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【きゅんとあじあ】 TAIWANDERFUL(台ワンダフル) 2015 レポート&セットリスト

8/14(金)に、第2回目となる〈TAIWANDERFUL/台ワンダフル〉が開催されました。
台湾の音楽、映画、ドラマ、文化、食を一挙に紹介するという、台湾好きにはたまらないイベントです。

イベントは【カルチャーの部】と【ミュージックの部】のふたつに分かれています。
会場となる恵比寿リキッドルームの2階全フロアを使った【カルチャーの部】では、様々なトークショー、映画紹介コーナー、台湾ドラマ紹介コーナー、LIPさんの雑貨コーナー、CD販売、さらには川島小鳥さんの写真展もあり、盛りだくさん。

シネマート六本木の〈台湾シネマ・コレクション2015〉で多大なご協力をいただいた江口洋子さんによる「KANO」裏話&最新台湾映画紹介のトークでイベントがスタート。
平日の16:00にも関わらず、会場はパンパン! 正直、予想以上でした。





その後も、"ゆるキャラ" の登場(何気に可愛い)や、台湾でも人気の写真家・川島小鳥さんとクラウド・ルーによるトークショー、音楽評論家・関谷元子さんと「台湾エンタメパラダイス」の小俣編集長の台湾ドラマ紹介と続き、時間が経てば経つほど来場者も増えていきました。
台湾ドラマ紹介では、小俣編集長に「僕らのメヌエット」を取り上げていただきました。
エドワード・ヤンの『恐怖分子』を彷彿とさせる川島小鳥さんの写真展(もちろん作風ではなく、その掲示方法です)のお部屋も素敵でした。

そんな盛り上がりを横目に、【ミュージックの部】出演アーティストの記者会見が行われました。



台湾経済文化代表処・台湾文化センターの朱文清センター長からは、
「これは台湾文化省が台湾の文化を紹介するイベントですが、昨年は〈宇宙人/Cosmos People〉が出演し、日本でCDを発売しコンサートも行いました。かなりの成果を上げたといえるでしょう。今年の参加アーティストも、同じように盛り上げていただきたいです。このイベントを通じて、台湾と日本の音楽、文化、観光の交流が増々密接になるように期待しております」とご挨拶がありました。

続いて、実行委員長でありゲスト出演する〈閃靈/CHTHONIC(ソニック)〉のヴォーカルFreddyからは、翌日の終戦の日を踏まえたコメントがありました。
「終戦後70周年ということで、70年前の日本人の心情はとても複雑だったと思います。今でもそうだと思います。この70年の間、日台の関係は良好で、このようなイベントを開催するに至りました。台湾でのイベント火災事故や台風の際、日本からたくさんの支援をいただきました。台湾は世界各国と仲良くなりたくても、政治的な関係で難しい。日本は世界各国とは友好だが、アジア圏に関しては困難な部分がある。この二つの特殊な立場にある国が友好関係を築けるのは、大変面白いと思います。このイベントを通して、増々の友好関係を築ければと思います」

㈱スペースシャワーネットワーク代表取締役社長、清水英明氏は、
「台湾の音楽や文化は多彩で生き生きとして、心を豊かにしてくれるものです。これからの未来を作っていくには、今の台湾の人たちが何を考え何を伝えようとしているのかを、我々日本人が理解していくことが必要であり、音楽、文化、アーティストはその理解をしやすくするものです。今後もより深く理解していければと思います」と述べました。

続いて出演者の挨拶。


■拍謝少年/Sorry Youth
(左から)薑薑(Vo.B)、維尼(G)、宗翰(D)

維尼「初めて日本に来ました。今日と明日のサマソニと参加できて、関係者の皆様に感謝しております。昨日は「SLAM DUNK」の舞台となった湘南に行って気合を入れてきました!
(公式にも、著者・井上雄彦が精神の師だと記載されています)
今はこれから演奏する曲のことが頭を巡っています。あとは、CDが完売することを祈っています。
煽るので一緒に楽しんで曲を覚えてください!」


