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【インタビュー】「永遠の桃花」「運命の桃花」リン・ユーフェン監督 "チャン・チェンからの意外な提案"


― 「運命の桃花~宸汐縁~」も「永遠の桃花~三生三世~」と同じくロマンティックな神話ファンタジーですが、「運命の桃花~宸汐縁~」ならではの見どころはどこでしょうか? 本作で新たにチャレンジしたことはありましたか?

リン監督  この作品の枠組みは「永遠の桃花~三生三世~」と同じく神と魔の戦いなどが入っていますが、物語の語り口やスタイルは若干違います。

例えば「運命の桃花~宸汐縁~」にはコメディ要素がちょっと入っています。とはいえ、コメディ要素がメインキャラクターである九宸を埋もれさせてはいけません。九宸は戦神であり、孤高の存在でなければいけませんから。ただ、このドラマのコメディな雰囲気から九宸を隔離しすぎてもいけないと思います。

九宸を演じたチャン・チェン(張震)から「幾つかのシーンを、コメディな表現で演じてみてもいいか」と提案を受けました。実は、彼からこの提案を受けたとき私は「こんなに孤高で威厳のあるキャラクターに、どうやってコメディ要素を入れ込むの?」と少し心配に感じました。

しかし私は出演者のアイデアを受け入れるタイプな演出家です。なぜなら、私がまだ気がついていない何かに、俳優は演じる中で気がついたのだろうと思うからです。実際にチャン・チェンの提案についても検討し、たしかに脚本に幾つかのパーツでコメディ要素を入れる可能性があると考えるようになりました。

コメディ要素以外に、もう一つ違いがあります。それは「運命の桃花~宸汐縁~」がオリジナルな物語だということです。原作が既に存在する作品だと、序盤、中盤、終盤の展開、そして結末が事前にわかっていて、どんな演技と語り方で繋げていくかを考えることができます。俳優も原作小説を読む段階で、キャラクターをある程度把握することができます。

ですが今回の創作は、皆で一緒に模索しなければいけませんでした。撮影に入ってもまだ確定できていない部分もありました。チーム全員で話し合って、インスピレーションを生み出す必要がありました。しかし、現場でインスピレーションを受けたからこそ生み出せるものもあるのです。リハーサルと現場では感じるものも違いますからね。


― 「永遠の桃花~三生三世~」と「運命の桃花~宸汐縁~」のそれぞれの撮影現場で、印象に残っている俳優たちとやりとりはありますか?

リン監督  まずキャスティングと撮影の際に私が行うやりとりについてお話しすると、キャスティングではまず外見がキャラクターのイメージにあっているかどうかを見ます。そして俳優と実際に話をして、試しにあるシーンを演じてもらい、そのキャラクターの“ある瞬間”を掴まえられるかを見ます。

撮影現場では、大体の感情の方向性をみて、そして俳優の感覚をみます。俳優がその状況の中に入り込んでいれば、俳優同士がやり取りの中で生み出したものの方がずっと面白くて刺激的だと考えています。

ドラマは総合的なものだと言われます。皆がちょっとずつ生み出したものを積み重ねた結果が一番良いんです。一番大事なのは、一人一人が誠実で、隠すことなく自分の感覚と考えを話すこと。スムーズなコミュニケーションによって皆が短時間のうちに感情を一つにし、シーンに集中することができます。

例えば「運命の桃花~宸汐縁~」はチャン・チェンにとって初のドラマ出演作ですが、彼はドラマ撮影に不慣れな感じはしませんでした。しかし、時間が経って親しくなると、彼は私に「実は人と親しくなるのが遅く、慣れるようにずっと調整している」と話してくれました。たしかに彼は寡黙な人で、すぐ他の人と親しくなる性格ではありません。最初の頃、彼の反応がすこし変だと思うことがありましたが、実はそのとき彼はドラマ撮影の仕方に慣れようとしている最中で、ドラマでの演技はどうすればいいのか迷っていたのです。

私は彼にその数週間で撮影したものを見せると、彼はドラマ撮影で出来上がるものがどんな感じなのかを理解できたようでした。彼からも、「リクエストがあればどんどん言ってください。NGならNGで、何回撮り直してもいい」と言ってくれました。彼は他人の感情を気遣いながら、自分の不慣れを自分で消化していたのです。


― 最後に、30年のキャリアを持つ監督が考える"ドラマを成功させるための最も重要な要素"とは何だと思いますか?

リン監督  キャラクターをきちんと理解し、表現することだと思います。私はすべてのドラマはキャラクターが原点だと考えています。ストーリーはキャラクターの為にあり、キャラクターがストーリーのために存在するのではありません。ストーリーのためにキャラクターを変えるようなことがあれば、私はすごくモヤモヤします。キャラクターを表現するには、ロジック(合理性/筋道)、根拠、生活感がなければいけません。

あとは、視聴者がキャラクターと一緒に呼吸しキャラクターの嬉しさと悲しさを感じ、そして劇中からヒントや素敵な願いを得るようにすることです。



DVD情報

「運命の桃花~宸汐縁~」
DVD-BOX1~3 発売中 (各18,000円+税) 

提供:エスピーオー/BS12 トゥエルビ
発売・販売元:エスピーオー
サイト:https://www.cinemart.co.jp/dc/c/lovedestiny.html

「永遠の桃花~三生三世~」
DVD-BOX1&2 発売中!(各18,000円+税)
Amazonプライムビデオほか 配信中

提供:エスピーオー/BS12 トゥエルビ
発売・販売元:エスピーオー
サイト:https://www.cinemart.co.jp/dc/c/eternallove.html

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