おわりに：オシャレなアートムービーもアクション抜きの文芸作品も　香港映画の沼へようこそ　

以上、ざっくりと娯楽作品を中心に代表的な香港映画を紹介した。数十年前の話題作も多く、今見ると作風がベタすぎたりあかぬけないと感じるかもしれないが、それぞれの時代を代表する映画やスターたちのパワーと輝きを楽しんでいただければ幸いである。

かつて東洋のハリウッドと呼ばれた香港にはオススメの作品がまだ山ほどある。中でもスタイリッシュ系の最前線が、先述の『欲望の翼』『恋する惑星』などに加えて『ブエノスアイレス』（97）『花様年華』『グランド・マスター』（13）といったウォン・カーウァイ監督の名作群。香港映画の一般的イメージ（アクションやコメディ）をくつがえすその芸術的センスは他の追随を許さない。

また、イケメンスターや演技派スターのことをもっと知りたいというむきには金城武、ニコラス・ツェー（謝霆鋒）、ルイス・クー（古天樂）、ショーン・ユー（余文樂）、ラウ・チンワン（劉青雲）、ニック・チョン（張家輝）、フランシス・ン（呉鎮宇）といった面々の出演作をチェックしてみてほしい。

香港映画は、どこから手をつけても無問題（モウマンタイ）。楽しい映画でも泣ける映画でもしびれる映画でも、いいな！と思ったらそこが沼の入り口である。

浦川留（うらかわとめ）／ライター
中国語映画（香港・台湾・中国）を中心に韓国映画、インド映画までアジア全体の映画を興味のままに追いかけ中。編著書「香港アクション風雲録」、共著「武侠映画の快楽」など。香港映画オールタイムマイベスト３は『ザ・ミッション　非情の掟』『少林サッカー』『藍宇 〜情熱の嵐〜』（製作年順）。

Edited：小俣悦子（フリーランス編集・ライター）

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