オリジナルBLドラマシリーズ「VBLシリーズ」4作目となる「AntiReset（原題：恒久定律）」がクランクインした。主演には、ドラマや舞台に出演経験のある新人ウー・ピンチェン（呉秉宸）、映画やテレビ番組などで活躍中のホアン・リーフォン（黃禮豐）を抜擢。このほかチョウ・ヨンシュエン（周詠軒）、ララ・チェン（陳子玄）らが出演する。

言語の壁を超え、国際的な市場を有するBL作品は、昨今ますます多様化しているが、「AntiReset」はこれまでとは一線を画し、人工知能ロボットというSFジャンルに挑む。

何事にも冷酷無欲な史学科の教授・褚一平（ウー・ピンチェン）は、叔父の会社で開発されたAIロボット「恒9」（ホアン・リーフォン）の手が脱臼したことから、ロボットの世話を任される。忠犬のように付き従う恒9に、心を乱されていく褚一平。禁欲的な主人が経験値ゼロの恒9を養成するという主従関係を演じることにしたものの、一つ屋根の下で恒9の訓練をするうちに、思いがけず心を動かされ愛が芽生えるというストーリーだ。

ウー・ピンチェンとホアン・リーフォンは当初、初めて共演する自分たちが果たしてBL感を出せるのか不安があったが、監督も知らないうちにプライベートで遊ぶようになり、良好な関係づくりに努めた。ウー・ピンチェンは「一緒に猫空（台北市）に行ったり、展覧会を見たり、山に登ったりするうち、気が合うと感じるようになりました」と明かす。気が合い過ぎて、あるときは服装がかぶってしまったこともあり、まるでペアルックだと周囲に笑われたこともあったとか。また昔話がきっかけで、ホアン・リーフォンの小学生時代の友人がウー・ピンチェンの同級生だったことが発覚。台中出身の二人には共通の友人が多く、縁を感じているという。

二人は本作のオファーを受ける前、参考のために「HIStory2 越界～君にアタック！」、「We Best Love：永遠の1位／2位の反撃」のほか韓国の「セマンティックエラー」などのBLドラマを鑑賞。普段自分では経験できないストーリーが多く、BLドラマのテーマが幅広くなっていると感じたそうだ。中でも一番好きなのは、青春時代を懐かしむことができ、より身近に感じられる青春学園ドラマだと話した。

ウー・ピンチェンは、AIロボットとの恋について「AIに感情を抱くのは彼が孤独だからです。彼にはAIだけしかいないという面をできる限り表現することで、視聴者になぜAIが心の拠り所なのかという点を伝えられれば」と語った。また、思い入れが深い分だけプレッシャーが大きく演技力も問われるが、脚本を読んだ後に一番演じたいと思ったのは、悲しみを解放させるくだりだと意欲を見せた。

一方、AIロボットを演じるホアン・リーフォンは、多くの映画でAIは悪者にされているが、この役は心温まるもので、人間と融和する路線だと説明。役作りについては「ぎこちない話し方にして、体を動かすときもメカ感を出しました。人間っぽくなっていく過程で、性格をどう変化させていくかが一番難しかったです」と明かした。また、もっと自分をロボットだと思わなければと役への探究心を示し、「視聴者の皆さんに感動してもらえたら嬉しいです」と語った。

翻訳・編集：二瓶里美
編集者、ライター。2014年より台湾在住。中華圏のエンターテインメント誌、旅行情報誌、中国語教材などの執筆・編集に携わる。2020年５月、張克柔（字幕翻訳家・通訳者）との共著『日本人が知りたい台湾人の当たり前　台湾華語リーディング』（三修社）を上梓。

VBLシリーズ

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