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【鑑賞コラム】VBLシリーズ「Promise of the Soul」−−愛の本質を問うファンタジック・ラブストーリー

VBL新シリーズ第3部「Promise of the Soul」は魂が他人の体に入り込んでしまう、いわゆる「入れ替わり」を軸にしたファンタジーBLドラマ。日本では昔から好まれてきたテーマだが、実は中華圏、特に台湾の映像作品としては珍しい。フレッシュな香港人俳優、ワン・ジーチェン(王智騫)とファン・チージー(范麒智)が、エキセントリックな入れ替わりロマンスに挑んだ「Promise of the Soul」について見どころを紹介したい。


おじいさん×大学生男子? 奇天烈設定の妙

台湾の人気作家・緒慈による小説『靈魂的約定』を原作とした「Promise of the Soul」は、男×男、しかも69歳のおじいさんと大学生の孫の入れ替わりという、なかなかにチャレンジングな設定だ。物語は、息子夫婦に先立たれた夏茶(シア・チャー)と孫の夏澤方(シア・ゾーファン)が、共に階段から転がり落ちるところから始まる。あっさり命を落とす2人だが、ぎりぎり火葬前に祖父の魂が孫の体に乗り移ってめでたく蘇生、一方孫の魂は迷子のまま行方不明で、魂の入れ替わりは厳密には一方通行だ。夏茶はとりあえず孫が体に戻ってくるまで大学生活をおくることにするが、孫が片思いしていた葉海淵(イエ・ハイユエン)と急接近してしまう……。

中身老人と大学生男子の恋という展開は賛否両論出そうだが、コミカルな魅力もここに凝縮されている。若者とは思えないファッション、話し方、仕草に加えて、人生経験豊富なはずの老人が、新しい体を得て日々子どものように自己発見し、ジェネレーションギャップに戸惑う様子が実に微笑ましい。そんな夏茶に対する周囲の反応の変化も心温まる。ちなみに夏茶のキャラ設定には、人気漫画『あたしンち』のお母さんの要素も反映したと原作者が後書きで触れており、より親近感が高まる。


©2024 “VBL Series“ SET All Rights Reserved.



キャスティング大勝利

これを言うのは禁じ手かもしれないが、まず主演2人のビジュアルの良さが際立っている。柔らかな垂れ目のワン・ジーチェンに対し、クールな切長のファン・チージーは画面上での相性もバランスも抜群。しかも1話から惜しみなく披露される2人の上裸が、端正な顔立ちとはアンバランスにガチマッチョなのも嬉しい誤算である。

もちろん演技もいい。ファン・チージーは、人を寄せ付けない不器用な葉海淵役を好演し、堂々の初主演を飾った。一方、中身が老人という役どころに挑んだワン・ジーチェンは、ユーモアたっぷりに愛される人柄を表現し、本来の体の持ち主である夏澤方の幼さ、小悪魔っぽさとのギャップもよく出ていた。止められないときめき、湧き上がる衝動、胸が温かくなる幸福感——そんな恋の予感を感じさせる2人は老人と大学生男子……そんな少々ぶっとんだ設定も、ワン・ジーチェンとファン・チージーだからこそ実写として成立したのではないだろうか。


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2人は、香港ドラマ「I SWIM(原題)」(22)での初共演を経て、旅行グルメ番組『甜酸苦辣鮮』(23)で共にMCを務めた間柄。番組やPRイベントでの共演を通して、ファンの間では以前から2人の抜群のケミストリーが話題になっていた。「Promise of the Soul」でのカップリングは、そんなファンの期待が満を持して実現した形といえそうだ。

ちなみに、アクシデントキス、ツンデレ、苦悩のシャワー、三角関係など恋愛ドラマの鉄板要素もしっかりと押さえている。鉄板シーンは好き嫌いが分かれるかもしれないが、ドラマを盛り上げる重要なエッセンスでもある。水戸黄門の印籠シーンのように、「待ってました!」という気持ちで鷹揚に受け入れたい。


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《次ページ:【ネタバレあり】愛の本質とは何か?》


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