと連絡すると、彼女からは3文字の返事がきました。『こわい』と」。それでもオファー を受けてくれたアリエルに対し、「子供を持つ母親でもあるアリエルにとって、本作を引き受けることは、大きな葛藤があったの だと思う。だからこそ我々も彼女のケアを優先しました。結果、アリエルからは、『人生の中で、この役にチャレンジしてよかっ た』と言ってもらえることができた」と、アリエルの本作への思いを語った。
最後に「今日、皆さんにご覧頂いた『深く静かな場所へ』は、決して楽しい映画ではなく、非常に気が重くなるような映画では あったかと思います。しかし、人間が成長する上での様々な境遇の一端を映し出したものでもあります。 観客の皆さん自身の中 で、何かを感じ、考えるものがあったら幸いです。 そして、10 月24 日東京で開催される「台湾文化センター 台湾映画上映会 2026」で、私のドキュメンタリー映画『荒野の夢』が上映されます。今日は大阪に伺うことができませんでしたが、東京には駆け つけます。今日、お会いするこができなかった会場の皆さまとも、またどこかでお会いできる日が来ることを楽しみにしておりま す。本日はどうもありがとうございました。」と、シェン監督が挨拶をすると、会場は大きな拍手に包まれた。
名称:台湾文化センター 台湾映画上映会2026
期間:2026年5月~10月(全10回)
会場:台湾駐日本代表処 台湾文化センター/北海道大学 学術交流会館小講堂/大阪大学 大阪大学会館講堂/ユーロライブ/京都大学 HORIBA シンポジウムホール/中央大学<多摩キャンパス>3号館3551教室/慶應義塾大学 三田・北館ホール/日本映画大学 大教室/シネ・ヌーヴォ
主催:台湾駐日本代表処 台湾文化センター/Cinema Drifters/大福
共催:北海道大学中国文化論研究室・中国現代文学研究者懇話会/大阪大学大学院人文学研究科/ユーロスペース/京都大学大学院人間・環境学研究科東アジア文明講座/中央大学文学部中国言語文化研究室/ 慶應義塾大学東アジア研究所/日本映画大学国際交流センター/シネ・ヌーヴォ
宣伝デザイン:100KG
≪台湾駐日本代表処 台湾文化センター≫公式サイト:https://jp.taiwan.culture.tw


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