『妖怪、化物をひろう』余貴美子、オダギリジョー、池田暁監督ほか 登壇!10.28(水)実施 第39回東京国際映画祭 舞台挨拶オフィシャルレポート
オダギリジョーがプロデューサーとして参加し、余貴美子が主演を務めた池田暁監督最新作『妖怪、化物をひろう』が12月25日(金)よりシネマート新宿、池袋シネマ・ロサほかにて公開となります。
かつて嵐で壊滅的なダメージを受けた小さな町。焼き団子を売りながら孤独に暮らす老婦人タエは、ある日、雑木林で人間とは思えない奇妙な生き物の赤ん坊を見つける。町の人々がその存在を気味悪がるなか、タエは赤ん坊を“ハル”と名付け、大切に守り育てようとする。本作は、日台のトップスターを迎え、祖先信仰や風獅爺文化など独自の歴史と信仰が息づく台湾・金門島での全面ロケを敢行し、孤独な老女タエと奇妙な赤ん坊ハルとの出会いを描く日台合作映画である。傷ついた土地で厳しい現実に向き合う人々が、再び歩み出そうとする姿を静かに見つめる本作は、タエとハルの関係を軸に、喪失と再生をめぐる力強い寓話を紡ぎ出す。
監督を務めるのは、『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』(20)などで国内外の映画祭で数々受賞を重ねてきた池田暁。90年代のロシアで「老夫婦がエイリアンのような赤ん坊を育てた」という実際の出来事から着想を得ており、舞台を台湾や金門島に限定しすぎないことで、“世界のどこでも起こり得る物語”として普遍性を獲得させた。主役のタエを演じるのは、2026年も出演作の公開が続く余貴美子。奇妙な赤ん坊を絶対的に愛し、守り抜こうとする老女の姿を、圧倒的な説得力で体現した。オダギリジョーは生真面目な警官・小宮役を、台湾のラッパー/シンガー Leo王(リオ・ワン)は実直な葬儀屋・谷役を演じる。さらにリウ・グァンティン、きたろう、片桐はいり、白石隼也、佐藤菫ら日台の実力派キャストが集結した。
本作は、現在開催中の第39回東京国際映画祭コンペティション部門に選出され、10月28日(水)に、余貴美子さん、オダギリジョーさん、チェン・シュウテインさん、ウェン・ユウミンさん、白石隼也さん、チュウ・ヨウニンさん、小坂史子さん、池田暁監督による舞台挨拶付きワールド・プレミア上映を行いました。また、前日の27日(火)には台湾文化センターにて余貴美子さんや白石隼也さん、池田暁監督らが登壇し、プレミアムトークイベント「金門島×ハル×キャスト プレミアムトーク」が開催されました。
『妖怪、化物をひろう』第39回東京国際映画祭 舞台挨拶
日時:2026年10月28日(水)19:45~
場所:ヒューリックホール東京 (東京都千代田区有楽町 2-5-1 有楽町マリオン 11F)
登壇者:余貴美子、オダギリジョー、池田暁監督、チェン・シュウテイン、ウェン・ユウミン、白石隼也、チュウ・ヨウニン、 小坂史子

