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【最新ドラマin台湾】ホウ・シャオシェンお墨付きの必見ドラマ! 人間の不条理、生と死をユーモラスに描く「良辰吉時」

ニュース提供元:CATCHPLAY

海外でも著名な監督ホウ・シャオシェン(侯孝賢)が監修を務める、シュルレアリスティックな風刺コメディ「良辰吉時(原題)」(仮訳:縁起のいい日/Twisted Strings)は2022年春必見のドラマとなりそうだ。

  

本作の「金」保有率は群を抜いており、監督・脚本のホアン・シー(黃熙)から美術監督、キャストのリー・カンション(李康生)、ニッキー・シエ(謝欣穎)、ヤン・ヨウニン(楊祐寧)、ヤオ・イーティー(姚以緹)、シュエ・シーリン(薛仕凌)まで、金馬奨などの権威ある受賞歴を有する錚々たるメンバーが集結。さらには台湾ドラマに久しく出演のなかったシルヴィア・チャン(張艾嘉)、シンガポール人のロミオ・タン(陳羅密歐)やアイリーン・タン(陳麗貞)ら実力派俳優が脇を固める。

「良辰吉時」は、一週間を猿の生活で表現した台湾で有名な童謡に着想を得たもの。ホアン・シーはそこから内容を膨らませ、生死におけるユーモア性をメインにした脚本を3年の歳月をかけて書き上げた。「今の時代を生きるには笑い飛ばすことも必要だが、笑い終わった後に何か変化を起こすことも必要なのでは?」と、見る側に問いかける。誰もが自分の考えを持ち、生きているうちに少しでも真実を追い求めてほしいとの思いが込められている。

「良辰吉時」は全編を通して奇妙な雰囲気に満ちており、人に操られた猿の人形が、多くの登場人物の人生を通して不条理な人間性をリードする。物語の始まりは、喜びも悲しみも味わった女性が、死者の救済として「魂を呼び戻す儀式」を行うシーン。

元は長編映画を想定していたというホアン・シーは、脚本の執筆過程について次のように話した。鏡に向かって歯磨きをしていたある晩、「月曜日猿は新しい服を着る、火曜日猿はお腹がすいた……」と、子どものころに流行っていた早口言葉を何となく口ずさんでいた。しかし「翌水曜日猿が死ぬ」まで口ずさんだところで突然身の毛がよだつ恐怖を感じたと同時に、「もしこの短編をいくつか書いたら面白んじゃないか」と思いつく。そして、マジックリアリズム的な脚本の執筆が始まったという。

ホウ・シャオシェンは、人間や事物を捉えるホアン・シーの鋭い視点を高く評価しており、今回初めてドラマの監修を引き受けることを決めたそうだ。執筆の過程で多くのアドバイスもしたというホウだが、「美術から撮影、編集、役者まで、本作に携わるメンバーはこれまで自分も一緒に仕事をしてきた人たち。ホアン・シーの脚本と表現スタイルを掛け合わせれば、特別なドラマを作り上げられる。国際的な投資協力も得て、貴重な台湾ドラマになるに違いない」と太鼓判を押した。

ホアン・シーは、「良辰吉時」を通して日常生活における多くの不条理な社会現象を、ユーモラスな視点で淡々と見てもらいたい。同時に他の台湾ドラマと比べると「突然味覚がリフレッシュされる異国料理」のような本作を、繰り返し咀嚼し味わってもらえたらと話した。

他の台湾ドラマと違う特別な点とは何だろうか? 撮影指導のヤオ・ホンイー(姚宏易)の言葉を借りればこうだ。似たような食べ物を食べる日々に突然現れた異国料理。おいしく感じるかは人それぞれだが、まったく違う味であることは間違いない。さらに彼は「これはホラーではない。サスペンス、人間の絆、独特な感情、人生の旅の途中、それぞれのくだりに意味があり、最後まで結末がわからない」と作品を表現する。ストーリーの鍵を握る重要人物を演じたシルヴィアも、「驚きと人間性に満ちた物語。皆さんに気に入ってもらえるはず」と自信をのぞかせた。

CATCHPLAYとワーナーメディアが共同制作した「良辰吉時」は、3月27日より毎週日曜台湾夜9時CATCHPLAY+、HBOチャンネル、HBO GOで先行配信予定。

翻訳・編集:二瓶里美
編集者、ライター。2014年より台湾在住。中華圏のエンターテインメント誌、旅行情報誌、中国語教材などの執筆・編集に携わる。2020年5月、張克柔(字幕翻訳家・通訳者)との共著『日本人が知りたい台湾人の当たり前 台湾華語リーディング』(三修社)を上梓。2017年4月より、ラジオ番組「Asian Breeze」では台湾の現地情報を発信するコーナーを担当中。

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