Cinem@rt エスピーオーが運営するアジアカルチャーメディア

【最新映画in台湾】リン・ボーホン×リン・ジェーシー共演!『青春弑戀(テロライザーズ)』、創作コンセプトを明かしたメイキング映像を公開

ニュース提供元:齊石傳播、映画『青春弑戀』

トロント国際映画祭に出品されている映画『青春弑戀Terrorizers』が8月10日、メイキング映像「監督のコンセプト編」を公開した。

出演者はこの機に乗じて、ホー・ウィディン(何蔚庭)監督に対する畏敬の念を吐露。リン・ボーホン(林柏宏)は「彼は優秀で厳しい監督だ」、ムーン・リー(李沐)は「私は普段何でも質問するタイプなのに、なぜかわからないけど監督を前にすると少し怖い」、リン・ジェーシー(林哲熹)は「監督は少し理系人間っぽくて、細部まですべて正確に計算している」、ヤオ・アイニン(姚愛寗)は「監督のギャップに萌える。仕事ではすごく真面目なのに、本人はかわいい」など、監督に対するそれぞれの印象を語った。

中でも金馬奨の最優秀助演女優賞を受賞した『幸福都市』(原題:幸福城市)に引き続き、ホー作品に出演するディン・ニン(丁寧)は「監督の作品に出演できるのはうれしい。彼が率いるチームは皆、役者に一番いい状態で仕事をさせてくれる」と称賛した。


『青春弑戀』は、『ピノイ・サンデー』(原題:台北星期天)、『幸福都市』に続いて、大都市における人間関係の希薄さ、よそよそしさ、孤独感が描かれる。

メイキング映像の中で監督は「私は若者の心理をリアルに表現した映画が撮りたい。同時に都会人の様子、現代人が直面する問題も反映させたい。密度が高い都市は、人との物理的な距離が近くても、心理的な思いや感情は疎遠で、それも私の知る台北だ。都会生活が長いので、都会人の孤独感を実際に感じることができる」と語る。

一方、撮影の99%が台北市内で行われたが、撮影場所を探す過程で、特色ある台北の景色が失われ始めていることに気づいたと言う。「かつては家族などの連絡に使ったであろう電話ボックス、噂話が飛び交う昔ながらの美容室やカフェ。台北駅の隣の歩道橋は、ロケハンのときは4基揃っていたのに、撮影当日には2基しか残っていなかった。昔は当たり前だったことが今では特別になっている。そのような共通の思い出も撮影することができたと思う」と話した。

ロケハンのほかに撮影で苦労した点として、「6人の登場人物の間で平行したり交差したりする相互作用」を挙げた。「6人は皆一種の欲望を表している。人はどう欲望をコントロールし選択するのか。観客の皆さんには、人間の持つ多面性を感じてほしい。人間は白と黒、善と悪だけではない。両極の間にあるグレーと複雑な感情こそが人間の最も素晴らしい点だと思うので、そのグラデーションを楽しんでほしい」と締めくくった。

出演者の一人であるボーホンは、本作について「たくさんの登場人物によって都市の孤独感が積み重ねられているので、見終わった後は誰もが自分なりの解釈ができる」とした。アニー・チェン(陳庭妮)は、本作は情報量が多いとした上で「人は皆異なる顔を持っている。たとえ同じ人間であっても、別の人の目から見ればその人の顔はまったく違う。だから自分の見えているものが必ずしもその本質とは限らない」と話した。

『青春弑戀』は、一見何の関係もない6人が互いに影響し合い、台北駅の無差別殺人事件に巻き込まれていく物語。愛、欲望、犯罪を通して、6人の登場人物に与えられた使命とコンセプト。オンラインゲーム、インフルエンサー 、社会世論、家族問題などに囲まれたZ世代のライフスタイルを探る。バーチャルかつ現実的な視点から、殺人事件は「誰もが部外者ではない」ことが見えていく。2021年末に台湾公開予定。


翻訳・編集:二瓶里美
編集者、ライター。2014年より台湾在住。中華圏のエンターテインメント誌、旅行情報誌、中国語教材などの執筆・編集に携わる。2020年5月、張克柔(字幕翻訳家・通訳者)との共著『日本人が知りたい台湾人の当たり前 台湾華語リーディング』(三修社)を上梓。2017年4月より、ラジオ番組「Asian Breeze」では台湾の現地情報を発信するコーナーを担当中。

記事の更新情報を
Twitter、Facebookでお届け!

TOP