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「海棠が色付く頃に」から、中国古来の「化粧品」を探る|中国時代劇トリビア#56

中華民国時代に栄えた老舗化粧品店「朗里春」を舞台に繰り広げられるドラマ「海棠が色付く頃に」。ヒロインの海棠は、化粧品と縁の深い女性で、物語はそこから思いがけない展開へと結びついていきます。
今回はこのドラマのキーワードでもある「化粧品」と、この時代の女性を化粧品と共に美しく彩った「チーパオ(チャイナドレス)」について探っていきたいと思います。

「海棠が色付く頃に」場面写真

ドラマに登場するヒロインの海棠は、製造から使い方まで、化粧品の知識に長け、その才能を高く評価されていきます。印象的なのは、彼女が化粧品を装いの道具として使用するだけでなく、ケガを治す薬のように使用する場面です。古来中国では、化粧品は美しく装う道具としてよりも、肌を守り、栄養を与える中薬として使用されてきたそうです。

広く知られているのは、楊貴妃や西太后が使用したとされる真珠の粉や、武則天が使用した益母草を使った中薬があります。武則天は衰老を遅らせる薬を内服するだけでなく、「神仙玉女粉」とも称される益母草を用いた粉を、洗面や入浴の時に石鹸・入浴剤として使い、ニキビの治療にも用いて、なめらかで綺麗な肌を保っていたそうです。

「海棠が色付く頃に」場面写真2 

また、益母草には、視力を改善し、血液循環を促進し、肌に栄養を与える効果があるため、ナイトクリームのようにつけたまま寝るということも可能だったとか。装う目的が主となる口紅にも薬効成分があり、古代の口紅に含まれるハナモツヤクノキは、血液を活性化し、うっ血を取り除く効果があるため、長期間使用すると、唇の色をよりバラ色に変化させる効果もあったようです。唐と宋の時代の妓楼の女性たちには寝化粧をする習慣があり、肌の健康を保ち、美しさを高めるために、化粧をして就寝していたそうです。

このように古くから薬として使われてきた中国の化粧品ですが、中華民国の時代に、中国の化粧品は、西洋の化粧品を組み合わせ始め、装いの道具として化粧を用いるという、私たちの現在の化粧に近い使い方をするようになっていきます。

「海棠が色付く頃に」場面写真3 

使えばすぐに美しさを発揮する現代の化粧品ですが、近年、健康志向が高まる中国では、肌本来の働きを助け、栄養を与える古来の中国式化粧品に注目が集まっていて、古来の化粧品をベースにした新たな商品も生まれているそう。中華メイク同様、日本でも古来の中国式化粧品が大きく取り上げられる日が来るかもしれないですね!


次回、第57回は「チーパオ(チャイナドレス)」について

【参考サイト】
「90后美女复原2000年前中国人化妆术,逆天!」捜狐 2018/3/23 
https://www.sohu.com/a/226197001_157906 

Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。『台湾エンタメパラダイス』『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)にて執筆記事掲載中。

「海棠が色付く頃に」
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