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【特集】アジアのお弁当を知りたい!<韓国編>#4:韓国のロケ弁はケータリングカーが定番!

今回、お弁当事情を深堀りしてみるのは、お隣、韓国です。文化面においては日本との共通点も多く、身近な国というイメージがありますが…!? 韓国在住歴20年の日本人ママであり字幕翻訳家である山岸由佳さんに、リアルなお弁当事情をレポートしていただきました!

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映画・ドラマの撮影現場で大活躍
韓国のロケ弁はケータリングカーが定番!

最後は、韓国芸能界の舞台裏より、ロケ弁事情をお届けします。

韓国では日本のような仕出し弁当ではなく「パプチャ(밥차 ご飯・車)」といって、撮影現場での食事を一手に引き受けるケータリングカーが一般的です。人気の定番メニューは、やはり豚肉炒め(제육볶음 ジェユクポックム)。韓国人の食指が動く赤色のピリ甘辛炒めで、肉々しいスタミナ食でありながら、サンチュに包んで食べれば野菜も摂れます。そして何よりできたてホカホカを味わえるのです。

制作サイドの裏事情を明かすと、ひとり一食分の予算は平均8000ウォン。パプチャ側には「〇月〇日は〇人分」と発注しておけばよく、スケジュールと予算に合わせるのも経費を精算するのも楽チンなのです。時々、役者さんたちのおごりで普段より豪華で美味しいパプチャ飯が提供されることもあり、そんな特別な日の予算は15000ウォンくらい。牛カルビの蒸し煮(소갈비찜 ソカルビチム)参鶏湯(삼계탕 サムゲタン)などが振る舞われます。

地方ロケの場合、出演者もスタッフも地元の美味しい店で食べるのが楽しみのひとつではあるのですが、食堂は一般客と時間をずらして貸し切りにするなど、ケアや調整を要する点が多くなってしまうため、パプチャが重宝されているというわけです。出演者のファンクラブや俳優仲間が差し入れるパプチャのカフェ版、コーヒーカー(커피차 コピチャ)も近年ますます増加中です。

ちなみにパプチャには事前に注文された数量分の食事しか基本的には用意されていません。撮影が予定以上に長引いて急遽、夜食が必要になってしまった時は? スタッフが近場の店へ走って人数分をテイクアウト。そのメニューとは、やっぱりキンパなのでした!


韓国映画の撮影現場に主演女優さんの所属事務所の先輩から差し入れられたコーヒーカー。2021年3月撮影。
目下、撮影中の最新作なのでお名前&お顔は非公開とさせていただきます!



#タビト

Text:山岸由佳
字幕翻訳家


韓国在住20年目に突入。現地発信の韓国エンタメ情報番組ディレクターとして第一次韓流ブームを最前線で過ごし、字幕翻訳家に転身。
韓国人の夫、小学生の息子、犬、亀とコロナ禍のソウル郊外に暮らしている。


Q. 山岸さんの好きなお弁当のおかずは? 
好きなお弁当のおかずは鮭おにぎり(北海道出身のため)。

写真提供:山岸由佳
Edited:
野田智代(編集者、「韓流自分史」代表)

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