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韓国映画特集

【インタビュー】クロックワークス・細川由香理さん  良いものは良い!韓国映画を日本に届けるひと(2)

『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』『哭声/コクソン』『エクストリーム・ジョブ』etc....多くの名作韓国映画を日本にとどけてきた配給会社クロックワークスでアジア作品を担当する細川由香理さん。細川さんのお仕事、業界から見た日本での韓国映画、そして韓国映画の魅力についてお話を訊きました。


『新感染』のヒットが韓国映画への垣根をなくしてくれた


― 次は業界の立場から見た、日本での韓国映画についてお話をお伺いしていきたいと思います。
配給会社の立場から見て、日本でターニングポイントとなった韓国映画を挙げるとしたら何だと思いますか?

クロックワークス 細川さん(以下、細川):そうですね…私の中では『新感染 ファイナル・エクスプレス』です。それまで韓国映画って、映画ファンの方々の中でも一歩引いて見られていたように思うんです。自分の観るジャンルではない、と思われているというか…。その垣根をなくすきっかけの1つになったのかなと思います。クロックワークス配給作品ではないのですが(笑)。

       
『新感染 ファイナル・エクスプレス』
プサン行きの高速鉄道の中で発生した謎のウィルスによる感染拡大で引き起こされる恐怖と混沌を描いたサバイバルパニックアクション。
Blu-ray、DVD発売中 4,700円+税 販売・発売元:ツイン
© 2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved.


― どういったところが垣根をなくすきっかけになったと思いますか?

細川:やっぱりクオリティの高さですね。数々のゾンビ映画の名作がある中で『新感染』はハリウッドにも負けないクオリティの高さを見せてくれました。

かつゾンビアクションだけでなく、絶体絶命の危機だからこそ露わになる人間の本性や絆など、エモーショナルな深い人間ドラマも描くという、韓国ならではの良さもある。そういったところで、映画ファンの方々に「韓国映画ってなかなか面白いんじゃないか」と振りむいてもらえたのかなと。


― たしかにこの作品は韓国映画を普段ご覧にならない方や、そもそも映画観る習慣のあまりない方もご覧になっていた印象です。

細川:「今観るべき作品」ということでご覧になった方も多かったですよね。口コミの後押しもありましたし。いろんな可能性を見出してくれた作品だと思います。


― 個人的に、『パラサイト 半地下の家族』の日本での大ヒットは、もちろんカンヌやアカデミーで受賞したことも大きいですが、実は『新感染』で韓国映画に対するハードルが少し下がっていたのも理由の1つなんじゃないかと思うんです。

細川:私もそう思います。「良いものは、ジャンルや国を超えて良い」という流れは、パラサイトにもつながっていますよね。


『新感染 ファイナル・エクスプレス』© 2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved.



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