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レポート・インタビュー
キャストインタビュー

「師任堂(サイムダン)、色の日記」キャストorスタッフのインタビューを毎週1名ずつ掲載していきます。
今週は、朝鮮時代では朝鮮第11代王・中宗、現代では韓国大学教授ミン・ジョンハクを演じた、チェ・ジョンファンさん!


<プロフィール>
チェ・ジョンファン(中宗/ミン・ジョンハク)
1965年9月24日生まれ。91年MBC公開採用タレント22期として芸能界入り。「鳥よ鳥よ青い鳥よ」(94)でドラマデビュー。「女人天下」(01~02)で今回同様に中宗、「済衆院」(10)で高宗、「階伯〔ケベク〕」(11)で武王など、時代劇の国王が当たり役。12年より貞華芸術大学放送映像演技学部教授。


第1回:2017.8.22掲載
第2回:2017.8.23掲載

チェ・ジョンファン(中宗 /ミン・ジョンハク)#1

― 「師任堂(サイムダン)、色の日記」に出演を決めた理由を教えてください。

韓国の歴史において、師任堂ほど尊敬されている女性は珍しいんです。

彼女に向けられる興味と愛情は、女性で初めて5万ウォン札の肖像として採用されることにもつながったほどですから。
善徳女王、柳寛順烈士など数人の候補がいましたが、韓国人なら誰もが当然尊敬している師任堂が、最終的に選ばれました。

彼女の人生は50年足らずですが、彼女に対する韓国人の愛は、5世紀が過ぎた今でも続いています。
このような人物をドラマとして再解釈した作品に、出演しない理由はありませんよね。

特に、私は師任堂が描かれた5万ウォン紙幣が大好きです。
韓国の紙幣の中で最も高額の紙幣だからです。フフフフ。



― 「師任堂(サイムダン)、色の日記」 の脚本をはじめて読んだときの印象は?

有名なチャールズ・ディケンズの小説のタイトルを拝借すると、「Great Expectations」(邦題:大いなる遺産)だという印象を受けました。

小説は身分の上昇と愛に関連した内容ですが、私は「師任堂(サイムダン)、色の日記」の脚本を読んだ時、チャールズ・ディケンズのタイトルそのまま、「偉大なる我が国の遺産」だという印象を受けました。

それほど、"人"が何よりも偉大な歴史の遺産だという...... 師任堂が韓国の偉大な遺産ではないかと思います。フフフ。



― ご自身が演じられた中宗/ミン・ジョンハクについては、どういった印象を抱きましたか?

一人二役で、過去と現在では違う人物ですが、印象には共通している部分もありました。

人にはひとつずつトラウマがあると思います。

人々は、王は神の領域だと思っています。しかし、中宗は少し違って人間的な面がある王だったと、私は思っています。
まず中宗に対しては、「気の毒で抱きしめてあげたい」という印象です。

歴史における中宗は、柔不断で振り回される弱々しい君主という印象が強いですが、そのような行動はあの時代を生き抜くための策であり、実は裏では政治の達人だったという解釈もあります。
中宗は朝鮮の第11代王です。
燕山君時代の悪政を改め、中宗反正によって突然、王になった人物です。
本人の意思よりも周囲の人々によって兄である燕山君を追放し、腹違いの弟である自分が王になったのです。

考えてみてください。
中宗の心境が、どれほど重く恐ろしいものだったか。

ミン・ジョンハクは頭脳明晰な人物です。
ああいう人は、学校で、または社会で、最高の地位に上り詰めたがるでしょうね。
教授には教授なりに、ねたみや嫉妬、私利私欲などに関する多くのトラウマを抱えています。
しかし、教授としての研究心と学生を愛する心もまた、そこに共存している人です。
ですから、「抱きしめてあげたい人」という印象を受けました。


― 中宗/ミン・ジョンハクは、過去/現代どちらのパートでもかなりの重要人物ですが、
この役を演じるうえで演出家・脚本家から受けたアドバイスなどはありましたか?

これまで私は、2002年の「女人天下」というドラマの中宗役に始まり、2006年には高句麗の栄留王(※ドラマ「淵蓋蘇文 ヨンゲソムン」)、2010年には朝鮮の高宗(※ドラマ「済衆院 / チェジュンウォン」)、2011年は百済の武王(※ドラマ「階伯 [ケベク]」)を演じました。

そのようなバックグラウンドがあったから、監督と脚本家が、チェ・ジョンファンという人物は誰よりも中宗/ミン・ジョンハクに適していると見てくれたとのだ思います。
だからキャラクターについてアドバイスするということよりも、演技をする私に多くの期待と信頼を向けてくれていたと思っています。

― 「女人天下」でも中宗の役を演じられていますね。本作で再び中宗を演じるうえで、意識されたポイントはありますか?

この質問をされると思っていました。フフフ。

本当に、中宗を愛しています。私の人生にとって重要な役だったからです。

2002年当時、私は2年間中宗として生きていました。
それだけによく分かっていると思いますが、やはり同じ役を演じるとマンネリ化するものです。

当時と今では、歳月が過ぎ、私も年を取りました。
「女人天下」での中宗が、謹厳さと冷徹さ、洞察力、つまり政治的な面をメインに表現していたとすると、「師任堂(サイムダン)、色の日記」では王の孤独、不安、正直さ、人間的な面、つまり中宗の内面を表現しようと努力しました。



― 中宗/ミン・ジョンハクは、しかも過去/現代、と時代が異なる1人2役を演じられましたが、いかがでしたか?
 1人2役を演じられるうえで意識されたことはありますか?

俳優は劇の核心的要素だといわれます。
いくつかの要素、すなわちドラマのテイストを作り出す生産者であると同時に、その生産物でもあるのです。

私は撮影の間、興味津々で常にわくわくしていましたが、反対に私が心配していたのは、視聴者に同じイメージを与えてしまうかもしれない、という側面でした。
視聴者としては、それをうれしく感じることもあれば、反対に、一人二役で飽きてしまうとか、好ましくないと感じることもありえます。
中宗/ミン・ジョンハクをどちらもチェ・ジョンファンが演じますが、この2つのキャラクターが全く違って見えることを願って演じました。

欲張りでしょうかね? フフフ。



― 現代パートで、かなりイ・ヨンエさん演じるソ・ジユンに酷いことをする役ですが、イ・ヨンエさんとの共演はいかがでしたか? 現場での印象的なエピソードがあれば教えてください。

「宮廷女官チャングムの誓い」のイ・ヨンエという人は、韓国の女優というよりもアジアの女優です。
まだ新人の1996年に「絆」というドラマでご一緒して、2017年に再び共演できたことは、私にとっても光栄なことでした。

我らがヒロインを、現実では誰もいじめたりなんかできませんよ。
そんなことしたら、一大事です。
あれほどの大女優をいじめる教授だなんて...視聴者から随分たたかれるだろうな...
と思っていました。フフフ。



― ソン・スンホンさんとは、時代劇パートでの共演でしたが、ソン・スンホンさんとの共演はいかがでしたか? 現場での印象的なエピソードがあれば教えてください。

ソン・スンホンさんとは1998年に「勝負師」で共演し、今回またご一緒しました。

ソン・スンホンさんは話すことより聞くことに長けている人です。
私は口数が多くはありませんが、時々冗談を言ったりするんです。
それほど面白くない話にもかかわらず、はにかみながらも私の話に耳を傾けてくれる後輩のスンホンさんを見ていると、いつもソフトな男性だなと思います。フフフ。

それから、よく演技についての助言を求めたりする、誠実な後輩です。

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