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富と地位の象徴だった?!「胡椒」の歴史|中国時代劇トリビア#150

“小財迷”(お金好き)で商才溢れるヒロインと、ツンデレ御曹司とのロマンスを描いた「福の神の嫁入り」。今回はこのドラマの中から、気になる“アレ”を探っていきたいと思います!

富と地位の象徴だった?!「胡椒」の歴史


「福の神の嫁入り」© Maisong Film Investment(Shanghai)Co.Ltd Hainan Lingxi film Co.Ltd Chengdu Culture & Tourism Development Group Ltd

◆ 胡椒はどのように中国にやってきたの?

ドラマ「福の神の嫁入り」で貴重な香料として登場する胡椒。

胡椒は東南アジア原産で、中世末期以前、ヨーロッパ、中東、北アフリカの市場における胡椒は、インドのマラバール地方から輸入されていました。16世紀には、マレーシア、そして東南アジアの他の地域でも胡椒の栽培が始まり、その多くは自国での消費に留まらず、中国との貿易などに使われました。

胡椒が中国に渡ったルートは東南アジアを起源とし、シルクロードを通って西域へ、そして河西回廊を通って中原へと伝わりました。取引をした商人の多くは中央アジア系の胡人であったため、「胡椒」と呼ばれていました。中国で胡椒について記録されている最古の文献と言われる『史記』には、漢の武帝の頃から胡椒があったことが残されており、その後、唐の時代に大規模に中国に導入されました。


◆ 富と地位の象徴


「福の神の嫁入り」© Maisong Film Investment(Shanghai)Co.Ltd Hainan Lingxi film Co.Ltd Chengdu Culture & Tourism Development Group Ltd

希少で高価な胡椒は、富と地位の象徴となりました。明代には、もとは胡椒100斤が銀1両程度だったものが、胡椒1斤を銀10~20両に換算し、各級の官吏の給与の一部として支給するほどになります。

しかしその後、明代末期から海南省や雲南省などで胡椒の栽培が始まり、地元の胡椒は高品質で生産量も多かったため、輸送や流通の手間が軽減され、低価格という優位性が生まれました。これにより輸入胡椒は徐々に市場から少なくなり、胡椒の価格が下落していくことになります。

胡椒の下落は、供給過多に加えて、明代末期からの食生活の変化も要因の一つとなるとも。この時代から、農村部にはジャガイモ、トウモロコシ、サツマイモといった高収量作物が導入され、荒れた丘陵地や草原が徐々に開墾され、家畜の牧草地は減少しました。

このため、今までの羊肉を主とする肉食のパターンは、この頃から清代初頭にかけて崩れ、羊よりくさみの弱い豚肉や鶏肉の需要が増えた結果、調理などに必要とされる胡椒の使用量も減ったことも考えられるようです。


◆ 胡椒が持つ、様々な効用

調理の際につかう香辛料としてのイメージの強い胡椒ですが、実は様々な効用があります。

胡椒は数千年にわたり、伝統的な中国医学において薬効成分として使用されてきました。『本草綱目』には、「胃腸を温め、冷えや湿邪を取り除き、冷えによる吐き気、腹部膨満、寒邪、歯痛を和らげる」と記されており、その他にも、傷や腫れの治療、解毒と痰の減少、風邪の治療などにも使われてきたのだとか。

また、胡椒の持つ香り成分にはリラックス効果が含まれているそう。胡椒を使った香は、いったいどんな匂いになるのか、想像しながらドラマを観ても楽しいですね!



【参照URL】
胡椒
又辣又香的胡椒,还有这些好处
古代的“香料之王”曾作为俸禄发给各级官员,现今人人都吃过


胡椒が登場するドラマ「福の神の嫁入り」
配信|2026年5月より、順次デジタル配信予定
セル|DVD-BOX1:2026年5月15日発売/DVD-BOX2:2026年6月12日発売
レンタル|第1巻~第6巻:2026年5月2日/第7巻~第12巻:2026年6月3日

発売・販売元:エスピーオー
2023年/中国/原題:小財迷
https://www.spoinc.jp/official/hukunokami/

Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。Cinem@rtにて「中国時代劇トリビア」「中国エンタメニュース」を連載中。『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『見るべき中国時代劇ドラマ』(ぴあ株式会社)『中国ドラマ・時代劇・スターがよくわかる』(コスミック出版)などにも執筆しています。

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