Cinem@rt エスピーオーが運営するアジアカルチャーメディア

中国ドラマのタイトル"あるある"を分析! 中編:時代劇命名の新しいトレンド

引用元:wechat Vlinkage 公式アカウント:「Vlinkage」
記事タイトル:「别再抄诗词了,为剧取名并非玄学 」


時代劇では、今までタイトルに詩の意味と美しさを追求してきたが、この数年は新たな変化が生じている。

まずは「長歌行(原題)」「驪歌行(原題)」などにみられる“行”の字が人気となり、時代劇命名の新しいトレンドになっていることだ。この「歌行」体は、歌謡の楽府(がふ)作品の題に用いられてきたり、古典漢詩の体裁でもあるため、従来の詩を用いる手法の範疇でもある。

第2には、“行”と同じカテゴリーの “令”の字。2019年シャオ・ジャン(肖戦)とワン・イーボー(王一博)主演の「陳情令」や21年のチャン・ジャーハン (張哲瀚)とゴン・ジュン(龔俊)主演の「山河令(原題)」は、改耽劇がヒットを呼ぶ宝の山だと気づかせてくれただけでなく、作品の命名は一種の技術であり、アートであることも世に示した。


“令”という字は、詞の形式や音律を意味するもので、「知否知否應是緑肥紅痩(邦題:明蘭~才媛の春~)」にも引用された李清照の詞「如夢令」のような、小令という短い歌のことを指す。“令”がつくドラマは他に「玉昭令(原題)」「寒山令(原題)」がある。

第3にあがるのは、“〇〇伝”のように、主人公の地位を強調するために用いられる“伝”の字。一覧からもわかるように、“伝”は、現代劇よりも時代劇で使用頻度が高い。


第4にあがるのは、“〇〇伝”と同じカテゴリーにもなる“〇〇伝奇(伝説)”。しかし“伝奇”は“伝”と異なり、現代劇にもしばしば登場する。伝奇の本来の意味は、摩訶不思議なエピソード及び特殊な人物の活躍などを描いた物語であり、古典小説のジャンルの1つでもある。

制作側が“伝”または“伝奇”を用いるのは最も一般的、かつ安全性があるからだ。


第5には、古事や詩の隠喩で、これは時代劇によくみられるパターンであり、近年は現代劇にもこうした手法が多くみられるようになってきた。

七言詩(1句が7字からなる漢詩)のようなタイトルは、16年の「微微一笑很傾城(邦題:シンデレラはオンライン中!)」や、17年の「三生三世十里桃花(邦題:永遠の桃花~三生三世~)」などのヒットで爆発的な流行を呼び、市場に同様のタイトル名が多くなった。しかし、七言詩タイプのタイトルは一見してその作品が時代劇か現代劇か、区別が難しい場合も多い。

これに加えて、「五言絶句(1句に5字)」調も市場では人気に。「手可摘星辰(原題)」のように詩をそのまま引用するものもあれば「路従今夜白之遇見青春(原題)」のように杜甫の「露从今夜白」の1文字をかえる、といったものもある。


また、元からある詩に似たような雰囲気の文を新たに作りだす「何以笙簫默(邦題:マイ・サンシャイン ~何以笙簫默~)」という手法もある。

時代劇と比べると現代劇のタイトルはそれほど定型化されていないが、独自の高頻度の語彙もある。

2006年の「新結婚時代(原題)」から2011年の「裸婚時代(原題)」まで、“時代”は常に都市型現代ドラマで頻繁に使われる言葉であり、過去5、6年もその例外ではない。統計によると、2015年から2021年までには、“時代”のネーミングを使用した11の現代ドラマがある。

“時代”の他に、“幸福”というフレーズもある。“時代”と“幸福”のタイトルに共通するのは、この言葉が比較的広い視野を持っているということだ。2015年から2021年まで、「幸福」という名前で39のドラマがある。「人々の幸せのために」というのがこの時代のメインテーマであり、リアリズムを反映した都会の人間ドラマの主流タイトルにもなっている。


後編:溺愛系ラブストーリーでほぼ使われる●●● につづきます


翻訳・編集:Cinem@rt編集部

記事の更新情報を
Twitter、Facebookでお届け!

TOP