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マーク・チャオ、イーサン・ルアン、ウィリアム・チャン… 大活躍の香港&台湾スターの”北上記”を考察<後編>

いわゆる“映画スター”には、有名な香港の映画監督や、台湾のプロデューサーとの関係が背景にあり、そうした有名なクリエイターたちは全て中国のエンタメ業界とも関係している。

例えば、マーク・チャオにとってのチェン・クォフー(陳國富)監督、エディ・ポン(彭于晏)にとってのダンテ・ラム(林超賢)監督、そしてチャン・チェン(張震)にとってウォン・カーウァイ(王家衛)監督が恩師であるように。こうした個人的な人脈(商業利益的な繋がりも指す)は、北上して競争を試みる俳優たちにとっての助力にもなり、大きな支えと成り得る。

これと対照的に、演技が硬い俳優は、北上発展の際に紆余曲折を味わうことになり、主流から外され取り残されるか、バラエティ番組などに出演が限定されてしまったりする。つまり、俳優として演技力が無いと人生の基盤を失い、どこにいても生き残るのは難しくなってしまうのだ。

また、港台俳優を起用することで得ていたコストパフォーマンスによる利点も徐々に消えつつあり、市場においてかけがえのない存在でなければ、起用しやすい中国の新人俳優などにとってかわられる可能性も生まれてきた。

港台女優の環境はさらに過酷で、前出のワイ・インホン、スー・チー クラスの映画女優でなければ、活躍の場を得るのは非常に厳しい。なぜなら目の前にせまる年齢のジレンマと、いわゆるZ世代の若手女優の活躍など、内にも外にも憂慮すべき問題が一気に押し寄せるからだ。


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