中国時代劇に出てくる「知府」とは?|中国時代劇トリビア#134
“人気作家”と“新任の長官”として再会したちょっぴりワケありな2人が、小説とそっくりな事件の謎を探っていくハラハラドキドキのミステリーロマンス時代劇「鹿苑記~僕の生意気な彼女~」。今回はこのドラマに登場するキーワードについて、探ってみたいと思います!
「知府」とは?
「鹿苑記~僕の生意気な彼女~」© Chaoneng Film (Beijing) Co., Ltd
「鹿苑記~僕の生意気な彼女~」で、ディン・ジアウェン(丁嘉文)演じる林清秋は、新任の知府として金州にやってきます。この「知府」とは、いったいどんな仕事なのでしょうか?
知府の前身は太守・郡守で、隋朝以前に設立された地方官職として州郡の行政事務を管理しました。唐朝になると三品官職の行政長官の府伊ができ、宋代になると朝廷の大臣らが各府長官を務めるように。こうした役職を、「某府の責任者」という意味を持つ「知某府事」と称し、呼び名を簡略したものが「知府」となったそう。明代になると「知府」という名称が正式に官名に、南京・北京にある知府長官のみ「府伊」となり、その他の地域の知府の行政長官は、省以下の中級行政官となり、現在でいうところの市長的な役割を果たす存在となっていきます。
知府は、推薦、中央からの転属、昇進または降格などによって選ばれます。具体的な職務としては、国家政令の発布、人民の統治、訴訟の裁定、汚職の調査、部下の評価、税金の徴収、その他すべての行政業務が含まれたそうです。知府の地位に就く者は、政務に熱心かつ勤勉であるだけでなく統治能力も備えていなければならず、この条件を満たしていない場合は、発覚次第、格下げされるということもあるというくらい、厳格さが必要な役職でもあったようです。
同じ“知”が入った官職では、「知州」というものもありました。宋の時代、中央から知府に文官が派遣されて、地方軍務の管理するように。これが「権知某軍州事」と称され、「権知」は暫定的に主管となること、「軍」は軍政の代表を意味し、「州」は民政の代表を意味しました。そしてこれも知府同様、簡略されて「知州」となったと解説されています。
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Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。Cinem@rtにて「中国時代劇トリビア」「中国エンタメニュース」を連載中。『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『見るべき中国時代劇ドラマ』(ぴあ株式会社)『中国ドラマ・時代劇・スターがよくわかる』(コスミック出版)などにも執筆しています。
中国時代劇を見て感じるちょっとした不思議や疑問を解説します。
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