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台湾初! ヒップホップのオーディション番組「大嘻哈時代」が放送開始

ニュース提供元:TTV台湾テレビ(台湾電視)

6月12日より放送がスタートした、台湾初のヒップホップ・オーディション番組「大嘻哈時代The Rappers(原題)」が注目を浴びている。

視聴率も回を追うごとに高まっており、若年層のほか男性35〜49歲の視聴者も多く、ヒップホップ・ミュージックの文化が幅広い世代に波及しているといえそうだ。オンライン配信も同様に順調で、「大嘻哈時代」の直近の放送がYouTubeで公開されると、わずか15時間で急上昇ランキング1位になり、3日間その座をキープ。動画はネット上で広く拡散され、計500万回以上再生されている。


同番組でアドバイザー(兼審査員)を務めるのは、Dwagie大支、レイザー・ジアン(剃刀蔣)、熊仔Kumachan、リオ・ワン(Leo王)ら、台湾の実力派ヒップホップ・ミュージシャンの4人。番組のために共同で書き下ろしたという曲「憑什麼」のMVは、各有名サイトにもアップされており、特にYouTubeでは47 万回以上再生されるなど、台湾のラップ・パワーを見せつけた。


一方、出場者のパフォーマンスや審査システムが、視聴者の間で賛否両論を呼んでいる。特に、一部の音声の消音、歌詞のモザイクなどが、ラップの精神に反する行為だと疑問の声が上がり、中には番組をボイコットすると表明する人まで現れた。

制作サイドはこうした声に対し、「創作の自由は尊重するが、行政が定めるメディアのルールは守らなければならない。できるだけ二者間でバランスを取る。番組の本来の目的は、これまでヒップホップ・ミュージックに触れたことのない人にも台湾のラップ・カルチャーを紹介して、より多くの人に理解を深めてもらうこと」と説明した。

また熊仔は、自身のSNSアカウントで「この番組の放送は、近年の台湾ヒップホップ界で一番感動したことだ。ディレクターや制作クルーとのやり取りを見れば、純粋にこのカルチャーを尊重し、もっといい方向に改善しようとしていることがわかる。もしボイコットしたいなら、その人が愛しているのはヒップホップではなく、ネット上のヒップホップ・アーティストだ」と投稿した。

なお、テレビ放送時は規定に抵触する過激な歌詞などへの対応が必須だが、オーディション現場では出場者のパフォーマンスを中断せず、ネットでは完全版が配信される。

アドバイザーの審査基準については、それぞれこのように話した。熊仔は主題歌の歌詞にあるように「舞台裏では対等だが、舞台上では取引しようとしないこと」とし、出場者との関係性と採点は切り離している。審査員席に座った瞬間に情け容赦ないモードに切り替わると答えた。大支の採点のポイントは「曲そのものの内容とプレーヤーの表現スタイルが唯一無二かどうか」だと示した。剃刀蔣はプロデューサーとしての総合的な視点から「出場者の楽曲と現場での安定性を見る」、Leo王は歌手寄りの視点から「集中力とリズムの安定性が高いレベルにあるかどうかに着目する」と話した。

  


番組では、各出場者の個性的なパフォーマンスから台湾のラップ・パワーを目にすることができると同時に、彼らのバックストーリーも大きな見どころ。例えば更生した学生が出所後にヒップホップの先生になるなど、出場者たちは、いつかヒップホップ・ミュージシャンになるという夢のために、台北で生活しながら努力を重ねている。

こうした出場者たちの努力と真剣さは、視聴者を大いに感動させた。出場者は小学生からラップを聴き始めたという15歳の中学生から、台湾語のヒップホップグループとして活躍するCocky Boyz(臭屁嬰仔)、人気Youtuberの異郷人、ラップグループCHING G SQUADのプロデューサーChrisFlow(唐仲彣)、アイドルからヒップホップに転向したSOWUTまで、さまざまなバックグラウンドを持つ出場者が参加し、レベルの高いパフォーマンスを見せている。


ChrisFlow(唐仲彣)

SOWUT


「大嘻哈時代」は、毎週土曜の夜10時(台湾時間)、MTV、TTV台湾テレビ(台湾電視)、myVideoで同時放送・配信。そのほか三立都會台、Line TV、Vidol、YouTubeの「大嘻哈時代」チャンネルでも視聴できる。

大嘻哈時代 URL https://www.youtube.com/channel/UCRLIUGY3nHK6TPpYciQxl_w



翻訳・編集:二瓶里美
編集者、ライター。2014年より台湾在住。中華圏のエンターテインメント誌、旅行情報誌、中国語教材などの執筆・編集に携わる。2020年5月、張克柔(字幕翻訳家・通訳者)との共著『日本人が知りたい台湾人の当たり前 台湾華語リーディング』(三修社)を上梓。2017年4月より、ラジオ番組「Asian Breeze」では台湾の現地情報を発信するコーナーを担当中。

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