第39回東京国際映画祭コンペティション部門に選出された映画『妖怪、化物をひろう』の舞台挨拶とQ&Aが10月28日、ヒューリックホール東京で行われた。舞台挨拶には、池田暁監督、余貴美子、オダギリジョー、白石隼也、チェン・シュウテイン、ウェン・ユウミン、プロデューサーのチュウ・ヨウニン、小坂史子が登壇。上映後のQ&Aでは池田監督、余、オダギリが観客の質問に答え、作品に込めた思いや撮影の裏側を明かした。本作は、台湾・金門島で全編を撮影した日台合作映画。団子を売りながら暮らす孤独な老女・タエが、奇妙な赤ん坊を拾い、ハルと名付けて守り育てようとする姿を描く。余がタエ役で主演を務め、オダギリは生真面目な警官・小宮役で出演している。
■日台のキャストが集結、作品を届ける喜びを伝える
池田監督は、製作が止まりかねない局面が何度もあったと振り返り、「完成して、東京国際映画祭で上映させていただけることを、とても光栄に思います」と挨拶。余は「お客さまがいらしてくださって、ほっとしています」と安堵し、「妖怪ババアを演じさせていただきました」と自身の役を紹介。この日はハルも一張羅の着物姿で会場を訪れた。オダギリは「こういう珍しいタイプの映画を、東京国際映画祭で上映してもらえることが非常にうれしいです」と喜びを伝えた。白石は、退屈な日常をいかに面白く、人間らしく生きるかに触れ、作品への参加を通して「愛でる存在を見つけることが重要なのかな」と感じたそう。「映画が、皆さんにとって愛でる存在であり続けたらいいなと思います」と願いを込めた。チェンは「ニックネームはまる子です。今は北海道の旭川市に住んでいます」と自己紹介し、「きょうは皆さんと会えてうれしいです」と観客に呼び掛けた。ウェンも「今回、この作品に参加できたことを、とてもうれしく思っています。ありがとうございました」と感謝を届けた。

■オダギリジョー「僕を利用してもらえれば」池田暁監督作品への信頼を語る
Q&Aに移ると、池田監督は着想のきっかけとして、1996年にロシアで老女が奇妙な子どもを拾って育てたとされる出来事を紹介。「そんな生き物を愛情を持って育てる、人間の愛情の広さ」に興味を抱いたことが、本作の出発点だったと説明した。出演に加えてプロデューサーも務めるオダギリは、最初は俳優として声を掛けられたと回想。約20年来の付き合いがある小坂からのオファーで、もともと知っていたロシアの出来事を扱う作品に関心を持った。その後、池田監督の過去作に触れ「めちゃめちゃ面白いんですよ! 皆さんもぜひご覧いただきたい」と絶賛。「この2020年代の日本映画に、まさかこういうタイプの作品を作る方が残ってくれているとは」と驚きを隠さず、「小津映画とジブリ映画を混ぜたような、気持ちのいい空間というか、映像体験」と、その魅力を表現した。一方で「今の時代、こういう作品を作るのは難しいし、お金も集まらないですから」と、製作を取り巻く状況にも言及。自身は資金集めなどを担ったわけではないとした上で、「何かしら協力できることで、稀有な才能を世の中に広げられるなら」と参加への思いを明かし、「プロデューサーという立場を利用するというよりは、僕を利用してもらえればっていう気持ちでした」と語った。

■余貴美子もやきもち? 撮影現場の中心にいたハル
池田監督の現場について尋ねられた余は、スタッフが手袋をしてハルを扱う様子に触れ「大御所なんです。私なんておざなりになってですね。ポスターだってハルちゃんのアップですから」とユーモアを交えた。「やきもちを焼くくらい大事にされていました」と振り返り、実体のあるハルと金門島の美しい風景に囲まれた撮影を、「その中に身を置くだけで、せりふを言うだけで、監督のワンダーランドに入れて、幻のような撮影でした」と表現した。観客からハルの造形について質問が寄せられると、池田監督は頭部が約6個、体も5、6個あり、脱皮の場面などでは別のものも使用したと回答。主に動かしていたのは会場に連れてきた個体で、「この子が映画の8割ぐらい出ていると思います」と紹介した。余は、最初に出会ったときこそ「何だこれは!」と思ったものの、次第にかわいく感じ、スタッフもハルに話し掛けるようになったと回顧。笑ったり泣いたりする表情は、5人ほどが動かして作っていたそうで、「芝居をしている間、みんな大変な思いで動かしているんです」と、その苦労にも触れた。「この子がだんだん、本当にいてもおかしくない存在になって、みんなすっごくかわいがっていました。この子が中心に物事が動いていましたね」と、現場での存在感を伝えた。池田監督からは、余が椅子に座ろうとした際、足元のハルを踏みそうになり、周囲から怒られたエピソードも。余は「怒られた(笑)」と笑い、「おならもするし、脱皮もするし、だんだん人間になってきて」と愛着をにじませた。「CGじゃなくて実体があって、金門島の景色も本物なので、何もしないでそこにいればよかったって感じでしたね」と撮影を振り返った。

