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7/12(土)映画『燃えるダブルス魂』≪ トークイベント レポート ≫


©Rise Pictures Co., Ltd.

【台湾映画上映会2025『燃えるダブルス魂』上映会&トークイベント詳細】

日 時:2025年7月12日(土)※上映後に解説、トークイベントあり
開 場: 12時30分 / 開 演: 13時00分(上映時間105分)
場 所:大阪大学豊中キャンパス大阪大学会館講堂(大阪府豊中市待兼山町1-13)
登壇者:ホン・ボーハオ(本作監督)
聞き手:リム・カーワイ(『台湾映画上映会2025』キュレーター・映画監督)
司会:佐髙春音(大阪大学大学院人文学研究科講師)

【レポート】
台北駐日経済文化代表処台湾文化センターと、グローバル社会を支える「新しい人文学」の構築を目指す大阪大学大学院人文学研究科、大阪が一番熱くなる映画祭である大阪アジアン映画祭との連携企画として、映画『燃えるダブルス魂』上映会が7月12日(土)に大阪大学豊中キャンパス大阪大学会館講堂にて開催された。上映後に、来日したホン・ボーハオ(洪伯豪)監督が登壇し、トークイベントが開催された。
フー・クァンユー(胡冠宇)とホァン・シュエン(黄軒)は卓球に夢中な小学生。台中の田舎町で暮らすふたりは、いつか最強のダブルスを組むことを夢みている。フーが幼い頃に母は亡くなり、いまは父とふたり暮らし。ホァンは、仕事に忙しいシングルマザーの母と暮らしている。フーは左利きの強みを活かし、めきめきと実力をつけ、母から都会の強豪校への転校を勧められる。いつしかフーとホァンの友情に溝ができ、ホァンの転校によってふたりは別々の道を歩みだすことになる。卓球に青春をかけた子供たちの友情と家族の絆を描いた感動作だ。

卓球少年たちの友情と、家族の絆を描いたスポコンエンタテインメント映画に、大阪が沸いた!!
製作の転機となったのは、東京オリンピック!

初の大阪開催となった当日は、降り注ぐ太陽がまぶしい真夏日となった。熱気に包まれた会場に、ホン・ボーハオ監督とキュレーターのリム・カーワイが、『燃えるダブルス魂』にちなんで「燃える闘魂」Tシャツをおそろいで着て登壇すると、大きな拍手に包まれた。続いて司会者からリムが大阪大学出身で元卓球部と紹介されると、大きな笑いが起きた。

さっそく「元卓球部だった僕から観ても、『燃えるダブルス魂』はスポーツ映画の傑作!」とリムが絶賛すると、ホン監督はにこやかにほほ笑んだ。9年前に卓球の代表選手を目指す小学生の親から話を聞く機会があり、そこから本作の企画が生まれたが、「『KANO 1931 海の向こうの甲子園』(マー・ジーシアン監督/2014)等を除いては、台湾でスポーツ映画はメジャーではなく、この企画も7~8年は寝かせていた」という。企画が動き出したのは、2021年東京オリンピックで台湾の卓球選手が快進撃を続け、脚光を浴びたことが転機になったという。台湾卓球界の新世代の選手リン・ユンル(林昀儒)は、フーとホァンの憧れの選手として描かれ、本作に特別出演している。東京オリンピックが追い風となり本作の製作が実現し、卓球ができる子供たち500~600人が参加したオーディションから選ばれたのが、演技初挑戦となるフー役のポン・ユーカイと、ホァン役のリー・シンウェイだ。「ポンは元々自分の世界にのめり込むタイプ。はじめから彼の演技には不安はなかった。目の動きなどカメラチェックを一緒にしながら、演技をつけていった。キャスティングが決まってから卓球の訓練を3か月する中で、演技にも慣れてもらい、子役たちの個性を脚本にも反映していった」と、演技初挑戦とは思えない子役たちの演出方法をホン監督が語った。ホァンの母役のビビアン・スー、フーの父役のレクセン・チャン、弱小卓球チームのコーチとなりフーを導くコーチに『本日公休』(フー・ティエンユー監督/2023)など話題作への出演が続くシー・ミンシュアイなど、豪華キャスト陣が揃ったことについて、「子役たちは演技初挑戦でまったく知られていないので、やはり有名キャストを揃えたかったんです。子役たちの特訓期間に、彼らにも参加してもらい、時間をかけて、家族らしい関係、コーチと教え子たちという関係を築いていってもらいました。でも卓球未経験のシー・ミンシュアイは、コーチ役なのに子役たちに卓球の指導をされることもあったんですよ(笑)」と撮影エピソードが明かされると、会場はあたたかい笑いに包まれた。リムが「日本でもイケメン卓球選手として知られているコウ・コウケツ(江宏傑)選手が、ライバルチームのコーチで熱演していたのにもびっくり!あんなにイケメンで演技までできるなんて!」と、ホン監督のキャスティングを絶賛した。
リムが「スポコン映画と思いながら観ていたが、子供たちの成長を描きながら、夢を追いかける過程での挫折、友情、家族の物語でもあった」と述べると、「撮影場所の台中は自分が生まれ育った場所。自身の幼い頃の記憶を反映させた、フーとホァンの姿を通して、幼少期の自分を乗り越え成長していく過程を描きたかった」と、ホン監督が本作に込めた思いを語った。

