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ネタバレ上等!! 「悪の花」&イ・ジュンギの魅力徹底考察!前編 《2022.1.27「悪の花」オンラインイベントレポート》

※ネタバレ注意※「悪の花」の結末に触れています。未視聴の方はご注意ください。

2022年1月27日、イ・ジュンギ主演作「悪の花」DVDリリースを記念したオンライントークイベントが開催。「韓国テレビドラマガイド」編集部・ライター高橋尚子さんとエスピーオー矢野が、「悪の花」そしてイ・ジュンギさんの演技の魅力を存分に語ったトークイベントの模様をお届けします。
※トークに登場したシーンを見直しながら読み進めていただくと、面白さが倍増します!


エスピーオー 矢野(以下、矢野) 皆さん、こんにちは! 本日司会を務めさせていただきます、エスピーオーの矢野と申します。宜しくお願い致します。そして本日のゲスト、韓国のテレビドラマ、映画、K-POPなどが網羅された韓国エンタメ総合情報誌「韓国テレビドラマガイド」の編集を担当されており、数多くの韓国作品のオフィシャルライターとしてもご活躍されています高橋尚子さんです! どうぞよろしくお願いします!

高橋尚子さん(以下、高橋)よろしくお願いします!

矢野 まずは本日のテーマ「悪の花」のおさらいとして、予告編をご覧いただきたいと思います。



「自分は感情がない」って言っていた人どこへ…(笑)

矢野 これから高橋さんと一緒に、「悪の花」でのイ・ジュンギさんの魅力に迫ってまいります。事前にお伝えしたとおり、今回のイベントではネタバレ全開でお話しますので、ご了承ください。またイ・ジュンギさんの役名は「ヒョンス」で統一させていただきますね。

高橋 今回、オンラインイベントへの応募の際に、アンケートを募集したんですよね?

矢野 そうなんです。いくつか質問にお答えいただいたのですが、第1部では、「ヒョンスってジウォンのことは愛してないなんて言いながら、ジウォンのこと大好きだよなぁと思ったシーンを一つ上げて下さい」という質問の回答を一緒に振り返っていきたいと思います。

アンケートで人気だったシーンBEST3からご紹介しましょう。まず、第3位! 第10話より【ジウォンのもとへとびきりの笑顔で駆けつける】

高橋 抱きつかれてからの、ヒョンスのちょっと戸惑いながらの表情がいいの! ここ、本当にツボなんですけど(笑)。こんなのね、愛しているがゆえに出ちゃう顔ですよ。

矢野 もう完全愛しちゃっていますよね。皆さんからの感想も一部ご紹介させていただくと、「ヒョンスの、あの見たことないような笑顔を見た時に、あぁ…ヒョンスはジウォンがほんと好きなんだなぁと、私も嬉しくなりました」「このシーンが正直このドラマで一番の名シーンだったかなと思います。思い出すだけで涙が出ます」といった感想をいただきました。

高橋 そうなんですよね。ラブシーンなのに、泣けてきちゃう。愛され慣れていないし、愛し慣れていない彼が「間に合ったよ!」ってこんな笑顔を見せて…! だってその前に「別れる」って言われて動揺しまくりなんですよ、可哀想に…(笑)。そんな彼がジウォンの携帯に沢山たくさんメッセージを残すって…お前なぁ!

矢野 「自分は感情がない」って言っていた人どこへ…ですよね(笑)。

高橋 ほんと、どこに行ったの?って(笑)。このシーンで、ジウォンに「別れたいなんて嘘よ」って抱きしめられた時、ヒョンスは何とも言えない表情をするじゃないですか。この細かい表情演技が凄い。「悪の花」ではジュンギのアクションシーンがほんとに無かったじゃないですか。アクションが無い分、表情とか感情の演技…感情は無いって言っているんだけども!その、無いはずの感情演技なんですよ。それが、凄い際立っていました。


ヒョンスの年下男子っぷりが、すっごいツボ 

矢野 では第2位! 第9話より【倦怠期会議、驚きの解決方法】

高橋 この名台詞! 重要と大切の違いっていうね。そして、ジウォンに対する愛情が…共犯者を捕まえることが解決策なの!?(笑)。倦怠期云々っていうより、「ジウォンが辛そうだから解決してあげたい」って考えてるの、愛じゃないですか。解決方法が分かった時のあの恍惚とした表情見ました?!

