連載：アジアドラマの処方箋　記事一覧

この連載では、様々な症状に効く中国ドラマ・台湾ドラマを紹介。第68回の今回は「切ない感動に浸りたい！」あなたにおすすめの１本を紹介します。

お薬ドラマ「七夜雪」

このドラマの効能
・強く美しいヒロインの生き様に感動できます
・恩讐と愛が交錯する切ないドラマが泣けます
・観終わった後も繰り返し感慨に浸れます

孤高のヒロインが輝く！切なくも美しい武侠ドラマ「七夜雪」
「七夜雪」

© 2024 China Huace Global Media Co., Ltd.

静かな銀世界を舞台にした「七夜雪」は、江湖の陰謀や戦いだけでなく、魅力的なキャラクターによって深いテーマが描かれる感動の武侠ドラマ。男性たちを魅了し伝説となるヒロインの生き様とは？　孤高のヒロインと3人の男性キャラクターたち、涙腺崩壊！号泣必至！の3つのポイントを解説します。

孤高のヒロイン＆3人の男性キャラクターたち

薬師谷の谷主
薛紫夜シュエ・ズーイエ（リー・チン/李沁）

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性格：男好きで金の亡者という噂でしたが、実際は患者を命懸けで治療するストイックな女性
過去：家族を失い摩家村に身を寄せ、摩家村の虐殺を生き残った後、薬師谷で修行しました
特技：薬師谷の前谷主に師事し高度な医療の技術を持っていて、人の記憶を探る術も使えます
弱点：体が急激に冷える寒疾という持病があります
悲願：自分を救ってくれたものの今は氷の下に眠る幼馴染の雪懐シュエホワイを生き返らせたいと願っています

天山派の弟子、鼎剣閣の第七剣士
霍展白フオ・ジャンバイ（ツォン・シュンシー/曾舜晞）

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性格：義理堅く正義感の強い侠客。第六剣士の師兄・徐重華シュー・チョンホワを目の前で死なせてしまい責任を感じています
過去：天山派の師匠に引き取られた孤児で師匠の娘・秋水音チウシュイ・インと一緒に育ちましたが、彼女は師兄・徐重華と結婚
特技：墨魂剣を持つ侠客として、その武術は天下に知れ渡っています
弱点：意外とナルシスト!? 薛紫夜にだけはやり込められてしまう!?
悲願：秋水音と徐重華の息子・徐沫シュー・モーの持病を完治させることが唯一の願いです

元一宮の五明子の一人
妙風ミアオフォン（ワン・ホンイー/王弘毅）

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性格：常に笑顔のため温和で優しそうに見えますが、実は感情を感じていません
過去：没落した桑国の元王子で、自分の居場所をくれた元一宮の教王・長無絶チャン・ウージュエを恩人と思っています
特技：絶大な力を発揮できる沐春風を修練中。これで寒疾を癒すこともできます
弱点：髪が青いのは長無絶から氷蚕の毒を盛られているため。解毒薬をもらわなければ痛みに苦しみます
悲願：生き別れの姉の幸せを願っています。その行方は分かりませんが……

元一宮の第一刺客
瞳トン（エドワード・チェン/陳昊森）

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性格：無表情で何を考えているのか分からない無敵の男。長無絶に忠実な非情な刺客に見えますが……
過去：長無絶が記憶を封じているため、彼自身も過去を思い出せません
特技：青く光る特別な目を持っていて、その目で人を殺すことができます
弱点：太陽の光が苦手
悲願：実は長無絶に奪われた自分の人生を取り戻したいと考えていて……

涙腺崩壊！号泣必至！の3つのポイント

喪失と後悔、使命と希望を描く深いテーマ

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薛紫夜が薬師谷で医学を研鑽したのは、彼女を助けて自分は凍りついてしまった雪懐を生き返らせたいという一心から。前谷主から受け取った神樹に新芽が出れば雪懐を蘇らせることができると信じて毎日、無根水を与えています。

一方、霍展白は師兄・徐重華の死に責任を感じて、不治の病と言われた彼の息子・徐沫が助かる可能性を探します。そして、薛紫夜の処方箋に書かれた貴重な5つの生薬を集め始めます。

そんなふうに後悔と贖罪の気持ちを抱えた2人が、一縷の望みにすがって運命にあらがう姿は、ただただ切なくて涙がこぼれます。

静かに進展していく心満たされるロマンス

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薛紫夜は自分の気持ちを素直に言えるタイプではなく、霍展白にいつも憎まれ口を叩きます。そんな彼女に時には腹を立てることがありながらも、どんな彼女の反応も受け止める霍展白。いつしか生薬を集める霍展白にとって薛紫夜のいる薬師谷が帰る場所となり、薛紫夜も無事を祈りながら彼の戻りを待つようになります。

そして、白梅の木の下で一緒にとっておきの酒・笑紅塵を酌み交わす2人は、長い時をかけてお互いにとって掛け替えのない存在となっていくことに。言葉にはっきりと出さなくても薛紫夜と霍展白の心が通じ合っていく様子に、感動的な胸キュンを味わえます。

魂が震える驚きの展開、余韻が強く残る結末

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薛紫夜と運命が交錯する、もう2人の男性が妙風と瞳。どちらも霍展白とは敵対するポジションにある元一宮のメンバーですが、実は妙風は薛紫夜の囲碁相手として姿を現すことなく対局を続けてきた人物で、瞳も彼女とはある縁で結ばれています。

後半は妙風と瞳の過去が描かれていくことで、薛紫夜の心のしこりとなっている摩家村の虐殺事件の真相も明らかとなり、彼らと薛紫夜とのエピソードが掘り下げられていくことに。そして、最後は魂が震える驚きの展開に！ 3人の男性たちがそれぞれの運命を全うし、恩讐を越えて信念を貫くヒロインが悲しみだけでなく救いと希望をもたらす結末は感無量。観終わった後もその深いテーマに想いを巡らせ、何度も反芻したくなってしまいます。

TEXT： 小酒真由子（フリーライター）
映画界・出版界での会社勤めを経てフリーライターに。『月刊スカパー！』などの雑誌、『見るべき中国時代劇ドラマ』『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』『華流ドラマガイド』などのムックのほか、Cinem@rtにて「『山河令』の台詞を読み解く」「アジアドラマの処方箋」などを執筆。
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