■血肉果汁機/Flesh Juicer
(左から)Zero(Gt)、Jen(Ba)、Gigo Pro(Vo)、Chung(Dr)、Qing(Gt)

Gigo Pro「皆さんと友達になりたい。私たちが皆さんに血と涙を渡しますので、皆さんも私たちを楽しませてください。私たちの演奏によって、台湾が恥をかかないようにしたいです。この豚の頭と、バンド名を是非覚えてください。」


■盧廣仲/クラウド・ルー


「日本で何度かライブしましたが、いつもは1人でした。今回はバンドなので、みんなで「Yeah!」って言えるなと。ライブ楽しんでください」
「僕は日本の朝食が大好きです(出演者から笑い)。お米と納豆が大好きです。美味しいです」

彼は話す時に満面の笑顔になります。そして彼の一言にアーティストから必ず笑いが起こります。
周りをハッピーにする不思議な魅力がある人でした。

(左から)Doris、Jesse、Freddy from CHTHONIC & DJ Mykal

〈血肉果汁機/Flesh Juicer〉のゲストとして出演する CHTHONICのDorisは「自分たちのライブより緊張しています」と語った。


夜になり、いよいよ【ミュージックの部】スタートです!
天井から台湾の提灯が下げられたロビーでは、台湾担仔麺や小籠包、マンゴーかき氷などが販売され台湾ムードを盛り上げています。

開場中には、「今回のイベントを通して、台湾のバンドやアイドルだけではなくDJも知ってもらいたい」と意気込みを語ったDJ MykalのDJプレイが披露され、会場を温めてくれました。
最後の方に使われた中国語の歌が気になったのですが、誰の歌だったんだろう?


〈拍謝少年/Sorry Youth〉


トップバッターとして登場したのは若手ロックバンド〈拍謝少年/Sorry Youth〉。
ヴォーカル&ベースの薑薑、ギターの維尼、ドラムの宗翰からなる、スリーピースバンド。
個人的にスリーピースバンドが好きなので期待が高まります。

まずは歌なしの「海馬迴」でご挨拶。上手いとかどうとかいうのを超越するライブ感、音の歪み。かっこいい~。もともとはインストが主で、後に台湾語で歌うようになったという経歴があるだけに、彼ららしい掴みといえるのかもしれません。



一転、ミディアムナンバーに台湾語の歌が乗ると、とたんにアジア特有の湿り気を帯びていきます。この振り幅はかっこいいな。
会見で"一番聴いてほしい欲しい曲"と語っていた「兄弟無夢不應該」は、まだリリースされていない新曲(ライブでは演奏されている)。

薑薑が「こんばんは、はじめまして、Sorry Youthです。日本でライブができてうれしいです」と日本で挨拶すると、維尼が魚のイラストのタオルを掲げ、会場からの声に、「そう、虱目魚(サバヒー)」と応える。会見で維尼が抱えていた虱目魚の頭を被った男が、ステージ中央に登場......。謎だ......(笑)



「深海的?」というタイトルが、なんとなく映画の香りがすると思ったら、戴立忍(ダイ・リーレン)監督の映画『あなたなしでは生きていけない』の影響を強く受けているらしい。
特にカッコいいのが、ラストナンバー「台十七」。この曲もドキュメンタリー映画「?子寮漁村紀事」の主題歌となっている。ちなみに2曲目の「我們苦難的蘋果班」は楊力州(ヤン・リージョウ)監督のドキュメンタリー「拔一條河」の主題歌。
映画人の琴線に触れる楽曲が多いのかもしれませんね。


このCD(海口味)、買えばよかったと激しく後悔中...