矢野 アハハハ! 良い表情していますよね(笑)。

高橋 ヤッター!みたいな(笑)。ああいうところが一つ一つ丁寧で見事だなと思って。「彼は今こういう感情なのね」と凄く伝わってくる。だけどその演じ方も、ヒョンスには本当に感情が無いのかあるのか微妙な匙加減で演じてる

矢野 しかも、ドラマ序盤と中盤でその感情の出し方も変えていますよね。ファンの方からのご意見でも多かったですが、今までも演技が上手いと言われていたイ・ジュンギさんが「悪の花」で更にパワーアップしているように感じます。

高橋 時代劇じゃなくても、アクションが無くても、こんなに魅せられるんだと証明しましたよね。

矢野 では皆さんからの感想を少しご紹介させていただきます。「すぐにムジンに相談に行くあたり可愛いなぁと思いました」「どこかズレてるなーと思ったけど、真面目に真剣なヒョンスが可愛いなって思いました」。不器用な感じが可愛いという感想が結構多かったですね。

高橋 本当に可愛い。実はヒョンスは年下男子、つまりジウォンは年上女房なんですよね。ヒソンは39歳、ジウォンは37歳、ムジンは36歳という設定なんですが、ムジンとヒョンスが同い年なので、実は年下男子なんです。私、このヒョンスのちょいちょい出てくる年下男子っぷりが、すっごいツボで。後半になるにつれてどんどん年下感が出てくるんですよ。

矢野 ヒソンではない、本当の自分が出てくるから。

高橋 そう! これまでジュンギって「守る男」みたいな感じだったけど、「悪の花」で年下役イケるじゃん!って思って。少し年上の女性とのやり取りがこんなにハマるんだ!って。

矢野 ジウォンともだし、姉ヘスとの関係も良かったですよね! 母性をくすぐるような可愛さがあって。ほっとけない感じ。

高橋 今回は父親役だったので父性に注目されがちですが、ヒョンスは母性本能くすぐるキャラクター。父性を出しつつ母性本能もくすぐる見事なキャラクターなんですよ! …話していて熱くなってきた(笑)。

矢野 アハハハハ!


素晴らしい…こんな短いシーンでも愛情が出ている 

矢野 第1位は、第4話より【落ちてきた工具箱から、思わずジウォンを守るヒョンス】です!

高橋 逃げなきゃいけないのに咄嗟に体が動くっていうね、ジウォンの危険を察して。4話の段階ですでに愛が見え隠れどころか、バレバレ(笑)。脚本家のインタビューで印象的だったのが、ヒョンス本人はジウォンを愛していると気づいていないけど、視聴者には分かるようにヒントを落としていきたいと思いましたって語っているんです。感情のないキャラクターを維持しつつも、彼の感情を視聴者が感じられるように表現する、このシーンのように、ジウォンのことを好きだっていうのを色んなシーンで表現しているんですよね。

矢野 第1位ということで、皆さんからの感想もたくさん寄せられていまして。「冷静に行動するヒョンスが、ジウォンの危機には何も考えずただ守りたい一心で、突発的に身体が反応し動いたところに、深い愛と誠実さを感じて胸がきゅんとしました」「このシーンまでは、自分を守るために良い夫を演じているのか?それとも、ジウォンを愛しているのか?いや、でもやっぱりサイコパス…?と分からず、ドキドキハラハラ。でもこのシーンで、あぁジウォンを愛してるんだなぁと…。ヒョンスの本当の感情が見えたシーンで印象的でした」などなど。

