〈台湾映画上映会2026〉8/1(土)映画『夜明けの前に』 ≪ トークイベント レポート ≫

台湾映画上映会2026『夜明けの前に』上映会&トークイベント詳細
日 時:2026年8月1日(土)※上映後のトークイベント
開 場:13時00分 / 開 演:13時30分(上映時間113分)
場 所:日本映画大学<新百合ヶ丘キャンパス>大教室(神奈川県川崎市麻生区万福寺1-16-30)
登壇者:ツァオ・シーハン(本作監督)
聞き手:リム・カーワイ(『台湾映画上映会2026』キュレーター、映画監督)
コメンテーター:石坂健治(東京国際映画祭シニア・プログラマー・日本映画大学教授)
通 訳:中山大樹
【レポート】
台湾駐日本代表処台湾文化センターと日本映画大学国際交流センターによる連携企画として、映画『夜明けの前に』上映会が8月1日(土)に日本映画大学<新百合ヶ丘キャンパス>大教室にて開催された。上映後に、ツァオ・シーハン(曹仕翰)監督が登壇し トークイベントが行われた。
『夜明けの前に』は、ツァオ・シーハン監督の長編デビュー作。『藍色夏恋』のイー・ツーイェン(易智言)監督がプロデュー サーを務め、ウー・カンレンの出演でも話題を集めた。物語は、台湾初の総統直接選挙を目前にした時代を背景に、15歳の小洲が大人へと成長していく姿を描いていく。小洲は、不穏な空気が漂う家から逃れ、ビリヤード場に自分の居場所を見つける。不良仲間とつるみ、教師に反発し、優等生のクラスメイトに恋をする…。
人々の暮らしの中に時代を映す──
ツァオ・シーハン監督が語る、台湾ニューシネマが育んだ映画美学
会場となった日本映画大学の大教室は、創設者の今村昌平監督も教鞭をとった場所だ。ツァオ・シーハン監督は、「今日、日本の皆さんに映画をご覧頂けたことがとてもうれしいです。同時に、大好きな今村昌平監督が創設された日本映画大学での上映ということで、非常に興奮し緊張しています。」と、満席の会場を前に満面の笑みを浮かべた。日本映画大学教授で、東京国際映画祭シニア・プログラマーの石坂健治さんは、「この教室は映画人にとって聖地のような場所。今村昌平監督をはじめ、日本で台湾映画を多く紹介してきた佐藤忠男先生も教鞭を執っていました。きっと今日も、どこかで映画をご覧になっているかもしれませんね」と会場を和ませた。続けて石坂さんは、『夜明けの前に』について「台湾映画史の系譜を受け継ぎながら、世界映画の新しい潮流も感じさせる。デビュー作とは思えない素晴らしい作品」と絶賛した。
映画は台湾初の総統直接選挙が行われた1996年が舞台だ。「当時の自分はまだ中学3年、青春時代はまさに灰色の時代でした。当時の台湾も抑圧された社会が広がっていて、自分自身も台湾も変化を求めていました。自分自身の成長の時期、そして総統直接選挙という台湾社会の転換点。暗かった時代から明るい時代に向かう思いを、英題「Before the Bright Day」に込めています」と、ツァオ監督が述べた。しかし制作は決して順調ではなかった。コロナ禍を挟み、脚本を書き始めてから完成まで9年を要したという。当初は、自身も打ち込んでいたテコンドーを題材に、高雄を舞台とした青春映画を構想していた。しかし、コロナ禍で企画は中断。「もう映画は撮れないのではないか」と苦しんだ末に、「自分を信じてくれる人たちの存在が支えになった。本当に撮りたいものを、自分の映画言語で表現しようと覚悟を決めました」と振り返った。
キュレーターのリム・カーワイが、「ホウ・シャオシェン監督やエドワード・ヤン監督ら台湾ニューシネマの系譜を感じる作品」と評すると、ツァオ監督は「観客に何かを伝えたいと思ったとき、台湾ニューシネマこそ、その本質に最も近い表現だと思いました」と答えた。「台湾ニューシネマは、人々の暮らしや風景の中から感情を描き出します。だからこそ今回はスタンダードサイズの画角を選び、カメラを固定し、人物のアップを極力使わない撮影にしました。」
さらに、「東アジアでは、一人ひとりの選択にも社会や歴史、政治など様々な背景があります」と語り、テレビから流れる総統選挙の報道や遠くを飛ぶ戦闘機の音などを通して、1996年当時の社会情勢を人物の人生に重ね合わせたことを明かした。



総統選挙当日、弟が街頭インタビューで誰に投票したいかと問われ「トランクス」と答えるシーンについて、「これは「ドラゴンボール」のトランクスなのか?」と会場から質問が挙がると、「よく気付いてくれました!」とツァオ監督がほほ笑んだ。ツァオ監督は「子どもはイデオロギーではなく、自分の好きな人がリーダーになればいいと考える、とても純粋な存在です」と説明。その上で、「撮影当時、ちょうど鳥山明さんが亡くなりました。『ドラゴンボール』は、つらかった青春時代の自分を支えてくれた作品でもあり、感謝の気持ちを込めました」と明かした。
最後に台湾映画の魅力について問われると、「映画は人々の生活そのものが描かれているものです。台湾映画には、やわらかく穏やかな空気が流れています。しかし、その奥には揺るがない芯がある。その強さこそが台湾映画の魅力だと思います。」と、柔和な笑みを浮かべた。

名称:台湾文化センター 台湾映画上映会2026
期間:2026年5月~10月(全10回)
会場:台湾駐日本代表処 台湾文化センター/北海道大学 学術交流会館小講堂/大阪大学 大阪大学会館講堂/ユーロライブ/京都大学 HORIBA シンポジウムホール/中央大学<多摩キャンパス>3号館3551教室/慶應義塾大学 三田・北館ホール/日本映画大学 大教室/シネ・ヌーヴォ
主催:台湾駐日本代表処 台湾文化センター/Cinema Drifters/大福
共催:北海道大学中国文化論研究室・中国現代文学研究者懇話会/大阪大学大学院人文学研究科/ユーロスペース/京都大学大学院人間・環境学研究科東アジア文明講座/中央大学文学部中国言語文化研究室/ 慶應義塾大学東アジア研究所/日本映画大学国際交流センター/シネ・ヌーヴォ
宣伝デザイン:100KG
≪台湾駐日本代表処 台湾文化センター≫公式サイト:https://jp.taiwan.culture.tw
≪参加無料、事前申し込み制≫
各回の申し込みは、Peatixにて先着順にて受付。
≪Peatix≫ https://taiwanculture.peatix.com/
※Peatixにて、各回7日前の昼12:00より先着順にて受付。
※シネ・ヌーヴォのチケットについては、劇場HPにて取り扱いいたします。Peatix ではお申込みができません。
※本上映会について会場となっている大学、ユーロライブ、シネ・ヌーヴォへのお問合せはお控えください。
※ゲスト・イベント内容は予告なく変更となる場合がございます。ご了承ください。
≪上映作品一覧≫(全10作品)
『海をみつめる日』『あの写真の私たち』『うなぎ』『小さな町の恋 デジタル・リマスター版』『今夜は帰らない デジタル・リマスター版』『宵闇の火花』『夜明けの前に』『甘露水』『深く静かな場所へ』『荒野の夢』
≪アンコール上映/作品一覧≫(全6作品)
『余燼』『タイペイ、アイラブユー』『燃えるダブルス魂』『夫殺し デジタル・リマスター版』『猟師兄弟』『金魚の記憶』


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