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2020年中国ドラマ市場に変化の兆し、短編ドラマが激戦市場に【前編】

引用元:wechat Vlinkage / 公式アカウント:「Vlinkage」
記事タイトル:「短剧2020:酣战模式已开启,星火燎原待春风」


2020年のドラマ市場におけるキーワードの一つは、間違いなく「短編ドラマ(※)」 といえる。『僕はチャイナタウンの名探偵』のスピンオフ作品「唐人街探案(原題)」や「我是余歓水(原題)」、「隠秘的角落(原題)」がヒットしたほか、「龍岭迷窟(原題)」、「嘆息橋(原題)」、女性を題材にした「不完美的她(原題)」など、この1年は卓越した見どころを持つ素晴らしいドラマが次々と放送された。

※中国では、一般的にエピソード30話以下を短編ドラマ、30~39話を中長編ドラマ、40話以上を長編ドラマと呼ぶ


2020年に放送された短編ドラマは、いずれも動画配信サイトの自社制作である。TVBの「嘆息橋」を除き、ほかの作品はiQIYI(愛奇芸)やテンセント(騰訊)、Youku(優酷)、芒果TV、bilibili (哔哩哔哩)が、正午陽光、五元文化、天浩盛世などの映画・テレビ会社と協力関係を結び、双方が短編ドラマの新たな収益モデルを模索している。動画配信サイト側は、ユーザーの時間節約に役立つ短編ドラマのスタイルが今後のトレンドになると見ている。

ブリンケージ(Vlinkage)のネット人気ランキングでは、短編ドラマの配信数上位10作品のうち、約半数がネット配信指数80以上で、残りの半数もすべて平均して70以上となっている。ランキング上位3作品は、「龍岭迷窟」、「我是余歓水」、「隠秘的角落」となった。

一方、Douban(豆瓣)によると、口コミランキング10のうち、9作品が8点以上の高評価を得ている。1位は「沈黙的真相(原題)」の9.2点。2位は「説的就是你第三季(原題)」、「隠秘的角落」、「嘆息橋」の3作品で、いずれも8.9点を獲得している。7.5点の「伝聞中的陳芊芊(原題)」を除き、いずれも平均8点以上の高得点を獲得した。

内容は、サスペンスが主流で、時代劇や都市型現代ドラマなど多様なジャンルがしのぎを削っている。人気ランキングの上位10作品のうち、サスペンスが5本、都市型が3本、ラブ史劇が1本、女性テーマが1本となっている。また、口コミランキングでは、サスペンスが4本、都市型が3本、時代劇が3本となっている。サスペンスは、短編ドラマとの高い親和性を十分に発揮しているようだ。

短編ドラマにシフトしているのは動画サイトだけではない。2021年、湖南テレビは毎週放送の番組「青春進行時(原題)」を打ち切り、短編ドラマを中心とした「モンスーンプロジェクト」を立ち上げた。目玉作品は、野生動物を守るために密猟者と戦う森林保護活動家の伝説的な物語で、1話45分の全12話。チン・ハオ(秦昊)とイン・ファン(尹昉)が主演を務める。また江蘇テレビと東方テレビも短編ドラマに挑戦すると表明している。テレビ局と短編ドラマ双方向の結びつきは、今後のドラマ市場に変化をもたらす新たな一歩といえる。



後編に続きます

翻訳・編集:二瓶里美
編集者、ライター。2014年より台湾在住。中華圏のエンターテインメント誌、旅行情報誌、中国語教材などの執筆・編集に携わる。2020年5月、張克柔(字幕翻訳家・通訳者)との共著『日本人が知りたい台湾人の当たり前 台湾華語リーディング』(三修社)を上梓。2017年4月より、ラジオ番組「Asian Breeze」では台湾の現地情報を発信するコーナーを担当中。

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