★〈拍謝少年〉セットリスト
海馬迴
我們苦難的蘋果班
兄弟無夢不應該
深海的?
台十七


〈血肉果汁機/Flesh Juicer〉


来た!デスメタル。豚さんが叫ぶ!!デスメタル。
久しぶりにヘドバン見たなぁ。
フロア前方の盛り上がりがすごい。心なしか、昨年より男性が多い気がする。

日本でも、8/5にファーストフルアルバム「GIGO」がリリースされたばかり。
その1曲目を飾る「帶上血肉」からライブがスタート。
このアルバムからは「泡茶」と、道士が登場するMVが印象的な「上山」も披露された。



2曲目は、EP「粗殘台中」のタイトル曲。
このタイトルからして、彼らの出身地である台中を皮肉ったものなのか。

同「粗殘台中」に収録された「出巡」を、一番聴いてほしい曲として挙げていたGigo。
「歌詞は分からなくても、ドラムの響きや演奏を聴いてもらえれば伝わると思うので、一緒に盛り上げてください」。確かにカッコいい曲。

「出巡」が終わると、本日の目玉!
CHTHONIC(ソニック)のDoris、Jesse、FreddyとDJ Mykalがゲストとして登場!





CHTHONICの「玉砕」を、この日のためにDJ Mykalがアレンジ。
翌日が終戦の日であることを踏まえての選曲であることは間違いないでしょう。



台湾を代表するふたつのメタルバンドの融合は、音はもちろん、見た目にも圧巻!
それにしても、かっこいいな。
台湾音楽の奥深さを知る良い機会となりました。

★〈血肉果汁機〉セットリスト
帶上血肉
粗殘台中
薄酒
泡茶
上山
出巡
玉砕 (feat CHTHONIC)


〈盧廣仲/クラウド・ルー〉


台湾語の楽曲が続く中、この個性的なショーケースのトリを務めるのが、台湾を代表するシンガーソングライター、クラウド・ルー! 
彼を目当てに来たファンが今か今かと待ち構える中、会場に電話の着信音が響きます。
とくれば...「別在我睡覺時侯打給電話我」ですよね! 2曲目は「七天」。

くろぶちメガネにおかっぱの名残が残るヘアスタイルという、彼の風貌にぴったりの可愛らしいポップスが2曲続いたあとは、「こんにちは、クラウド・ルーです」とたどたどしい日本語でおどけて挨拶。

会場を笑わせたと思ったら、がらりと世界観が変わって、ギターだけで歌い始めた「校園歌手」。
続いて、デビューアルバムのタイトルロール「100種生活」。

再び日本語で「こんにちは、クラウド・ルーです。次の曲は、マンリンフン(慢靈魂)です」。
あ、腕にカンペが貼ってあったんだ(笑)
この感じ。THE台湾POPSって感じのメロディライン。ちょっと懐かしいな。




「こんにちは。あけまして、おめでとう」......なんで?(笑)
「朝ご飯は一番大切」
出た~、朝ご飯。会見も朝ご飯の話だった。
そして一番聴いてほしいと言っていたのも朝ご飯の歌、「早安,晨之美」。
「對?~對?~(ドゥイアードゥイアー)という掛け合いがあるので、一緒にやってもらえたら嬉しい」と会見で言っていましたよ。カズーも吹いたりして、会場も楽しそう。

「よい夜をお過ごしください...」と、きれいにまとめて歌い始めるはずが、チューニングを始めたので会場からクスクスと笑いが起こる。そして奏でられたイントロを聞いて、ファンから歓声が上がった。ラストナンバーは、「我愛?」。

それにしても、彼の一番の武器は「声」だな、と思う。
歌が上手い人はあまたいるだろうが、この「響き」を持つひとは、そうはいない。

★〈クラウド・ルー〉セットリスト
別在我睡覺時侯打給電話我
七天
校園歌手
100種生活
慢靈魂
把我?開
好想要揮霍
早安,晨之美
我愛?

今年の出演アーティストも、翌日にはSummer Sonicに出演しました。
毎年、この流れが定着するといいですね!(文:村野奈穂美)

▽「TAIWANDERFUL(台ワンダフル) 2015」公式サイト
http://taiwanderful.jp/

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