台湾映画上映会2026『今夜は帰らない デジタル・リマスター版』上映会&トークイベントレポート

7/18(土)映画『今夜は帰らない デジタル・リマスター版』 ≪ トークイベン ト レポート ≫
日 時:2026年7月18日(土)※上映後にトークイベント
開 場:13時30分 / 開 演:14時00 分(上映時間104 分)
場 所:中央大学<多摩キャンパス>3号館3551教室(東京都八王子市東中野742−1)
登壇者:筒井武文(映画監督・東京藝術大学名誉教授)
聞き手:リム・カーワイ(『台湾映画上映会2026』キュレーター、映画監督)
【レポート】
台湾駐日本代表処台湾文化センターと中央大学文学部中国言語文化研究室による連携企画として、映画『小さな町の恋 デジタ ル・リマスター版』上映会が7月18日(土)に中央大学<多摩キャンパス>3 号館3551 教室にて開催された。上映後に、映画監督・東京藝術大学名誉教授の筒井武文氏が登壇しトークイベントが行われた。
バイ・ジンルイ監督は、イタリアで映画制作を学び、近代的な映像技術を台湾に持ち込んだ先駆者である。日本ではオムニバス映画『大輪廻』(83)等で知られていたが、近年そのスタイリッシュで、現代的な美的センスで再注目されている。
『今夜は帰らない』は、台北のあるアパートの三つの家を舞台にした社会派リアリズム喜劇だ。登場人物たちはモダンな空間を行き来し、華麗で変化に富んだカメラワークのもと、複雑な奥行きと緻密な美術配置によって深い空間感覚が築かれている。
斬新なカメラワーク、華麗な色彩感覚──
増村保造、イタリアンコメディにも通じる、知られざる巨匠バイ・ジンルイ監督の魅力
キュレーターのリム・カーワイは、「バイ・ジンルイ監督は『大輪廻』(1983)で知られるものの、日本ではキン・フー監督やリー・シン監督ほど紹介されてこなかった。昨年の大阪アジアン映画祭でデビュー作『寂寞十七歳』(1967)を観て衝撃を受け、日本でももっと紹介したいと思った」と、本作上映への思いを語った。
筒井武文さんが「『今夜は帰らない』は、台湾映画の中でも見たことがない、とても変わった映画。一晩の出来事を描きながら、三組の物語が複雑に絡み合い、一本の映画の中に三本分の映画が詰まっているような作品です。」と、その構成のおもしろさを解説した。

バイ・ジンルイ監督作品の特徴の一つが、モダンな美術セットと華麗なカメラワークだ。「カメラは常に人物の動きに合わせて動き、望遠ショットや俯瞰ショットを巧みに取り入れている。」と、筒井さんが撮影技術の視点から作品を紐解いた。「別れの手紙を書くシーンで、カメラは360度パンすると、書いては捨てを繰り返した丸められた手紙が散らばっている。その手紙の量で、時間を圧縮し、時間経過を表現している」ことに触れ、「単に的確に撮るだけではなく、いかに映画的な画のおもしろさを狙っているか」と、バイ・ジンルイ監督の緻密な撮影表現を解説した。さらに「同じアパート、ナイトクラブ、ホテルという複数の空間を行き来しながら、三組の物語を同時進行させる構成も見事」であると、その構成のすばらしさにも言及した。
バイ・ジンルイ監督は映画評論家を経てイタリアへ留学し、映画制作を学んだ。「同じくイタリアで学んだ増村保造監督とも通じる世界観を感じる」とリムが語ると、筒井さんは「本作にはイタリアンコメディの要素が色濃く反映されている。当時の台湾映画界では助監督出身の監督が大半で、海外で映画理論や技術を体系的に学んだ監督は非常に珍しかった」と、その異色の経歴を紹介した。

また『今夜は帰らない』のエンドロールには、東京現像所がクレジットされている。「当時の現像、合成技術は日本が圧倒的に進んでいた。台湾だけではなく、香港はじめ多くの国の作品が日本の技術を取り入れ、映画人の交流もあった」とし、「こうした 交流はその後も続き、中国・香港・台湾合同制作の『さらば、わが愛/覇王別姫』(1993)の撮影現場に行ったとき、北京の撮影所 に東京現像所の車が来ていた」貴重なエピソードを筒井さんが披露し、映画人たちの交流が、当時の台湾映画を支えていたことが うかがえた。
会場から「俳優たちのオーバーリアクションとも思える演技、あまりにもテンポよく進む会話は意図した演出なのか」と質問がでると、「映画のリアリズムは現実そのものではなく、観客を楽しませるために演出されたリアリズムです。メリハリをつくることこそ娯楽映画の基本であり、それはイタリア映画にも共通する特徴です。」と筒井さんが、バイ・ジンルイ監督ならではの演出について解説した。
最後に台湾映画の魅力について、「台湾映画は80年代以降、台湾ニューシネマを中心に日本で紹介されてきました。新しい世界を見せてくれる一方で、伝統的な社会を描いているのも魅力」だと筒井さんが語ると、満席の会場から大きな拍手が起こった。

名称:台湾文化センター 台湾映画上映会2026
期間:2026年5月~10月(全10回)
会場:台湾駐日本代表処 台湾文化センター/北海道大学 学術交流会館小講堂/大阪大学 大阪大学会館講堂/ユーロライブ/京都大学 HORIBA シンポジウムホール/中央大学<多摩キャンパス>3号館3551教室/慶應義塾大学 三田・北館ホール/日本映画大学 大教室/シネ・ヌーヴォ
主催:台湾駐日本代表処 台湾文化センター/Cinema Drifters/大福
共催:北海道大学中国文化論研究室・中国現代文学研究者懇話会/大阪大学大学院人文学研究科/ユーロスペース/京都大学大学院人間・環境学研究科東アジア文明講座/中央大学文学部中国言語文化研究室/ 慶應義塾大学東アジア研究所/日本映画大学国際交流センター/シネ・ヌーヴォ
宣伝デザイン:100KG
≪台湾駐日本代表処 台湾文化センター≫公式サイト:https://jp.taiwan.culture.tw
≪参加無料、事前申し込み制≫
各回の申し込みは、Peatixにて先着順にて受付。
≪Peatix≫ https://taiwanculture.peatix.com/
※Peatixにて、各回7日前の昼12:00より先着順にて受付。
※シネ・ヌーヴォのチケットについては、劇場HPにて取り扱いいたします。Peatix ではお申込みができません。
※本上映会について会場となっている大学、ユーロライブ、シネ・ヌーヴォへのお問合せはお控えください。
※ゲスト・イベント内容は予告なく変更となる場合がございます。ご了承ください。
≪上映作品一覧≫(全10作品)
『海をみつめる日』『あの写真の私たち』『うなぎ』『小さな町の恋 デジタル・リマスター版』『今夜は帰らない デジタル・リマスター版』『宵闇の火花』『夜明けの前に』『甘露水』『深く静かな場所へ』『荒野の夢』
≪アンコール上映/作品一覧≫(全6作品)
『余燼』『タイペイ、アイラブユー』『燃えるダブルス魂』『夫殺し デジタル・リマスター版』『猟師兄弟』『金魚の記憶』


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