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「中秋節」にはどんな風習や歴史があるの?|中国時代劇トリビア#50

 「運命の桃花」場面写真
「運命の桃花~宸汐縁~」より

ドラマ「運命の桃花~宸汐縁~」の中でも、家族で過ごす大切な日として登場する中秋節。中秋節は中国における旧暦の8月15日にあたる日で、春節に次いで中国で2番目に大きな祝日です。そんな中秋節には、どんな風習や歴史があるのか、ご紹介していきます。

中国の中秋節を祝う習慣は3000年あまりの歴史があり、商時代の月を祭る風俗から始まったとされます。伝統的な祭りとされたのは唐の時代で、中秋節が盛んになるのは宋代でした。中国の皇帝はかつてこの8月15日に、豊作を祈って音楽を奏で、月に祈りを捧げたそうです。この行事がやがて民間に伝わっていったのが起源とされています。

中秋節の丸い月は団欒を象徴し、この祭りは「団欒節」とも呼ばれています。毎年、中秋節になると、人々は各地から家に帰り、家族と一緒に団欒の食卓を囲みます。

この時に食べる食べ物として代表的なのが、月餅です。中秋節に月餅を食べる習慣は、明から清の時代にかけて、中国中に広まりました。月餅は円満と幸福の象徴であり、その種類も非常に豊富で、広州式(広式)、蘇州式(蘇式)、北京式(京式)、雲南式(滇式)、潮汕式(潮式)など、その地域ごとの月餅があります。

月餅

月餅の生地はシロップ(糖漿)と油を練りこんだ「糖漿皮」、おやきのようなパイ生地の「酥皮」、糯米を使っていて冷やして食べる「冰皮」の三種類に大きく分けられ、その色も茶色だけでなく、赤、緑、白、黒、紫など様々です。餡も多種多様で、塩漬け卵と蓮の実のペーストが入った「双黄蓮蓉」、胡桃、落花生、松の実、麻の実、ゴマなどが入った「五仁餡」などは、お土産などで召し上がったことがあるかもしれません。

中国では甘くない月餅もあって、広式の辛味牛肉味の「香辣牛肉」や、肉のでんぶが入った「肉松」、蘇式の「肉月餅」や「椒塩月餅」、滇式の「ハム月餅」など、がっつり食べごたえのあるタイプも。さらに最近では「コーヒー月餅」、「ウーロン茶月餅」などの新しいフレーバーもどんどん発売されているそうです。

月餅の他にも、かぼちゃ、サツマイモ、ブンタン、アヒル(秋はアヒルが最もよく肥えた季節になるため)、タニシ、お酒(桂花酒)など、秋に旬を迎える新鮮で栄養がある円形の食べ物を食べるという習慣があるそうです。

こうした習慣の他に、灯篭をかざったり、ランタンを飛ばしたりということも行われ、家族での団欒を楽しみます。2020年の中秋節は本日10月1日。ゆっくりと秋の実りや月の美しさを楽しんでみてはいかがでしょうか?

「運命の桃花」場面写真2
「運命の桃花~宸汐縁~」より

Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。『台湾エンタメパラダイス』『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)にて執筆記事掲載中。

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