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韓流20周年特集|進化・深化の韓ドラ20年! ディープに分析#2「シンデレラが夢に向かって闘うまで~年代別ヒロイン像」


2003年、「冬のソナタ」がNHK BSで日本初放送され、今年で20年。当時、日本を席巻した“韓流ブーム”“韓国ドラマ熱”は、様々な時代を経て裾野を広げ、今や幅広い世代に根付いている。ここまで韓国ドラマが愛され続けているのは、魅力的なキャラクターが生まれ続けてきたことも大きい。そこで、今回は、“ヒロイン”に焦点を当て、時代ごとに支持された主人公像を振り返ってみよう。

その前に。韓国ドラマを観るうえで重要なのは、実は、男性主人公以上にヒロインの人物像だ。どんなに好きな俳優が出ていても、女性主人公に共感できなければ物語にハマれない。視聴者の多くが女性であることを考えれば、ヒットの決め手はヒロインが握るといっても過言ではないのだ。


【2004~05年頃】
守りたくなるシンデレラから、強気の年上女子が恋の勝者に!

まず、韓流ブーム初期でいえば、「冬のソナタ」「美しき日々」「天国の階段」のヒロインたち。ものの見事にチェ・ジウの時代だったが、彼女が演じたヒロインの共通項は、「けなげで清楚、可憐」。つまり守りたくなるような存在だ。

「冬のソナタ」
「冬のソナタ」Licensed by KBS Media Ltd.(C)2002 Pan Entertainment Co., Ltd. All rights reserved

自分の仕事を持ち自立もしているが、ごく平凡な女性たちで、そこに社会的地位をもった男性たちが現れ、見初められていく。いわば典型的“シンデレラ”ストーリーが、この時代の視聴者をときめかせた。

そして、2005年の「私の名前はキム・サムスン」の大ヒットである。自分の意思を持ち、欲しいものは欲しい、嫌なものは嫌だとはっきり言えるヒロインの登場は、エポックメイキングだった。

恋のライバルとなる主人公の元カノが、可憐で守ってあげたくなる系女子だったのに対し、健康的で堂々とした年上女子サムスンが恋の勝者になる展開は、実に痛快で、ヒロイン像がここから大きく変わっていく。


【2007年頃】
職業も学問も男女平等! 男装の頑張り女子がイケメンたちに見守られる

その後、2007年の「コーヒープリンス1号店」、2009年の「美男<イケメン>ですね」で、男装ヒロインという新たな潮流が生まれる。男性たちのなかで同じように振る舞い奮闘するヒロインが愛らしく、また、そんな頑張り女子がイケメンたちに守られていくという構図も視聴者の心を掴んだのだろう。

決定打は、2010年の「トキメキ☆成均館スキャンダル」。このドラマでは、女性が学ぶことさえ許されなかった時代を舞台に、優秀な男性たちのなかで才を発揮していくヒロインを描き、“学問に男も女もない”というメッセージを伝えた。

職業、学問において男女平等を提唱する時代になってきたわけだ。

「コーヒープリンス1号店」
「コーヒープリンス1号店」© MBC 2007 All Rights Reserved



【2009年頃】
女性市長、スタントウーマン…仕事に誇りを持つ女性を男が支える図式

そして、女性にとって仕事が大きな意味を持つ時代へと移り変わっていく。その象徴が、2009年の「シティーホール」だ。キム・ソナ演じる末端の公務員が市長になるまでを敏腕副市長(扮チャ・スンウォン)が支えていくストーリーで、女性の政界進出が軽やかに描かれた。

30代半ばを超えた男女の恋物語でもあり、このあたりからロマンスの主人公の年齢が上がり、より“大人視点”になっていく。

  「シティーホール」 
「シティーホール」©SBS

同じ流れに、2010年の「シークレット・ガーデン」がある。貧しきスタントウーマン(扮ハ・ジウォン)のヒロインに超上流階級の財閥御曹司(扮ヒョンビン)が一目惚れすることから始まるラブストーリーだが、その一目惚れの理由が最高だ。 それは、「スタントしている姿がカッコよかったから」。

仕事に誇りを持ち全力を注ぐ彼女を讃え、愛し、応援していくという構図は、世の女性たちの理想だった。



【2015年頃】
アラフォー主婦、仕事優先女子…男女が同じ立ち位置で恋をする!

