韓国で4月に公開され、実際に起こったとある事件を基に描いていることから話題となった映画『空気殺人～TOXIC～』が9月23日（金）よりシネマート新宿他全国順次公開。

国に認可されていた商品を信用して使った結果、健康にいいはずの商品で、約2万人もの人間が死に陥った。国と大企業が原因で起こってしまったその事件は、多くの被害者を出したにも関わらず、いまだに解決されていない。難しい題材である本作の監督を務めたのはチョ・ヨンソン。この出来事を“記憶”し、“関心”をもってほしいと話す。

チョ・ヨンソン監督

―　本作の映画化の話がきたとき、原作を読み、どのような印象を受けましたか？

チョ・ヨンソン監督　原作と映画ではだいぶ内容が大きく変わっております。何故かというと、この事件の大きなもので、原作では描き切れていない部分が沢山あるんです。そういった部分を描かなければいけないと思い、原作者の方と何度も打合せを重ねて脚本を書きました。

本当に映画の中で描かれているような事実もあり、事件が解決に向かうまで26年という年月も経っており、事件について描かなければいけない部分が沢山ありましたので、そういったことに関して原作者の方と沢山話ました。


―　キム・サンギョンさんをはじめとした、本作のキャストの印象を聞かせてください。

チョ・ヨンソン監督　私は、演じてもらう上で最も重要なのは誠実さと努力だと思ってるんです。キム・サンギョンさんとユン・ギョンホさんはただ台詞を読むのではなく、その役の人自身になろうとしていると感じましたね。驚いたのは、お二人ともですが。自分の演技によって、もしかしたら映画を見た方々につらい思いをさせてしまうかもしれない…と言っていて、演技という枠を超えて、映画を見る人にまで思いを寄せているんです。そういった部分で悩まれていましたね。

そんな二人を含む、ベテランの役者さんたちを見たイ・ソンビンさんは現場で、この先輩方たちについていけるのか？という心配をしながらも役に入り切っていましたね。それほどキム・サンギョンさんとユン・ギョンホさん誠実でストイックな俳優ですね。二人とも自身が演じる役のこと理解し、見事に演じ切っていました。 特に、この映画は実際に起きた事件を扱っているので、非常に慎重に、勉強を重ねて演技をしていましたね。

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―　製作にあたって、元になった事件をお調べになったと思いますが、そこで新たに発見したことや、感じたことはありましたか？

チョ・ヨンソン監督　本当にショッキングな事実がありまして、韓国でこの殺菌剤が1994年発売された当時に、世界初の素晴らしい商品という形で記事に取り上げられていました。ですが、私が６年掛けて調べたところ、一切先進国に輸出された形跡がありませんでした。それほど素晴らしいものが開発されたのにもかかわらずです。実際、今公開されている書類で明らかになっていることは、ある国に輸出を試みた結果、その国からの返答が、映画の中でもある通り、人が死ぬ可能性があるので、我が国では輸入を却下します。”というものでした。その時点で明らかに問題があるということが認識出来ていたはずにもかかわらず販売が続けられてきていたという点ですね。


―　日本のお客さんに向けて、改めてこの映画を作られた意義とメッセージをお願いします。

チョ・ヨンソン監督　とにかく、この出来事を“記憶”してください。皆様の“記憶”が集まらなければ奇跡は起こせません。このインタビューを通じてお話しさせて頂いた通り、この映画はただ一件の加湿器殺菌剤の話を描いているわけではなく、人による災害を描いた映画なんです。日本で言う”水俣病“のように、世界各地で起きた、またはこれから起こり得る人災なんです。ですから本作品をきっかけに、そういった事件に関してみんなに”関心“を持っていただきい！というのが私の願いですね。

『空気殺人～TOXIC～』

2022年9月23日（金）より全国順次公開
出演：キム・サンギョン 、イ・ソンビン、ユン・ギョンホ、ソ・ヨンヒ
脚本・監督：チョ・ヨンソン
エグゼクティブプロデューサー：キム・サンユン
プロデューサー：ユ・ジェファン
原作：「TOXIC」ソ・ジェウォン
字幕：田中三紗子 　字幕製作：株式会社ワイズ・インフィニティ 　配給：ライツキューブ
2022 ／韓国／韓国語／カラー 5.1ch ／アメリカンビスタ DCP 108min
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公式HP：https://kuhkisatsujin.net/