■金門島の風景と、観客の想像に委ねる芝居
日本語と現地の言葉が混在する世界観について、池田監督は、架空の場所と時代を表現したかったと説明した。当初は日本で撮影地を探していたが、小坂から金門島を紹介され、その写真に心を引かれたそう。「日本でもないし、台湾の台北とかでもない、独特な風景を持っていて、この場所だったら架空の時代が表現できる」と考え、言語も同じ狙いから約4種類を取り入れた。建物や室内についても「全部、金門島のものです。セットは建てていないです」と回答。多少片付けることはあったものの、現地の風景を生かすことを重視し「皆さんが行ったら、ああいう風景が見られると思います」と紹介した。食事の場面で何を食べていたのかとの質問には、余が「牡蠣が入っているおそばですかね」と回答。当初は長い1本の麺を用意する予定が、うまくいかず切れ切れになったことも明かした。余によると、ロケ中には北京ダックの差し入れもあったそう。「何のお弁当が出てくるのか楽しみな毎日でした」と、台湾での日々を懐かしんだ。最後に、俳優としての手応えを問われたオダギリは、池田作品から、表現を抑える姿勢を感じたと回答。以前、小栗康平監督から、表情やせりふのトーンで感情を説明せず、観客に想像してもらいたいと伝えられた経験を挙げた。観客に答えを渡すことが全てではなく、想像する余地を残す考え方に、「俳優としてすごく勉強になりました」と振り返った。さらに「説明するような芝居は、とても簡単。技術的なことも含めて、やることは簡単ですが、いかにゼロに近づけて、芝居を無にしていくことがとても難しい」と、その奥深さを語った。池田監督もそうした表現を求めるタイプだと考えていたといい、余についても「この作品で一番いい着地点を見つけられて、日々、多く表現しないようにされていたんじゃないかな」と推察し、「それが池田作品の一番の魅力だと思っています」と締めくくった。


前日27日には、『妖怪、化物をひろう』のプレミアムトークイベント「金門島×ハル×キャスト プレミアムトーク」が、東京・虎ノ門の台湾文化センターにて開催された。イベントには、主演の余貴美子をはじめ、白石隼也、チェン・シュウテイン、池田暁監督らが登壇。映画の舞台となった台湾・金門島の魅力や、劇中に登場する異形の赤ん坊・ハルの製作秘話、撮影現場でのエピソードなどを語った。

イベント第1部「金門島を知ろう!」には、帝京大学外国語学部教授の山﨑直也氏、金門島出身で本作の製作協力・出演を務めたまる子、池田監督が登壇。全編ロケを敢行した台湾・金門島の歴史や文化、映画との関わりについて語り合った。池田監督は当初、「架空の場所と架空の時代を描きたい」と考えていたといい、その世界観にふさわしいロケ地を探す中で金門島と出会ったという。実際に訪れてみると、昔ながらの建物や集落の風景が色濃く残り、「迷い込んでしまったような気持ちになる場所だった」と振り返る。さらに「近代的なものを映したくなかった。どこを撮っても絵になる」と、映画製作者の視点から金門島ならではの魅力を語った。また、作品には現地文化も随所に取り入れられている。劇中の葬儀シーンでは、日本の古い葬送文化に加え、まる子が撮影した実際の葬列映像も参考にしたという。池田監督は、その長大な行列に驚いたと明かし、「世界観としては金門島そのものではないが、風景や文化の空気感は自然と作品に入り込んでいる」と語った。