高橋 私もこのシーンで確信を得ました。皆さんの言う通り、冷静沈着だったのに「守んなきゃ!」って身体だけは反応しちゃうっていう。

矢野 感情が本当に無いなら、そんな行動をとるはずないんですけどね。ヒョンスのキャラクターをすごく上手に表現しているシーンだと思います。

高橋 ぜひこのシーンで観直していただきたいのが、飛び出す瞬間の表情。暗くてちょっと分かりにくいんですが、「ジウォン、危険!」みたいなのが咄嗟にこう表情にも出ていて。素晴らしい…こんな短いシーンでも愛情が出ている


ちょいちょい18歳が出てくる。それがすっごい見事 

矢野 BEST3以外にも、たくさんのシーンが皆さんから挙がりました。例えば第5話の【電気がつくまで静かに待つ】。これは回想シーンですね。

  

高橋 回想シーンがまた良かったんですよね。

矢野 さすがのイ・ジュンギ、無言の演技ですよね! 回想シーンではヒョンスはあまり話さないんですが、それでも伝わってくるものがある。

高橋 そうそう。少しずつジウォンに心を開いていく表情が各話の冒頭に出てくるじゃないですか。だからどんな風に彼女への愛が芽生えていくのかが入ってくる。脚本も役者も見事だなぁと思いました。

矢野 同じ無表情のはずなのに、回想シーン、ドラマ序盤、中盤と全然違う表情なんですよね。

高橋 そう、全然違うの!

矢野 この微妙な演技の差はイ・ジュンギさんじゃないと出せなかったんじゃないかと思います。他にも、第9話【ジウォンに送ったメッセージたち】も挙がりましたね。

高橋 こんなメッセージ送って、好き以外のなにものでもないじゃん!っていう(笑)。

矢野 「胸が苦しい」は、もう告白ですよね(笑)

高橋 ヒョンスは素直ないい子なんですよ!っていう言い方もあれですけど(笑)。ヒョンスは18歳で事件が起きて、その数年後にヒソンとして生きるようになったことで、心の成長が18歳で止まっている。だから、ちょいちょい18歳が出てくる。それがすっごい見事だなって。あ、今18歳の顔だ!という瞬間が後半になるにつれ出てくるので、意識しながら見直していただくと、より胸にグッときます。そもそも、村で「君には感情が無い。父親のようなサイコパスだ」って植え込まれたことで、自分は人を愛せない、感情が無いって思い込んでいるんですよね。ほんとに切ないキャラクターです…。

矢野 ほかには、第6話【雲の形がジウォンに見える】のシーンも挙がりましたね。

高橋 いや、見えない。エッグタルトの方がよほど見えるわ!(笑) でもヒョンスにはジウォンの顔にちゃんと見えるっていうね。あとこのシーン、ウナと手繋いでいる感じが良いんですよね。ちょっとした仕草だけど、ナチュラルにパパ・ヒョンスが出てて、すっごく良い。

矢野 パパ・ヒョンス、さっきの年下男子とはまた違うキュンがありますよね。寄せられた感想で「ふと見上げた時に目に浮かぶほどジウォンを想っているんだと、何度テレビに向かって『ヒョンス、それが愛していると言うことなんだよ』と、叫んだか」(笑)。共感される方、多いんじゃないでしょうか。

高橋 思わずツッコミを入れちゃう(笑)。ヒョンス、それが愛だから~!って。


彼はようやく「僕は殺してない」って言えたんだなぁと思って…   

高橋 では、私のお気に入りもご紹介してもいいですか? 完全ネタバレの最終話なんですが…。

矢野 はい、教えてください(笑)。

高橋 同じ設定のシーンが過去と現在にあるので、比較してご覧いただきたくて。まず最終話から【雨に触れるジウォンを見つめながら、自然と笑みがこぼれる】っていうシーン。ただの愛なんですよね。でも、過去を思い出して「あぁ…」という表情になっていく。


