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【最新映画in香港】アーロン・クオック×トニー・レオン『風再起時(原題)』、マイケル・ホイの神演技に涙

ニュース提供元:華映娯楽


アーロン・クォック(郭富城)とトニー・レオン(梁朝偉)の初共演で話題の香港映画『風再起時(Where The Wind Blows)』が、2月24日より台湾で公開された。舞台は1950~60年代の香港、裏社会を巡り警察の汚職が横行する中、汚職の取り締まり制度の確立に尽力した英雄二人を描く、実話に基づいたストーリー。

監督はフィリップ・ユン(翁子光)。パトリック・タム(譚耀文)、タイポー(太保)、エレイン・ジン(金燕玲)、ツェー・クワンホウ(謝君豪)、エディ・チャン(艾迪)、マイケル・ニン(白只)、ベン・ユエン(袁富華)、マイケル・ホイ(許冠文)、チュン・シャー(春夏)、ルイス・チャン(張継聡)ら、いずれも金馬賞の受賞・ノミネート歴のある実力派俳優が一堂に会する。

一番のベテランは、今年80歳を迎えるマイケル・ホイ。チョン・モンホン(鍾孟宏)監督の『ゴッド・スピード(一路順風)』(2016)で金馬賞主演男優賞にノミネートされるなど、キャリア50年を誇る彼の名刀は鈍ることを知らず、老いてなおその演技力は輝きを増している。『風再起時』では汚職捜査機関「廉政公署」の特別委員を演じ、トニー・レオンと深謀遠慮を重ねる見応えのあるシーンも多い。

マイケル・ホイ

中でも5分間のモノローグシーンでは、香港とイギリスの警察高官が彼を見つめる中、流暢な英語を操り、その力強い存在感で場を制する。監督のフィリップ・ユンは、マイケル・ホイの演技に心を揺さぶられるあまり、泣きながらこのシーンを撮影したという。香港映画に並々ならぬ思いを抱くマイケル・ホイの出演について「彼の存在は香港の人々にとって特別な意味があります。彼が語る英語のモノローグに、誰もが私のように我を忘れて見入るでしょう。本作が映画史に足跡を残し、少なくとも映画ファンとしての私の記憶に残ることを願っています」と熱く語った。


そんなマイケル・ホイは、実は当初監督からのオファーを断っていた。脚本を読み終え気持ちが変わったマイケル・ホイは、特に琴線に触れた英語のセリフの一部に自ら手を加えたという。そのため劇中のセリフは、まるでマイケル・ホイ本人が香港の観客に打ち明ける本音のようにも感じられたとフィリップ・ユンは語る。例えば「火事から誰かを救うために消防士へ賄賂を手渡さなければならない、病気の母親を病院に入れるために医療スタッフへ賄賂をあげなければならない。私たちの街がそうであってほしくありません」というくだりがある。淡々とした冷静な語り口が、より説得力と感動を高めた。『風再起時』の撮影について、まるで1960〜70年代の香港に戻ったかのようだと話すマイケル・ホイは、本作でアジア・フィルム・アワードと香港電影金像奨の助演男優賞にノミネートされている。

翻訳・編集:二瓶里美
編集者、ライター。2014年より台湾在住。中華圏のエンターテインメント誌、旅行情報誌、中国語教材などの執筆・編集に携わる。2020年5月、張克柔(字幕翻訳家・通訳者)との共著『日本人が知りたい台湾人の当たり前 台湾華語リーディング』(三修社)を上梓。

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