また、アラフォーヒロインのロマンスも徐々に生まれていく。それが、2015年の「2度目の二十歳」だ。夫と子供のためだけに生きてきた専業主婦のヒロインが、反旗を翻し、自分の人生を見つめ直しやり直していく物語が痛快で、この時代の女性への応援歌でもあった。

かつて「けなげで可憐」の代名詞だったチェ・ジウがヒロインを演じたことでも、時代の変化を感じさせる。

そして、2016年の「太陽の末裔 Love Under The Sun」だ。 「医者なら彼氏はいないでしょ。忙しいから」「軍人なら彼女はいないでしょ。キツイから」 という出会いのセリフが表しているように、互いに社会的地位があり、仕事優先で恋愛はなかなか縁がない2人が主人公だ。

どちらが上でも下でもなく、男女が同等の立ち位置でロマンスを繰り広げていく様は、仕事に邁進する世の女性たちの共感を誘った。この流れを継ぐのが、2019年の「愛の不時着」だ。

一方で、2017年には、朝鮮時代の女流画家、師任堂を主人公にした「師任堂(サイムダン)、色の日記」が生まれた。「良妻賢母」の象徴とされた史実の人物だが、そんな彼女にも、芸術を通して想いを通わせた愛しい男性がいた、という斬新な発想で、ロマンスの部分にスポットが当てられていたのが印象的だった。

「師任堂(サイムダン)、色の日記」
「師任堂(サイムダン)、色の日記」©Group Eight


【2018年頃】
男女逆転! イマドキ能力女子が男性を見初めてサポート役に!

近年は、2018年から始まるMee Too運動の広がりもあり、韓国ドラマの女性たちは俄然、強くなる。2020年の大ヒット作「梨泰院クラス」のヒロイン、イソ(扮キム・ダミ)がまさにそうだ。

主人公セロイ(扮パク・ソジュン)に向かって「私が社長を成功させる」と言いのける有能女子。女性が男性を見初め、サポートしていく、ある種、男女逆転のイマドキヒロインの誕生だ。

2021年の時代劇ロマンス「赤い袖先」のヒロイン、ソン・ドギムも時代を象徴している。王に愛されることより、自分らしく生きる道にこだわり続けた彼女は、現代を生きる女性たちを投影しているかのようだった。

「赤い袖先」
「赤い袖先」©2021MBC

【2022年頃】
夢に向かって闘う女性! 男は無償のエールを送り、支える側に

また、2022年の大ヒットドラマ「二十五、二十一」と「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」は、いずれも夢に向かって努力し続けるヒロインに対し、男性主人公が刺激を受け、無償のエールを送り続ける恋物語だった。同様に、「私の解放日誌」「シスターズ」「ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜」と2022年から2023年にかけて、闘うヒロインと支える男性たちの物語もヒットしている。

つまり、力強く行動を起こす女性たちに対し、男性たちがサポートする役回りを担うという構図である。

こうしてみると、20年で、女性たちの生き方も、社会における立ち位置も大きく変わってきた。女性が変われば、望まれる男性主人公像も変わっていく。時代を移し出す鏡、だから韓国ドラマは面白い。

「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」
「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」

#3「お決まりでも、突飛でも、平凡でも、愛はいつも全力!~ラブストーリーの潮流」につづく

「韓流20周年」特設ページ

『冬のソナタ』が日本で放送されてから20年。 今年は、日本における韓流20周年を迎えました。 当サイトでは、 関連イベントの情報やこの20年の韓流ブームを紹介したコラムなどを掲載し、 記念の年を盛り上げていきます。



TEXT:高橋尚子(編集・ライター)
ライター兼編集者。第一次韓流ブーム到来時に「韓国TVドラマガイド」(双葉社)を立ち上げ、現在まで責任編集を手がける。ドラマを中心に韓国のエンターテイメントについて、雑誌やWEB、DVDのライナーノーツなどで執筆活動を展開中。韓国エンターテインメントナビゲーター・田代親世さんと韓国エンタメについて熱く語り合うYou Tubeチャンネル「ちかちゃんねる☆韓流本舗」を配信中。https://www.youtube.com/@hanryuhonpo

Edited:野田智代(編集者、「韓流自分史」代表)

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「冬のソナタ」

ホームドラマチャンネル 韓流・時代劇・国内ドラマにて、2023年12月14日(木)よりスタート
毎週月曜~金曜 前7:00~
【25周年企画】四季シリーズ 一挙放送 特設サイト
https://www.homedrama-ch.com/special/shiki_series

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