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【特集】「悪の花」 ユ・ジョンヒ脚本家インタビュー 「感情がないキャラクターの感情を、視聴者が感じられるように」《ネタバレあり》

イ・ジュンギ主演最新作! 百想芸術大賞5部門ノミネートの傑作「悪の花」のセル&レンタルDVDが好評リリース中! 本作の脚本を執筆した脚本家ユ・ジョンヒさんに、本作そしてイ・ジュンギさんについてお話を聞きました。

※ドラマの展開に触れています。ドラマ視聴後に読むことをお勧めします。

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― 「悪の花」という物語の構想は、どのようなきっかけで、できたのですか? 

ユ・ジョンヒさん(以下、ユ作家) 「悪の花」は私の初ミニシリーズです。16話があまりにも長く難しく感じられたので、私自身がどんな物語が好きなのかを観察する過程が必要でした。 そんな過程で、自分はサスペンスを面白いと感じること、特に人間関係の複雑な感情の中でその人物の本性を探していく物語に魅了されるんだと気が付きました。さらに、その二人が哀切で運命的だったらもっと楽しく書けそうだと思いました。

そうやって自分が好きなストーリー的な要素を集めるうちに自然とト・ヒョンスとチャ・ジウォンという夫婦の物語が具体化してきて、「あぁ、私こういうのが書きたいんだ、こんな物語が見たいんだ」と意欲が湧いてきたので、執筆を始めました。   


「悪の花」© STUDIO DRAGON CORPORATION

― キャスティングについて、ユ作家が思い描いていたキャラクターどおりでしたか? 主人公を演じたイ・ジュンギさんについて、TVで観ながらどんなふうに感じましたか? 普段どのような印象だと思っていたのでしょうか?

ユ作家 思い描いたキャラクターに近い方もいれば、違う方もいます。近いのは近いので良くて、違ったらそれはそれでいいと思いました。どれだけ当初のイメージに近いかは全く重要ではありません。作家の想像力と俳優の想像力が調和されシナジーを生み出すのが一番大事だと思います。

イ・ジュンギさんは本当に良いイメージの俳優さんで、長い間たゆまなく実力を積んできた努力家で実力派の俳優さんです。特に専門家水準でアクションができる俳優さんと言う点で、普段から大きな好感を持っていました。


― 「悪の花」は1話から最後まで飽きることがなく、テンポよく話が進みました。脚本を書くうえで、特に重要視していたことはどんなことですか?

ユ作家 重くて複雑なこの物語をどうやって分かりやすく、没入感を持たせながら伝えられるかすごく悩みました。毎回の構成がすごく難しかったですね。また、ドラマを通してキャラクターたちが多く愛されるのを一番に願っていたのでキャラクターに真心を尽くしました。


― イ・ジュンギさんから、台本について、またはキャラクターについて、質問を受けたことはありますか? もしくは、この作品について一緒に話したことで、印象に残っている言葉はありますか?

ユ作家 イ・ジュンギさんと初めて会った時、この作品に関して色んな話をたくさん交わしたのですが、その時のイ・ジュンギさんの目が本当に輝いていてイイ表情をしていると思いました。作品に臨む姿が本当に純粋だと感じました。どんな言葉より作品に対して愛情があると思わせるその姿が記憶に残っています。その意欲的な姿につられ私も楽しくなり、一日でも早くヒョンスをテレビで見たいと思っていました。


「悪の花」© STUDIO DRAGON CORPORATION

― イ・ジュンギさんとの仕事は、これが初めてでしたが、一緒に仕事をする前の印象と、実際に仕事で組んでみた後の印象は? 想像とは違った面はありましたか?

ユ作家 私にとってイ・ジュンギさんは誠実な努力家のイメージが強かったんです。すごく鋭敏なイメージもありましたが(当然そんな面もありますが)、実際のイ・ジュンギさんはいたずらっ子でムードメーカーでした。

イ・ジュンギさんがいるところはいつも和気あいあいとしていました。撮影中、誰よりも一番大変な状況にいても、個人の感情より現場の雰囲気や一緒に仕事をしている人たちを先に想うところは本当に尊敬しました。私は大体の時間を作業室にこもって過ごしているので現場をよく知っているとは言えませんが、制作チームと会うたび皆が口を揃えて褒める俳優さんでした。


― イ・ジュンギさんをはじめ、俳優たちの演技で特に印象深かったシーン、期待以上だったシーンは?

