5/30(土)映画『あの写真の私たち 』≪ トークイベント レポート ≫

【台湾映画上映会2026『あの写真の私たち』上映会&トークイベント詳細】
日 時:2026年5月30日(土) ※上映後にトークイベント
開 場: 12時30分
開 演: 13時00分(上映時間126分)
場 所:大阪大学<豊中キャンパス>大阪大学会館講堂(大阪府豊中市待兼山町1-13)
登壇者:フィル・タン監督 ※フィル監督はオンライン登壇
聞き手:リム・カーワイ(『台湾映画上映会2026』キュレーター、映画監督)
通訳:ユ ウェンシン (余玟欣)
【レポート】
台湾駐日本代表処台湾文化センターと、グローバル社会を支える「新しい人文学」の構築を目指す大阪大学大学院人文学研究科による連携企画として、映画『あの写真の私たち』上映会が5月30日(土)に大阪大学大阪大学会館講堂にて開催された。上映後に、フィル・タン(湯昇榮)監督がオンラインで登壇し、トークイベントが行われた。
『あの写真の私たち』は、ドラマ「悪との距離」「茶金 ゴールドリーフ」など数々のヒット作を手がけてきたプロデューサーのフィル・タンと、新鋭監督フランク・チェンによる共同監督作品だ。韓国版『あの頃、君を追いかけた』(邦題『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』)で主演を務めたジニョンが本作で台湾映画初出演を果たしたのも話題になった。
物語は1977年に起きた「中壢事件」(1977年に台湾桃園県長選挙の投票過程での国民党の不正行為に反発した中壢市民多数が市内の警察分局を包囲、焼き打ちにした事件。)を背景に展開し、「茶金 ゴールドリーフ」制作チームが参加し、精緻でリアルなVFXによって過去の街並みや出来事を再現している。
写真館の娘・賢英のそばには、いつも幼馴染の弘国がいた。ディスレクシアの彼女を支え、いつもふたりは一緒にいた。しかし彼女の心を惹きつけたのは、救国団の招きで台湾に来た韓国のテコンドーコーチ・金だった。やがて県長選挙を巡り、激しい抗議活動が起き、彼らもその嵐に巻き込まれていく…。
写真がつなぐ記憶と笑顔― “忘れられた歴史”を映画に刻んだ、フィル・タン監督の思い
「こんにちは!オオサカ!!」と満面の笑みでフィル・タン監督がスクリーンに登場すると、会場から大きな拍手が起きた。「大阪が大好き、 今回は会場に行くことができず、本当に残念です」と、会場の観客に話しかけた。
キュレーターのリム・カーワイが、映画の背景になった中壢事件は台湾でもあまり知られていないと話すと、「私自身が客家人で、客家の文化や物語に興味を持っています。舞台となった中壢も客家人が多く住んでいます。中壢事件はあまり知られていない事件ですが、台湾の民主化にとっては大変重要な事件ですので、本作でこのテーマに挑もうとしました。」と、フィル監督がこの事件に興味を持った経緯を話した。しかし当時の資料がほぼ残されていなかったため、「当時の写真が残されていたら、人々の記憶にもっと残っていたのではないか」と思い、フィールドワークの中、写真館で現像の仕事に就いていた女性がいたこともあり、主人公を写真館の娘に設定したのだと語った。
フィールドワークはかなり長い時間行われ、当初予定していた監督はスケジュールが合わなくなってしまったという。その中で、フィールドワークに立ち会い、中壢事件についても詳しくなっていたフィル監督自身が監督をすることになった。「フィル監督は大ヒットドラマ「悪との距離」「茶金 ゴールドリーフ」はじめ、台湾を代表するプロデューサーで、初監督作品に挑んだことは大きな話題だった。」と、リムが語ると、「今日はトークイベントに参加できませんでしたが、共同監督のフランク・チェン監督とは、とてもいい感じでコラボレーションすることができ、スムーズに分業することができました。そして主人公の3人も含め、みんな一緒にあの笑顔を作り上げることができたと感じています。」とフィル監督がチームワークがあったからこそ、素晴らしい作品を作りあげられたと語った。

