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【最新ドラマin台湾】「斯卡羅」初回視聴率が、公視開局史上の記録を塗り替える! 記者会見には副総統も出席

ニュース提供元:結果娯楽

8月14日から放送が始まった大型叙事詩ドラマ「斯卡羅 SEQALU:Formosa 1867(原題)」(以下「斯卡羅」)が、台湾公共テレビ(公視/PTS)開局21年以来、初回放送の視聴率を塗り替えた。第1、2話の平均視聴率はそれぞれ2.52%と2.14%で、瞬間最高視聴率は2.89%を記録。これは当日放送された全局のドラマの最高視聴率を誇り、視聴者数は119万人を超えた。

ネット配信も好調で、LINE TVで急上昇ランキング2日連続1位、myVideoで急上昇ランキング1位、MOD全体ランキングで1位をマークした。また台湾最大の掲示板サイトPTTの台湾ドラマジャンルでも大きな反響があったほか、Google台湾の検索ランキングで2位になるなど、台湾の重要な歴史の再認識を促すことに成功したといえそうだ。

瞬間最高視聴率のシーンは、ウェン・チェンリン(温貞菱)演じる蝶妹が、アンドリュー・チョウ(周厚安)演じるピカリングの部屋をノックして起こすシーン。吉報を知ったチェンリンは「テレビの前で鑑賞してくれた視聴者の皆さんに感謝する。弟・阿杰と密接に頼り合う関係が家族を思い起こさせるので、放送されてから特に家族と頻繁に連絡を取るようになった」と、感謝の気持ちを述べた。


また同シーンでは、テレビ出演から離れて久しいスザンヌ・シャオ(蕭淑慎)が、ピカリングの恋人役として意外な姿を見せた。スザンヌは「孤戀花(原題)」以来、再びツァオ・ルイユエン(曹瑞原)監督作品への出演となる。

彼女は台湾語も話せるが「古いビン南語と今の台湾語は違いが大きい。先生の録音を猛烈に聞いて練習した」と、撮影にあたりビン南語を猛特訓したことを明かした。チェンリンは「スザンヌさんとは初めての共演。役になりきった彼女に見つめられたときは、その視線の鋭さにおびえて思わず目を伏せた」と共演シーンの印象を話した。


1話にはサプライズも隠されている。澎湖出身の船頭役として、名優の故ウー・ポンフォン(呉朋奉)が、ウー・カンレン(呉慷仁)演じる社寮の頭目・水仔と素晴らしい共演を見せる。

監督はポンフォンについて「当時、この役の候補は大勢いたが、最終的に直感でポンフォンが最適だと思った。出演シーンは多くないが、私の中で彼の演技は替えが効かないもの。簡単なせりふでも、彼は役の本質を演じて見せた。心から感謝している」と、かの名優を偲んだ。


そのほか本作のエンディング曲には、大御所ツァイ・チェンナン(蔡振南)を迎えている。監督は「チェンナンさんの声は、私の心の台湾の歌声だ」と、起用理由を明かした。

なお、放送に先立つ10日に行われたオンライン記者会見には、監督やキャスト陣をはじめ、賴清德・副総統、原作『フォルモサに咲く花』(原題:傀儡花)の著者チェン・ヤオチャン(陳耀昌)さん 、斯卡羅の頭目直系の子孫MASAW(潘佳昌)さんらも出席し、注目度の高さをうかがわせた。

「台湾の古い歴史は、顔がぼやけた母親のように、あるいは散乱したジグソーパズルのように曖昧模糊としている。『斯卡羅』がジグソーパズルの1かけらになり、将来私たち共通の「母親像」を少しずつ形作っていけるよう願っている。私たちを育んできたこの土地の完全なる素顔、この美しい島の生命の物語と魂を一緒に体験してほしい」と、作品に込めた想いを語る監督に対し、賴清德・副総統は「154年前の台湾の歴史を見せてくれた、監督の使命感に感謝する。台湾ドラマ史上、稀に見る大作だ。歴史を尊重し、この土地で共に生きていくために、オリンピックを見終わった国民が次にこの作品をコンプリートすることを支持したい。我々の物語は我々で語り、我々の歌を我々で歌ってこそ、共鳴し団結できる」とエールを送った。


斯卡羅の頭目Tokitok(卓杞篤)を演じたCamake Valaule(査馬克・法拉屋楽)は会見には出席できなかったが、「『斯卡羅』は、台湾の視野をひっくり返し、世界中に台湾を見せる作品となるに違いない。またこの作品は、誠心誠意作品作りに打ち込む制作チームに出会わせてくれた。あなたたちは素晴らしい。引き続き頑張れ」と制作スタッへの祝福メッセージが届けられた。
※查馬克・法拉屋樂さんは、リンパ癌により8月19日に逝去されました。享年42歳。 ご冥福をお祈りします。

また、MASAWさんは「斯卡羅の歴史の脈絡は、パイワン族だけに限定されるべきではない。この大家族は恆春半島だけでなく、北部から台東知本まで、融合されて4、500年が経つ。斯卡羅は多様性にあふれ、台湾のコミュニティの融合を表す大規模なエスニック・グループ。皆さんに本作で示された歴史を見てほしい」と語った。

「斯卡羅」は全12話。毎週土曜夜9時〜11時、台湾の公視で2話ずつ放送されるほか、公視+、LINE TVで同日夜10時、Netflix台湾、myVideoで翌日曜夜6時から2話配信、中華電信MOD、Hami videoで22日の日曜夜6時から2話配信される。また30日より、文化部の海外向け英語コンテンツ映像配信サイトTaiwan+で、前半6話が先取り独占配信予定。9月4日以降は毎週土曜、公視とTaiwan+で同時放送・配信。


◆「斯卡羅」第1話ハイライト映像

◆「斯卡羅」第2話ハイライト映像

翻訳・編集:二瓶里美
編集者、ライター。2014年より台湾在住。中華圏のエンターテインメント誌、旅行情報誌、中国語教材などの執筆・編集に携わる。2020年5月、張克柔(字幕翻訳家・通訳者)との共著『日本人が知りたい台湾人の当たり前 台湾華語リーディング』(三修社)を上梓。2017年4月より、ラジオ番組「Asian Breeze」では台湾の現地情報を発信するコーナーを担当中。

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