ユ作家 本当に多いのですが一つだけを選ぶと… イ・ジュンギさんは15話の絶壁シーンです。ペク・ヒソンとの対峙からジウォンに近寄る瞬間まで…ヒョンスの切迫感や悲しみ、今までのヒョンスの人生全てがそこに溶け込んでいるように見えて圧倒されました。多分そのシーンは「悪の花」視聴者だったら誰もが感動した演技だったと思います。

ムン・チェウォンさんは9話の「どうしよう、会いたい」のシーンです。細部の表現で脚本時の想像を超えた、心臓を直接打つような感情を見せてくれました。人の真の感情をすぐ隣で見た気分でした。

ソ・ヒョヌさんは地下室でのシーンが圧巻だったと思います。2話の監禁から3話のヒョンスとの共助に至るまでの大幅な変化を、水が流れるように自然な演技で表現し見せてくれた点に本当感嘆しました。本当に説得力ある演技でした。

チャン・ヒジンさんは14話のペク・ヒソンとの対峙シーンです。恐怖以外の複雑な感情が存在するシーンで、善でありながら心は落ち着いていて、同時に気の毒でもあり切なくもあり。短い時間内でそんな全てを見せてくれたからです。

キム・ジフンさんは出演シーンが多くはありませんが、登場する全てのシーンで画面を掌握する雰囲気と演技に鳥肌が立ちました。どれだけ多く準備したのかが見えたので本当に感謝しました。


「悪の花」© STUDIO DRAGON CORPORATION

― はじめはサスペンスだと思っていましたが、見進めるにつれて、純粋で一途なロマンスに感じました。作家として、サスペンスとロマンスの比率はどの程度と考えて書いていたのですか?

ユ作家 特に比率を考えながら執筆はしていませんでした。ただ、この物語は「ト・ヒョンスとチャ・ジウォンのラブストーリー」というメインプロットを忘れないように、執筆時ずっと気にしている必要がありました。少しでも気を緩めると犯罪捜査ドラマに流れてしまうので。


― 「悪の花」でユ作家が気に入っているシーンシーンは?

ユ作家 最近は5話のオープニングの過去シーンがふっと思い浮かんではやるせない感じがします。静かに積もる雪、町の入り口にある小さなスーパー、2人だけの瞬間…などの部分です。


「悪の花」© STUDIO DRAGON CORPORATION

― 「悪の花」で印象に残っているセリフはありますか?

ユ作家 「私は死んだ人が見えるんだよ」


― ヒョンスとジウォンの夫婦の関係、ヒョンスとムジンの関係、ムジンとヘスの関係、 ヒョンスとヘスの関係、それぞれで大切にしていたもの、ポイントを置いていたことは?

ユ作家 ヒョンスがジウォンを愛していることを、本人は気が付かないけど視聴者は気が付けるように表現する必要がありました。つまり感情がないキャラクターを維持しながら、彼の感情を視聴者が感じられるように表現することにポイントを置きました。 ジウォンは夫に裏切られた後、再び彼への愛を回復させるまでの複雑で激烈な感情の動きを、説得力あるよう表現しようと努力しました。

ヒョンスとムジンは加害者と被害者として再会しますが、主人公が加害者になった状況を視聴者があまり不快に感じないよう描く必要がありました。同時にト・ヒョンスというミステリアスな人間が与えるヒヤっとした雰囲気も生かす必要がありました。そのため、2人の間にコミカルな感じを失わないようにするところに気を付けました。

ムジンとヘスは過去に経験した傷と向き合い、回復し、さらにヒョンスに犯した過去の罪を洗い、自分自身を愛することができる人になっていく過程を描くのが大事なポイントでした。「悪の花」というドラマのプロット上、ヘスという人物が持つ一番大きな意味は、私たちがヘスの目を通して、より真実に近いヒョンスの姿を見ることができる点だと思います。


「悪の花」© STUDIO DRAGON CORPORATION




「悪の花」リリース情報

「悪の花」DVD-BOX1&2 好評発売中!  各16,500円(税込)
BOX1【映像特典】メイキング 【封入特典】ブックレット
BOX2【映像特典】メイキング、イ・ジュンギインタビュー 【封入特典】ブックレット

レンタルDVD:vol.1~vol.8)レンタル中 vol.9~vol.16)2022年1月7日(金)よりレンタル開始

2020年|韓国|音声:オリジナル韓国語・字幕:日本語|発売・販売元:エスピーオー
© STUDIO DRAGON CORPORATION

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