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【コラム】"F4"が巻き起こしたこと / 第2回「ジェリー・イェン」 望月美寿(ライター)




2004年に「流星花園~花より男子~」のDVD-BOXが日本で発売になり、今年で15年が経ちました。
今でも「流星花園」は根強い人気を誇っており、F4ファンからは熱い声が寄せられます。

ここまで人を夢中にさせる「流星花園」、そしてF4って、いったいどんなムーブメントだったんだろう?
当時をよく知る華流業界の4名に、F4の思い出を振り返ってもらいました。

第1回:F4        
第2回:ジェリー・イェン 
第3回:ヴィック・チョウ 
第4回:ヴァネス・ウー  
第5回:ケン・チュウ    

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「流星花園~花より男子~」より c2001 Comic Ritz Productions Co.,Ltd. 原作 集英社マーガレットコミックス刊 神尾葉子著「花より男子」c1992 Yoko Kamio


「アジアの恋人」「台湾のキムタク」「元祖道明寺司」というキャッチフレーズ。彫刻のような美貌、厚い胸板、強い目ヂカラ。

ジェリー・イェンのことを表面的にしか知らない人は、スターオーラバリバリの、オラオラなオレ様キャラを思い浮かべることだろう。

だが実際のジェリーはむしろ真逆だ。謙虚で自信なさげで、自分に厳しくて人に厳しくて、こだわりが強くて。

でも心根は優しくて、憂い顔がゾクッとするほど色っぽくて、驚いたときや困ったときは目をクルクル。いたずら好きで、子どもみたいなくしゃくしゃの笑顔で笑う。

それが私の知ってるジェリー・イェンだ。

最初に出会ったのは2005年の春。写真集「F4@TOKYO」のインタビュー。気難しいという前評判にびびりまくりながらの初対面だったが、自然な笑顔にほっとした。

これを皮切りにジェリーの行くところ、どこへでも取材に行った。私のライター人生、ジェリーを中心に回っていたときがあった。アクセサリー会社のイベントで台湾に飛んだときがピークだった気がする。

「ザ・ホスピタル」の高雄ロケ&台北での記者発表会にオフィシャルライターとして同行した数日間は頭から火を噴くかと思うほど大変だったけど、それにも勝る充実感があり。台湾の11月は真夏のように暑いことを初めて知った。

あれは何度目の取材の最中だっただろう。ある人から「彼はインタビューが怖いんですよ」「どんな人が来て何を聞かれるかわからないから」と聞いた。衝撃的だったし、これはその後、自分がインタビュアーとして仕事を続けていく上で心に刻むべき言葉にもなった。

その後、経験を重ね、心を開いてくれるようになり、次第に明るく変わっていったジェリー。私もそんなジェリーからいろんなことを教わった。

「星に誓う恋」より cZHEJIANG TALENT TELEVISION AND FILM CO., LTD


スターになっても倹約家のジェリーは、無名時代に日本の古着屋さんで買った通称"オヤジTシャツ"(ユニークなおじさんのイラストが描いてあるブルーのTシャツ)を好んで着ていた。「次のアルバムのジャケットはそれを着て撮ろう」と笑いあったこともあった。なぜか志村けんの変なおじさんも大好きだったジェリー(笑)。

あれは日本進出10周年記念のインタビューだったか。
「この10年を振り返って思い出すことは?」と軽い気持ちで質問したら「うーん」と考えこまれた。仕方ないので次の質問をしていたら、突然「思い出した!さっきの質問の答え」と言う。

「何なに?ジェリー」とみんなが前のめりになる中、ニコニコしながら言った言葉が「あなたにたくさん会いました」。

「お、おうありがとジェリー」(いやいや、たしかにそうかもしれないけど、ちょっと嬉しいかもしれないけど、みんなが求めてるのはそういう答えと違うし、なんなら記事にできないし、それよりどうするんだよこの場の空気)。

この答えがジェリーの受け狙いでも冗談でもないことはファンならわかるだろう(笑)。

華流媒体の関係者はそんなジェリーのある種の純粋さに慣れていたけど、この日ジェリーに初めて会ったTV雑誌の編集者さんは軽いショックを受けていた。

ああ、台湾スターのこういうゆるさが愛おしい。そういうものに包まれて仕事をしていた日々が懐かしい。

記者会見の最後には、誰も見ていなくても必ず振り返って一礼してから扉の奥に消えていったジェリー。私はいつも見届けていた。

大きな取材部屋でたくさんのチームが行き来する中、後ろから突然肩をもまれて、誰かと思って振り返ったらジェリー!居酒屋でトイレに行く酔払いか!と驚いたこともあったっけ(笑)。

こんなエピソードを書いていたらきりがないので、最後に私の見果てぬ夢の話をしようと思う。「ザ・ホスピタル」でジェリーと共演したダイ・リーレン。

「ザ・ホスピタル」より


台湾を代表する演技派俳優のリーレンはジェリーがリスペクトする先輩で、おべんちゃらが大嫌いで気骨のある人。若手俳優を見る目も相当厳しいので「ジェリーを家に招いた」と聞いたときは私まで嬉しかったものだ。

そのリーレンは映画監督でもあり、一時期パラグライダーにものすごく凝っていて自分でも空を飛び、「空版『グラン・ブルー』を撮りたい、絶対に撮る」と語っていた。

空に魅せられた2人の男の友情とひとりの女性との愛の物語であるならば、キャスティングはダイ・リーレンとジェリー。そして実生活でのリーレンの恋人であるグイ・ルンメイで決まりだ!と思った。

以来私の頭の中の幻想映画館では、その映画が繰り返し上映されている。青色が印象的で、心の深いところがぎゅっとなる、私たちのジェリーの儚さと強さが封じ込められたような美しい映画だ。

あれから12年。ジェリーも42歳になった。

リン・チーリン結婚!の電撃ニュースに「おめでとう」とコメントしたと聞いて、ちょっぴり切なかったけど...ジェリーにはジェリーの人生がある。それがいつも愛に溢れていますように。

ねえジェリー、あのオヤジTシャツ今も持ってる?



第3回:ヴィック・チョウ につづきます




text:望月美寿(もちづきみとし)

8年間の編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。もとは香港映画を得意としていたが、05年、F4の写真集「F4@TOKYO」にインタビュアー&ライターとして参加したことをきっかけに華流の道へ。F4については今はなき華流ムック「Asian Wave」(近代映画社)を中心に大量に取材&執筆。現在は「もっと知りたい!韓国TVドラマ」、韓流サイト「Kstyle」などで韓流をメインに仕事中。台湾明星の独特のゆるさをこよなく愛す。F4の取材で行った淡水にもう一度行きたい!



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