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「琴」「囲碁」があらわすもの|中国時代劇トリビア#13

ドラマ「孤高の花~General&I~」で活躍するヒロイン白娉婷、そして「三国志」で有名な諸葛亮孔明は、ともに優秀な軍師として兵を統率していきます。この二人に共通してくるのが琴。ドラマの中では白娉婷が戦場で琴を奏でるシーンが登場し、諸葛亮は有名な"空城の計"で琴の音を武器に魏の軍師・司馬懿と対決します。なぜ軍師や文人にとって琴は必須アイテムなのでしょうか?

「孤高の花」場面写真

「孤高の花~General&I~」より

古琴は7つの弦を持つ楽器で、その歴史は古く、創始者としては伏犠(ふっき)・神農・舜など古代中国神話の神々や伝説の王の名が挙げられるそうで、約5千年前から楽器として用いられていたと言われています。形は鳳凰の姿が模されており、初期の5弦の琴には五行思想が反映されていました。

孔子(紀元前551-479)が古琴を学んだことからもわかるように、中国の知識人の間では古琴・書道・棋(圍棋、囲碁)・絵画が習得すべき必須の教養であるとされ、精神修養にも用いられてきた道具でもありました。

ですから、琴の音は、時に宴に興を添える役割も果たしもしますが、心の世界を音として表現する方法の一つでもあったわけです。

「孤高の花」場面写真2

「孤高の花~General&I~」より

琴を巡る話では、琴の名手・伯牙(はくが)と鍾子期(しょうしき)のエピソードが有名です。鍾子期は伯牙の弾く琴の音を聞いて、伯牙の心の中に思っていることや、彼の精神世界をたちどろこに理解してしまうのでした。やがて二人は親友となり、自分の心のうちを知る親友を「知音」と言うようになったそうです。

同じく精神世界を表すものとして、囲碁があります。諸説あるようですが、その昔、囲碁は遊びの道具というよりは、天文地象の占いや兵法の研究のために用いられることが多かったようです。

丸い碁石は天を、四角い碁盤は大地を象徴しており、碁石の白と黒は陽と陰を、そして盤の四隅は春夏秋冬、さらに中央の一点を除いた360の目の数には一年の日数(当時は360日とされていたそうです)が現されており、まさに碁盤の上には凝縮された一つの世界が広がっているのです。ここでも打つ手に相手の思いが反映されるわけですから、楚北捷が白娉婷の気配をいち早く感じ取れたのにも、納得がいくのではないでしょうか。

現代では趣味や娯楽としてのイメージがある琴や囲碁が、精神修養のひとつであったというのは、面白いですね!

「孤高の花」場面写真3

「孤高の花~General&I~」より

Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。『台湾エンタメパラダイス』『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)にて執筆記事掲載中。

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<参考文献>
ミネルヴァ書房 編著者 武田雅哉 加部勇一郎 田村容子 
「世界文化シリーズ6 中国文化55のキーワード」

<参考URL>
賢者の楽器「古琴」https://www.epochtimes.jp/2018/09/36635.html 他
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