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【インタビュー】『親愛なる君へ』モー・ズーイー "生涯をかけて、ただ愛する人のために"


映画には映らなかった、何冊もの日記

― チェン・ヨウジエ監督から、モー・ズーイーさんとリン・ジエンイーの映画に映らない部分まで話し合って撮影に入ったとお聞きしました。もしよければ、そこで話し合った「映画には映っていない設定」を1つ教えてください。

モー・ズーイー 映画でははっきりと表現されていませんが、ジエンイーは毎日日記を書いているんです。それは亡くなったパートナーのリーウェイに向けた手紙でもあります。その内容は息子のヨウユーの日々の様子や成長、ジエンイー自身のリーウェイに対する想いなどです。僕も実際に日記を毎日書いて、その数は何冊にもなりました。

― 切ないけれど、とてもロマンチックな設定ですね。 


― 本作でモー・ズーイーさんが特に印象に残っているシーンはどこですか?

モー・ズーイー たくさんありますが、いま振り返ってみて一番印象に残っているのは、この映画のラストシーンです。 実はラストシーンの撮影がクランクアップのシーンでもありました。この撮影チームがあの日あのシーンをもってクランクアップをしたんです。

あの日の撮影は順調でした。出演者は僕と音楽教室の職員だけだったのですが、撮影が終わると、息子を演じたバイ・ルンイン(白潤音)君が現れたんです。あの日、彼は撮影が無いのにわざわざ僕に花束を持ってきてくれて。僕はとても嬉しくて感動しました。しかも、彼は撮影開始前から現場にいたそうで、スタッフに「モー・ズーイーさんの邪魔をしたくないから」と言って、離れたところから撮影を見ていたらしいです。

もう1つ、ちょっとした事なんだけど、クランクアップ後に一人でラーメンを食べに行って。久しぶりにちゃんとラーメンを味わうことができました。この2つのことが強く印象にのこっています。


― 共演されて特に印象に残っている方や、撮影現場での印象に残っているエピソードはありますか?

モー・ズーイー 特に印象に残っている共演者は、ウー・ポンフォン(吳朋奉)さんです。彼とは長い付き合いで、舞台や映像作品で何度も共演させていただきました。僕にとって彼は、僕の成長に付き合ってくれる兄さんみたいな存在です。映画の完成前に彼が亡くなってしまったことは、すごく残念なことです。

『親愛なる君へ』の試写会場に制作チームは彼の席を用意して、座席に花束とカードを置いていました。あの日、彼は僕らと一緒にこの作品を鑑賞してくれたと信じています。彼が亡くなった後、僕は彼に手紙を書き、一緒にお酒を飲みました。この映画は、ウー・ポンフォンさんに別れを告げる作品になりました。でも彼はずっと僕の心の中に生きています。


モー・ズーイー 次に、印象に残っている撮影中のエピソードは、基隆(キールン)の港で撮った雨のシーンでのことです。撮影中に雨が降ってきたのを見て、監督は雨の中で僕とバイ・ルンイン君が遊ぶシーンを思いつき、急遽撮影したんです。僕にとって、雨の景色は台湾の美しい景色の一つです。特に基隆の港から見る雨の景色は美しいです。これもすごく印象に残っている思い出です。

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