本作の魅力はなんといっても、手に汗握る白熱の卓球試合シーンだ。基本的に順撮りだったが、最後のフーとホァンの対決は一番最後に撮影し、その試合シーンを撮影するのに1週間かけたという。「こんな大変な撮影で子役たちは泣いてしまわないかと不安だったが、彼らもこの映画を完成させたいという強い気持ちをもってくれていた。一緒に努力して最後の試合シーンを完成させることができて、本当に感動的な時間を過ごせた。」と、監督、俳優たちみんなの“燃える映画魂”による結晶が、本作の白熱した試合シーンになっているとホン監督が語った。
 会場から「映画で一番好きなセリフ」について問われると、「シー・ミンシュアイ演じるコーチが、ホァンと衝突して落ち込んでいるフーに寄り添い、自分の過去の後悔を明かすシーンで、“次の後悔をうまないようにすればいい”と語りかけます。そのセリフが一番好きですね。」とホン監督が答えた。

 最後に台湾映画の魅力を問われると、「台湾映画には多元的で多様な創造環境がある。台湾、中華圏だけではなく、アジアでもプレゼンスを高めていってほしい。そして東アジア、日本ともつながりをもっていってほしい」と語ると、会場からは大きな拍手が起きた。

≪上映会概要≫

名称:台湾文化センター 台湾映画上映会2025
期間:2025年5月~10月(全8回)
会場:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター/日本大学文理学部オーバル・ホール/慶應義塾大学三田キャンパス西校舎ホール/早稲田大学小野記念講堂/東京大学駒場キャンパスKOMCEE West レクチャーホール/大阪大学豊中キャンパス大阪大学会館講堂/シネ・ヌーヴォ
※大阪大学、シネ・ヌーヴォでの開催は第21回大阪アジアン映画祭連携企画
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主催:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター/Cinema Drifters/大福
共催:日本大学文理学部中国語中国文化学科/慶應義塾大学東アジア研究所/早稲田大学中国現代文化研究所/東京大学持続的平和研究センター/大阪大学大学院人文学研究科/シネ・ヌーヴォ
協力:大阪アジアン映画祭
宣伝デザイン:100KG
≪台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター≫公式サイト:https://jp.taiwan.culture.tw
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≪参加無料、事前申し込み制≫ ※各回の申し込みは、Peatixにて先着順にて受付。
≪Peatix≫ https://taiwanculture.peatix.com/
※Peatixにて、各回10日前の昼12:00より先着順にて受付。
※本上映会について会場となっている大学、シネ・ヌーヴォへのお問合せはお控えください。
※ゲスト・イベント内容は予告なく変更となる場合がございます。ご了承ください。

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