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「殿下攻略」から考える、魅惑の弦楽器「琵琶」|中国時代劇トリビア#62

中国ドラマを観ていて、あれ、これ…なんかちょっと気になる~!?という小さな“なにか”を見つけてしまうことはありませんか?そんな中国ドラマに登場する、ちょっと気になる小さなアレ!を解説する小ネタトリビアをご紹介していきます。今回は時代劇ゲームの世界に閉じ込められてしまった恋人たちを描いたドラマ「殿下攻略~恋の天下取り~」より。

「殿下攻略」で気になるアレ! 魅惑の弦楽器 琵琶

ドラマの中では、音楽をこよなく愛する涂思熠が、林真児の現代的センスの力を借りて、誰も見たことも、触れたこともない未知なる楽器……“ギター”を手づくりして、皆を驚かせます。

 「殿下攻略」場面写真
「殿下攻略~恋の天下取り~」より

同じ弦楽器として、中国で古くから愛されてきた楽器に、古琴と琵琶があります。古琴に関してはドラマ「孤高の花~General&I~」の回のトリビアを参照して頂き、今回は琵琶にスポットを当ててご紹介していきます!

琵琶にはいくつかの種類があり、中国でうまれたものと、海外からやってきたものとがあります。

秦の時代に、始皇帝によって万里の長城が建築される際、長城を作るために各地から集められた人々が仕事の休憩の間に元々手でたたく鼓(つづみ)に弦を付けて弾いていました。これが中国の最古の琵琶と言われているそうです。その後、秦末から後漢にかけて月琴の租となった円形の胴とまっすぐな首を持つ形の琵琶が流行し、のちに胴と棹が分離した形になったものを「竹林の七賢」と呼ばれた隠者の一人である阮咸(げんかん)が得意としたことから、この形の楽器を「阮咸」と呼ぶようになりました。

「殿下攻略」場面写真2
「殿下攻略~恋の天下取り~」より

これに対して、現在使われている琵琶の元となった洋ナシ型の胴と曲がった首を持つ四弦の琵琶と、洋ナシ型の胴とまっすぐな首を持つ琵琶の2つは、イランやイラクからシルクロードを経て中国に入った楽器がルーツになります。この二つのタイプの琵琶は、縦に抱えて弾きやすい形状で、遊牧民が馬に乗って移動しながら弾いたりできる楽器でもあったようです。

このように琵琶は外国から入ってきた楽器でもあったため、中国の楽器として長い歴史を持つ古琴とは異なり、朝廷で演奏できる正規の楽器とはみなされておらず、六朝時代(222~589)になってから、宮廷でも演奏がされるようになり、のちに古琴と並ぶ楽器として広く認められるようになったそうです。

Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。『台湾エンタメパラダイス』『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)にて執筆記事掲載中。

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