Cinem@rt アジアをもっと好きになる

金馬奨オープニング作品『テロライザーズ』(原題:青春弑戀)、東京国際映画祭で上映決定 

ニュース提供元:齊石傳播、映画『青春弑戀』

ホー・ウィディン (何蔚庭)監督の新作映画『テロライザーズ 』(原題:青春弑戀)が、11月19日より台湾で劇場公開される。

リン・ボーホン(林柏宏)、ムーン・リー(李沐)、アニー・チェン(陳庭妮)、リン・ジェーシー(林哲熹)、ディン・ニン(丁寧)、ヤオ・アイニン(姚愛寗)らが出演する本作は、今年度ゴールデン・ホース・アワード(金馬奨)のオープニングを飾るほか、第34回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門で上映されることが先日発表された。

 

先月、トロント国際映画祭のコンテンポラリー・ワールド・シネマ部門で世界初上映された際には、「リン・ボーホンは昨年の『恋の病 〜潔癖なふたりの ビフォーアフター〜』(原題:怪胎)に続き、今回の演技も相変わらず素晴らしい。現実に救いを見い出せず、幻想が壊れた後の暴走と邪悪を激しい演技で表現している」と、海外の映画評論家からの評判も上々で、公開前から大きな注目を浴びている。

2016年『六弄咖啡館』で金馬奨の最優秀助演男優賞を受賞、昨年『恋の病 〜潔癖なふたりの ビフォーアフター〜』で金馬奨の主演男優賞にノミネートされたボーホンは、本作で実年齢より10歳若い引きこもりの孤独な大学生、郭明亮を演じる。現在、主要キャスト別のメイキング映像が次々とオンライン上で公開されており、ボーホンのメイキングでは、郭明亮の家庭環境から性格、多くの女性との複雑な関係までが明かされた。

ボーホンは「明亮は謎が多く、最初に脚本を読んだときは、どういう人物なのか想像しづらかった。一番大変だったのは一人芝居が多く、心を閉ざしていること。口数が少ない彼を、観客にも理解できるよう表現をするのが本当に大変だった」と、演じた際の苦労を語る。

しかしメイキング映像を見たファンからは、「こんなダークなボーホンを初めて見た」、「まったく新しいボーホンが楽しみ」、「ボーホンはまたノミネートされる」と、ボーホンの突き抜けた演技に称賛の声が寄せられた。


監督は、ボーホンの演技を初めて見た際の驚きをこう話す。「カメラテストのときにボーホンがどれだけこの役を演じたいのか伝わってきた。彼は私の前に座るなり、1分ほど凝視してきた。それが非常に恐ろしくて、強く印象に残った。家に帰ってから、そのときの印象を脚本に入れることにしたんだ」

さらに監督は、彼についてプロ意識が高く緻密な演技をする俳優だと表現する。「撮影中のある日、ボーホンに6時間の空きができた。運動でもしてリラックスしているのかと思ったら、実際には脚本の始めから終わりまで、明亮の異なるリアクションを考えつくかぎり書き込んでいたんだ。そのとき、私同様に緻密な仕事をするパートナーを見つけたと思ったよ」と、象徴的なエピソードを語った。「彼は私が望む演技をすぐにしてくれる。最後には視線や頷き、笑顔だけで大体何が起こったのかわかり合えるほどになった。彼とのコラボで、それが一番嬉しいサプライズだ」との言葉に、強い絆がうかがえる。

郭明亮の人物像について、ボーホンはこう分析する。「彼は家庭や恋愛、孤独などたくさんの難題に直面している。愛に飢えているけど、どう愛を求めればいいのかわからない」。そして、その難題が彼を混乱させ、最終的には取り返しのつかない過ちを犯してしまう。

ボーホンは、「この役は流動的で、監督と相談して多くの可能性を持たせた。明亮は絶対的な善や悪ではない。この映画は私が想像していたよりもっと深刻で、どの登場人物も一生懸命に生きて愛を求めている。見終わった後もずっと考え続けるような余韻が残る」との考えを示した。

一方、9月30日に公開された最新のメイキング映像は、アニー演じる舞台俳優Monicaを中心にしたもの。Monicaは夢を追い求め、かつてアダルトサイトで活動していたネットアイドル Missyのレッテルから脱却しようとするが、孤独から絶望に陥る。

アニーはMonicaについて「彼女はたくさんの問題を抱えている。とりあえずその日を乗りきろうという感じで、明日のことはわからない。同時に見栄も強く、きらきらとした面だけを人に見せたがる」と分析する。監督は「当初、Monica役を探すのに苦労したが、かわいくて少し抜けたところがあるアニーの個性がMonicaに立体感持たせた。脚本にはなかったMonicaの魅力を、彼女がたくさん引き出してくれたことに驚いている」と話した。


舞台俳優のMonicaと、かつてアダルトサイトで人気者だったMissyの二つの顔を演じるアニーは、「尺の制約がある中で、二つの異なる自分を演じるのは本当に難しかった。役者の身で役者を演じることも難しかったが、私自身とMonicaはある程度共存していて、Monicaが仕事で味わう挫折感、レッテルを払拭したいという切望は理解できるし、自分の経験を取り入れたような感じさえする」と共感できる一方、大きなプレッシャーがあったことも明かした。

しかしそれはいいほうに作用したようで、監督は「実はアニーのプレッシャーは伝わってきた。でも彼女のそうした不安感がMonicaにはぴったりで、レンズの中の彼女の1分1秒の感情表現をさらに完璧なものにした」と語った。

またメイキングでは、濃いメイクを施したアニーが、彼女を撮影するボーホンに思わせぶりな態度で近づいていくシーンを公開している。ボーホンは「アニーがこの役を演じると聞いた時、受け入れるのに少し時間がかかった。彼女は僕にとって『火神的眼淚(原題)』の仲間だったから。でも現場でドレスアップした姿やしぐさを見たら、自分が知るアニーとはまったく違う、映画の中のMissy(Monica)だった」と、アニーとの共演を振り返った。

一方、アニーは「明亮とMonicaの関係はあまり心地いいものではないけれど、この役をボーホンが演じてくれて感謝している」と話した。前作での共演で育んだ二人の良好な関係が、今作の複雑な関係を演じる上で大きなサポートになったようだ。

『テロライザーズ』は、一見何の関係もない6人が互いに影響し合い、無差別殺人事件に巻き込まれていくというストーリー。愛、欲、犯罪を通して、6人の登場人物に与えられた使命とコンセプトから、バーチャル、オンラインゲーム、ネットアイドル、社会世論、家族問題などに囲まれたZ世代のライフスタイルを探る。恐れなき青春と、罪なき恋愛ゲームが今始まる……。2021年11月19日より台湾公開予定。



翻訳・編集:二瓶里美
編集者、ライター。2014年より台湾在住。中華圏のエンターテインメント誌、旅行情報誌、中国語教材などの執筆・編集に携わる。2020年5月、張克柔(字幕翻訳家・通訳者)との共著『日本人が知りたい台湾人の当たり前 台湾華語リーディング』(三修社)を上梓。2017年4月より、ラジオ番組「Asian Breeze」では台湾の現地情報を発信するコーナーを担当中。

記事の更新情報を
Twitter、Facebookでお届け!

TOP