「悪の花」最終話 雨のシーン
© STUDIO DRAGON CORPORATION

では第4話の、同じく雨のシーンを観てみましょうか。こちらは2人が出会った頃の回想シーンなんですが、2つのシーンで同じ表情してるんですよ。最終話では記憶を失っているにも関わらず、デジャヴか!ってぐらい同じ。今、自分笑ってるけど…あれ…みたいな。


「悪の花」第4話 雨のシーン
© STUDIO DRAGON CORPORATION

矢野 そこから最後に父親が見えちゃう…みたいな流れも同じですね。

高橋 そう、愛してるって感情が本当はあるのに、過去に囚われているから気がつけない。だけど、雨が好きなジウォンの表情をみて、自然とヒョンスも同じ表情になっちゃうんです。他にも、ウナと同じ表情になるシーンもあって。ウナが笑うと自分も笑う、みたいな。

「悪の花」には、そんなふうに同じパターン、同じシチュエーションを繰り返すシーンって結構あるんです。例えば、病院でジウォンに会うシーン。1回目は、釣り堀に沈められて入院したとき、廊下でジウォンに会い戸惑って逃げる。2回目は、崖で本物のヒソンと争って入院したとき、廊下でジウォンと会っても気づかない。こんな風に、同じパターンだけど対比になっている。その見比べがすっごく面白いし、見事。

一回見終わった後にもう一回見直すと、あんな細かいシーンがあった、こんな細かいシーンがあったって、発見がいっぱいあって、「悪の花」って深いなぁって何度も思わされたんです

それともう1つ、そこ選ぶんかい!みたいなシーンなんですけど…。


「悪の花」第6話 タクシー運転手パクとの会話
© STUDIO DRAGON CORPORATION

矢野 ものすごくマニアックなシーンですね(笑)。

高橋 「妻が死んだと分かった時、どう感じた?」なんて、言ってることは鬼畜のようだし冷たく感情がない人って感じなんですけど、ヒョンスは本当にジウォンの気持ちが知りたいんですよ。映像の撮り方も上手くてサイコパスチックに見えるんだけど、あの「知りたいんだ」って言った後の表情がちょっと柔らかい。ヒョンスはほんとに知りたいんです、ジウォンが苦しんでいることを。これ、愛以外の何物でもない。

矢野 愛する人がどうして苦しんでいるのか知りたい、って愛情があるってことなんですよね。

高橋 「悪の花」には、こういう細かなシーンがあちこちにあって。あと、第14話でヒョンスが家政婦殺しを疑われた時のシーンもぜひ見直していただきたくて。


「悪の花」第14話 「僕は殺してない」
© STUDIO DRAGON CORPORATION

高橋 ヒョンスはここで初めて「殺してない」って言うんです。今まで自分が犯人じゃなくても「自分がやった」ってわざと罪をかぶるような、挑発するような発言をしていたのだけど、ここで彼はようやく心を開いて「僕は殺してない」って言えたんだなぁと思って…。すっごいゾクゾクきたというか、何とも言えない気持ちになりました。そしてここ、ジュンギの顔がまたいい!

矢野 めちゃくちゃ良い顔してますよね! 感情が全面に出てきてる。

高橋 その変化が見え隠れしていて、私はとっても心を打たれたシーンでした。

後編「「太陽の末裔」「愛の不時着」に続く、三大軍人ロマンスの3本目が欲しい」へつづきます


\高橋尚子さんがイ・ジュンギに関するコラムを執筆!/
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\「悪の花」全話魅どころ解説全7ページで掲載!/
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価格:1200円+税/発行:双葉社

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髙橋尚子×野田智代 完全個別制語り合い企画「韓流セッション」

「悪の花」リリース情報
「悪の花」DVD-BOX1&2 好評発売中!  各16,500円(税込)
BOX1【映像特典】メイキング 【封入特典】ブックレット
BOX2【映像特典】メイキング、イ・ジュンギインタビュー 【封入特典】ブックレット
レンタルDVD:vol.1~vol.8)レンタル中 vol.9~vol.16)2022年1月7日(金)よりレンタル開始

発売・販売元:エスピーオー © STUDIO DRAGON CORPORATION

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