続く第2部「“ハル”誕生の秘密」には、ハルの造形を担当した百武朋氏、操演代表の白石、池田監督が登壇。本作の象徴的存在であるハルがどのように生み出されたのか、その造形制作の過程が紹介された。池田監督は、本作の着想源が1996年にロシアで報じられたある実話だったことを説明。正体不明の生き物を拾い、愛情を注ぎながら育てていた老婆のエピソードに興味を抱き、「血のつながりもなく、人間ですらない存在を愛せるということが不思議だった」と制作動機を語った。ハルの造形では、「可愛い」と「怖い」のバランスが大きな課題だったという。百武氏は当初より不気味なデザインを考えていたが、試行錯誤を重ねる中で頭部を大きく、体を小さくするなど調整を行い、現在の姿へとたどり着いた。会場では初期デザインから完成形までの資料も公開され、その変遷が紹介された。さらにハルには、悲しい顔や困った顔など複数の表情パーツが用意され、口やお腹が動く仕組みも採用されている。池田監督は「いかに生きているように見せるかが大切だった」と語り、呼吸や目の動きに至るまで細かな工夫を重ねたことを明かした。そのハルに命を吹き込んだのが、俳優として出演する一方で操演代表も務めた白石だ。撮影では最大5人でハルを動かしていたといい、「ただの人形として扱いたくなかった」と説明。ひとりの俳優としてハルの感情や目的を考え、それを操演スタッフ全員で共有しながら演技を作り上げていたという。また、金門島の古民家など実際のロケーションで撮影したため、スタッフが机やベッドの下に潜り込みながら操演する場面も多かったそうで、白石はロケならではの苦労を振り返った。池田監督も、撮影後にはスタッフが砂や埃まみれになって現れていたと笑いながら語った。話題はCGではなくパペットを採用した理由にも及んだ。池田監督は、本作が老婆とハルの愛情を描く物語であることから、「愛情の対象が実際に存在することが重要だった」と説明。実際に触れられる存在だからこそ生まれる感情があると語った。白石も、手作業だからこそ生まれるわずかなズレや不完全さが、ハルの個性につながったと振り返った。
第3部のキャストトークには余貴美子、白石、チェン・シュウテイン、ウェン・ユウミン、池田監督が登壇。余はタイトル『妖怪、化物をひろう』について、「化物がハルなら、それを育てる私は妖怪ということですよね」とユーモアを交えてコメントし、会場の笑いを誘った。また、撮影開始前には池田監督がハルを背負って現地入りしていたことも明かされた。金門島の空港では荷物検査で中身の確認を求められ、「人形です」と説明する一幕もあったという。金門島での撮影について余は、台湾スタッフとの交流も印象深かったと語る。名前を覚えるのに苦労しながらも、ニックネームで呼び合うことで距離を縮めていったという。池田監督も「スタッフの本名をほとんど知らない」と笑い、現場の和やかな雰囲気を振り返った。さらに上映されたメイキング映像を受け、白石は池田監督の演出について「人物のアップに頼らず、引きの画で見せる作品」と説明。そのため俳優だけでなく操演チームにも高い集中力が求められたという。余はハルとの共演について、「最初は変な子だと思ったけれど、だんだん可愛くなっていった」と笑顔で回顧。スタッフたちが手袋をつけて丁寧に運び、優しく声をかけながら扱う姿が印象的だったと話した。撮影を重ねるうちに、ハルは単なる造形物ではなく、本当に命を持つ存在のように感じられるようになったという。造形、操演、そして俳優たちとの芝居によって少しずつ生命を宿していったハル。イベントでは、その誕生の背景と製作陣のこだわりが明かされ、作品への期待をさらに高めるひとときとなった。
映画『妖怪、化物をひろう』は12月25日(金)より、シネマート新宿、池袋シネマ・ロサほか全国公開。

開催期間: 2026年10月26日(月)~11月4日(水)【10日間】
■主催:公益財団法人ユニジャパン ◇公式サイト:www.tiff-jp.net
【TIFFCOM 2026】
開催期間: 2026年10月28日(水)~10月30日(金)【3日間】
■主催:経済産業省、総務省、公益財団法人ユニジャパン ◇公式サイト:tiffcom.jp


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