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《韓国アニメ解説》『ジンジンとアキタ』内気な少年と家族が織りなす、懐かしい“あの日”の物語

日本未公開の韓国アニメ映画作品を集めた特集上映「Cinem@rt韓国アニメセレクション」を2023年1月27日(金)~2月9日(木)の2週間限定で、シネマート新宿・シネマート心斎橋にて開催が決定! さらに、アジア映画に特化した動画配信サービスおうちでCinem@rtにて先行独占配信中! この度上映される5作品の作品解説をお届けいたします。



『ジンジンとアキタ』
内気な少年と家族が織りなす、懐かしい“あの日”の物語


韓国映画アカデミー(KAFA)が開催した2017年度長編デビュープログラムの選定作品として、制作・公開された本作。監督を務めたチョ・ジョンドクは、90年代に民間のワークショップでアニメーションを学び、大学卒業後に来日してアニメスタジオ勤務を経験したのち、帰国してKAFAの正規課程に入学した異色の経歴の持ち主だ。日本のアニメーションの中でも、優しく穏やかな雰囲気の作品に憧れていたという監督は、同様の作風を得意とするスタジオで『ちびまる子ちゃん』や『こんにちは アン』などの制作に携わりながら、研鑽を積んできた。

『ジンジンとアキタ』場面写真1
©2016 KOREAN FILM COUNCIL. ALL RIGHTS RESERVED

20年近い努力を経てついに長編制作の機会を得た監督は、誰もが経験する少年時代の心の機微を、作品のテーマに選んだ。ジェヨンはわんぱくで元気いっぱい、という典型的な少年主人公ではない。口数は少なく、うれしい時も悲しい時も、一人でそっと感情をかみしめている。一方、彼の周りの大人たちは、どなり合いつかみ合いながら、素直に思いをぶつけ合い、それでも最後は互いを理解し合う。そんな人々の不器用な生き方を観察しながら、ジェヨンは父親の本当の気持ちを知り、少しずつ大人に近づいていく。

『ジンジンとアキタ』場面写真2
©2016 KOREAN FILM COUNCIL. ALL RIGHTS RESERVED

プロ野球リーグが始まった時の高揚感や、今では姿を消した犬食文化、小学校からの徹底した反共教育(※)など、時代の光と影も、物語の随所に散りばめられている。舞台となった統営の港、釜山の古書店街などリアルに再現された当時の風景や、古いカラー映像を思わせる印象的な色彩も、見る者をそれぞれの“あの時”へといざなうだろう。

※反共教育:北朝鮮をはじめとした、当時の共産主義勢力への敵対意識をすり込むための教育。1987年の「民主化宣言」を契機に廃止された。

『ジンジンとアキタ』ビジュアル

『ジンジンとアキタ』
配信ページ:https://www.cinemart.co.jp/vod/lineup/detail/000898.html

【あらすじ】
1983年夏。韓国南部の小さな港町に、ちょっと内気な小学生ジェヨンが暮らしていた。彼の家族は、両親と姉と妹、それに父親がかわいがっている2匹の犬、珍島犬の“ジンジン”と秋田犬の“アキタ”。魚市場で働く父は、毎日酔っ払って帰宅してはジェヨンたちをしかり飛ばし、母親ともしょっちゅう衝突している。家族を困らせて犬たちだけに愛情を注ぐ父親の姿に、寂しい気持ちを募らせていくジェヨン。ある日ついにその不満が爆発し、ジェヨンはジンジンの鎖を外して、家から追い出してしまう。ところが、放たれたジンジンは興奮して子どもたちを追いかけ回し、なぜかそこにアキタも加わって、町中が大騒ぎに。だが警察に大目玉を食らった父親は、思いもよらぬ行動に出る。ジェヨンはその真意を測りかねるが……。

監督:チョ・ジョンドク
原題:우리집 멍멍이 진진과 아키다/英題:My Dogs,JINJIN&AKIDA 2016年/67分/韓国/G/ドラマ
©2016 KOREAN FILM COUNCIL. ALL RIGHTS RESERVED

Text:田中恵美(ライター・編集者)
1990年前後のアジア美術ブームをきっかけに、韓国の現代美術や民衆美術を通じた交流活動に携わる。特に「花開くコリア・アニメーション+アジア(花コリ)」運営委員として、日韓アニメーション界の交流をサポート。韓国関連の執筆・編集では、ドラマなどのほか美術・デザイン、野球、ジャズなど専らニッチ担当(笑)。
花コリ公式サイト:https://anikr.com/

「Cinem@rt 韓国アニメセレクション」
「Cinem@rt韓国アニメセレクション」ポスター

2023年1月27日(金)~2月9日(木) シネマート新宿・シネマート心斎橋にて開催!
シネマート新宿・シネマート心斎橋
一般・大学生:1,500円/シニア(60歳以上):1,200円/障がい者:1,000円
・各種サービスデイ、TCG会員割引、ペア50割引、伊勢丹アイカード割引の適用はなし。
・リピーター割引:1,200円(2回目から「韓国アニメセレクション」半券提示で上記料金でご入場できます。)
オンラインチケット予約サービスをご利用の場合にも、ご入場の際に必ず提示をお願いいたします。
https://www.cinemart.co.jp/

 おうちでCinem@rt 先行独占配信中!
視聴料金:1,200円(視聴期間 48時間)
https://www.cinemart.co.jp/vod/news/20221125006670.html

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