本作は韓国版『あの頃、君を追いかけた』(邦題『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』)で主演を務めたジニョンが本作で台湾映画初出演したことも話題だ。会場にも多くのジニョンファンが参加していた。「1970年代、台湾にはテコンドー道場が多くありました。また1977年に台湾ではじめての3D映画が作られ、その主人公は韓国人の俳優で、大統領のボディーガードでした。そこからインスピレーションを得て、李コーチのキャラクターを作りました。」と、ジニョン演じる李コーチの背景が語られた。
どうやってジニョンにキャスティングが決まったのかを問われると、「政治的な事件を背景にしていることもあり、韓国の俳優さん何人かには断られました。その中でジニョンが興味を持ってくれ、フィル監督に「脚本を5 回読み、5 回泣いた」と語っていたことを明かし、ジニョンが強い思いを持って本作に参加したことを紹介した。
本作の重要なモチーフである“写真”についても話題が及んだ。フィル監督は、「“写真”という言葉は、客家語、日本語、韓国語で、当時は同じ“シャシン”という発音だったんです」と説明した。「客家の賢英、韓国人の李、様々な背景を持つ主人公たちにとってこの“写真”はとても重要な共通点になっています。」と、フィル監督が語った。「主人公たち3人は一緒に笑顔でいることができなかった。でも彼らはずっと笑顔で一緒にいるんだという気持ちで、最後の写真の中で彼らは笑顔で並んでいたんです。」と、フィル監督が本作の重要なテーマである写真に込めた思いを述べた。
会場からは、「映画では台湾と韓国の民主化運動が描かれていましたが、両国の共通点や違いについてどう考えていますか」という質問も寄せられた。フィル監督は、「1970~80年代、台湾と韓国はいずれも民主化運動と近代化を経験しました。違いはありますが、そうした歴史があったことを映画を通して知ってほしい」と語った。これを受けてリムは、「当時の台湾も韓国もアメリカ文化の影響を強く受けていました。弘国がフォークソングを歌う場面などにも、その時代性が表れています」と指摘。さらに、「歴史的事実を丁寧に描きながら、青春や恋愛を織り交ぜてエンターテインメント作品として成立させている点が本作の大きな魅力」と語った。
最後に台湾映画の魅力について問われると、フィル監督は、「エンターテインメント作品を通して歴史や文化、政治を伝えることは大切だと思っています」と語った。そして、「『あの写真の私たち』を観て、その背景にある歴史や文化をもっと知りたいと思ってもらえたらうれしい」と 続けた。さらに、「何よりも、映画を通して“笑顔”を生み出せたら」と微笑む。最後に、「これからも台湾映画を世界に広めていきたい」 という言葉でトークを締めくくると、会場からは大きな拍手が送られた。

名称:台湾文化センター 台湾映画上映会2026
期間:2026年5月~10月(全10回)
会場:台湾駐日本代表処 台湾文化センター/北海道大学 学術交流会館小講堂/大阪大学 大阪大学会館講堂/ユーロライブ/京都大学 HORIBA シンポジウムホール/中央大学<多摩キャンパス>3号館3551教室/慶應義塾大学 三田・北館ホール/日本映画大学 大教室/シネ・ヌーヴォ
主催:台湾駐日本代表処 台湾文化センター/Cinema Drifters/大福
共催:北海道大学中国文化論研究室・中国現代文学研究者懇話会/大阪大学大学院人文学研究科/ユーロスペース/京都大学大学院人間・環境学研究科東アジア文明講座/中央大学文学部中国言語文化研究室/ 慶應義塾大学東アジア研究所/日本映画大学国際交流センター/シネ・ヌーヴォ
宣伝デザイン:100KG
≪台湾駐日本代表処 台湾文化センター≫公式サイト:https://jp.taiwan.culture.tw
≪参加無料、事前申し込み制≫
各回の申し込みは、Peatixにて先着順にて受付。
≪Peatix≫ https://taiwanculture.peatix.com/
※Peatixにて、各回7日前の昼12:00より先着順にて受付。
※シネ・ヌーヴォのチケットについては、劇場HPにて取り扱いいたします。Peatix ではお申込みができません。
※本上映会について会場となっている大学、ユーロライブ、シネ・ヌーヴォへのお問合せはお控えください。
※ゲスト・イベント内容は予告なく変更となる場合がございます。ご了承ください。
≪上映作品一覧≫(全10作品)
『海をみつめる日』『あの写真の私たち』『うなぎ』『小さな町の恋 デジタル・リマスター版』『今夜は帰らない デジタル・リマスター版』『宵闇の火花』『夜明けの前に』『甘露水』『深く静かな場所へ』『荒野の夢』
≪アンコール上映/作品一覧≫(全6作品)
『余燼』『タイペイ、アイラブユー』『燃えるダブルス魂』『夫殺し デジタル・リマスター版』『猟師兄弟』『金魚の記憶』


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