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【配信で楽しめる!今月のおすすめ韓国映画】#1 自殺志願の3人が出会ったのは…セクシー美女?! 爽快感あふれるコメディ『裏切りのバラ』

韓国エンタメ好きなら、オム・ジョンファの1997年のヒット曲と同じ題名の『裏切りのバラ』というタイトルに、「お…?」と反応した人も多いのではないでしょうか。私自身、このタイトルから映画に興味を抱いたのですが、去っていった恋人に後悔させてやる、と歌った曲の内容と映画のストーリーはほぼ関係ありません。

では、なぜこのタイトルなのかについては、映画を見ていくとなるほどと頷かされるはず。

 

物語は、冒頭ヤクザのマ室長に殴られ、大金のありかを追及されていた男ビョンナムがその場からなんとか逃げて、主宰しているグループチャットで同好の士を呼び集めるところから始まります。ビョンナム、シムソン、ドゥシクの3人の男たちが集まったのは一緒に自殺するため。

こう書くと悲惨な内容かと思われそうですが、出演者の顔ぶれを見れば、これがコメディであることはおそらくすぐにわかるでしょう。ビョンナム役のキム・イングォンとマ室長役のパク・チョルミン、シムソン役のチョン・サンフンはコミカルな演技で定評があり、それぞれ共演経験を持っています。

そこにドゥソク役として加わるのがキム・ソンチョルです。ミュージカル出身の彼は「刑務所のルールブック」でドラマデビューし、『82年生まれ、キム・ジヨン』や「ブラームスが好きですか(原題)」などに次々起用されている注目の若手俳優で、最近では人気作「ヴィンチェンツォ」への特別出演が話題となりました。

彼が演じたドゥソクは両親からも見放された悲しい3浪生で、彼が使う「幸せは成績順」というハンドルネームは、1989年のヒット映画『幸せは成績順じゃない(原題)』に由来している模様。実際に自死した女生徒の遺書にあったというこの言葉からは、いつになっても変わらない過酷な韓国の学歴社会の一端が垣間見えるようです。

さて、思い残すことなくバケットリストを実行に移した後、自殺志願の3人の男たちが向かったのは妖しい雰囲気のラブホテルの一室。ビョンナムが用意した薬を飲んで、この世を去ろうとしたその時、参加を見送ると言っていた「裏切りのバラ」ことミジが姿を現します。

セクシーな彼女の登場に場の空気は一変。男たちを色めき立たせるに十分な魅力のソン・ダムビは、人気歌手として活躍すると同時に俳優としても活発に活動し、2019年に「椿の花咲く頃」で一気に評価を高めました。

そんなソン・ダムビ演じるミジが自殺を決心した理由が、恋人の背信にあるということが明かされて、タイトル及びハンドルネームの「裏切りのバラ」へと繋がるわけです。そして、一体これから話がどう展開していくのか興味が深まります。

ホテルの外に停められた車にはマ室長が子分2人を従えて待機中。ここで「裏切りのバラ」を口ずさんだつもりのマ室長に、子分が「それは『ポイズン』です」と指摘するのですが、これも同じオム・ジョンファの1998年のヒット曲なので、彼が混同してしまうのも無理はありません。

このように、韓国映画や歌謡曲を知っていればいるほど楽しめる趣向が、あちこちに仕掛けられています。出演者と縁の深いゲストも登場。大金の行方をマ室長に探させる会長役を、シン・ヒョンジュンが実名で務めて、コワモテながらハジけた演技を披露して笑わせます。

また、ラブホテルの階下の部屋の客の役で出演したのは、歌・演技・バラエティと多方面で活躍してきたタク・チェフン。2人は本作の制作会社のヒット作『家門』シリーズ2〜4で共演しています。さらに、元4minuteのホ・ガユンが意外な役で特別出演。

他にも多彩な見どころがありますが、何よりいいのはバカバカしい部分にも爽快感があり、見終わった後「あー、おかしかった」と単純に思えるところです。



Text:小田香
出版社勤務を経てフリーとなり、01年頃より日韓の俳優、映画・舞台関係者に数多く取材。現在は『韓流ぴあ』『韓国TVドラマガイド』等の韓流誌を中心に、ミュージカルや映画・華流ドラマについての寄稿も行っている。著書にノベライズを手がけた『イニョプの道』がある。毎週金曜日AuDee配信の番組 「韓流ぴあpresents K❤❤❤(Love Max)」に不定期出演中。




『裏切りのバラ』
7月9日(金)より「おうちでCinem@rt -いつでも・どこでも-」にて独占配信!

監督:パク・ジニョン
出演:キム・イングォン、チョン・サンフン、ソン・ダムビ、キム・ソンチョル、パク・チョルミン
2018年/99分/韓国/配給:エスピーオー


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