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【コラム】"F4"が巻き起こしたこと / 第4回「ヴァネス・ウー」 島田亜希子(ライター)




2004年に「流星花園~花より男子~」のDVD-BOXが日本で発売になり、今年で15年が経ちました。
今でも「流星花園」は根強い人気を誇っており、F4ファンからは熱い声が寄せられます。

ここまで人を夢中にさせる「流星花園」、そしてF4って、いったいどんなムーブメントだったんだろう?
当時をよく知る華流業界の4名に、F4の思い出を振り返ってもらいました。

第1回:F4        
第2回:ジェリー・イェン 
第3回:ヴィック・チョウ 
第4回:ヴァネス・ウー  
第5回:ケン・チュウ      

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VANNESSヴァネス・ウー ~Like a Rolling Stone 常に新たなスタイルを求めて~
  
初めてVANNESSと会ったのは、平成17年、台湾にて、ある雑誌のインタビューを担当した時だった。

現場で見るVANNESSは、もちろんステキで、でもどこか張りつめた緊張感と繊細な雰囲気があって、決して「Hi!What's up?」と「流星花園~花より男子~」の美作よろしく、ニッコニコで軽やかに近づいてきてくれるようなタイプでは、なかった。

このままそっけなくされてしまうのかな...と淋しく思いつつ、サインを恐る恐るお願いすると、事務所スタッフが大慌てで遮るのも聞かず、「欲しいって言うんだから、いいじゃん!」そんな実にサバサバした様子で、差し出したDVDをバッと手に取り、パッケージからスリーブを自ら取り出して、そこにサインをし、そのスリーブをまた自ら入れなおして返してくれる(笑)という、神対応をしてくれた。

そして、緊張のあまり同じ質問―しかもあまりにも月並みな―「憧れているスターは?」という質問を2回も!繰り返してしまった私に、嫌なカオひとつせず、「Michael Jackson」と同じように答え、にっこり、その日初めての優しい笑顔をみせてくれたのだった。あのスマートな男気!今思い出してもほれぼれする。

私の中のVANNESSは、そんなcool&smartなイメージで、いまもそれは変わらない。


私がVANNESSに注目するようになったのは、現役F4時代ではなく、ソロ活動が本格化する2006年以降。

香港アクション映画への出演、韓国の男性グループ『H.O.T.』の元メンバーKangtaと結成したグループ『Kangta & Vanness』での活動や、日本でのファーストソロコンサートなど、それまでの"華流明星"という足かせを取り払い、憧れのスーパースターMichael Jacksonに一歩でも近づこうと全力で挑戦していく、そんな勢いがあって、すごくいい意味で尖っていた気がする。

この頃は、仲の良いクリエーターたちとゲリラ的な映像作品を作ってアップしたり、アメコミ風の絵を披露したりと、VANNESSのアメリカ育ちのバックグランドが反映されたアーティスティックな表現がどんどん増えていき、スタイリッシュで、常にワクワクさせられた。親しい仲間の一人であったジミー・ハンと、のちに制作会社を立ち上げたのも、ごく自然な流れだったのだと思う。



そして07年、VANNESSはキリスト教に入信する。自叙伝『夢・遊: Day Dreamer』でも、それらにまつわるストーリーは少し書かれていたと思うのだが、F4時代、どんなにがんばっても4番手の位置から抜け出せないことへのプレッシャー、焦り、周りからの心無い言葉、そして葛藤...そういうものから離れる一つの手段だったようにも思えるし、運命の出会い、だったのかもしれない。

その導きに従った結果、VANNESSを取り巻く潮目は劇的に変わる。主演ドラマ「秋のコンチェルト」(09年)の大ヒットに始まり、「王子様の条件?Queen Loves Diamonds?」(11年)、そして時代劇「王女未央-BIOU-」(16年)での演技が高く評価され、いまや魅力的なアクターとしてラブコールを受ける立場であることは、ご存知のとおり。

「王女未央-BIOU-」より




俳優業以上に、ダンサーとしてのキャリアも高く評価され、今年5月からyoukuにてネット放送されているダンスバトルバラエティ「這!就是街舞第二季」で、ショウ・ルオ、易?千?らと共にチーム隊長として出演。

若いcoolなB-boyたちから「呉建豪老師(先生)!」と、もんのすごいリスペクトされていて、アニキ、大活躍中である。

VANNESS自身、F4時代の仲間も思い出も、もちろんとても大切にしているのだろうけれど、時にネタとしてF4(もしくは"ロン毛"の美作キャラ)で笑いを取るあたりが、私にはとてもツボ。

そしてそんなVANNESSにちょっと、ほっとしたりもする。10年以上経って、全てが笑って話せるようになったのかな、と。

そして、今の活動がずっとずっと充実している表れなのかな、と...。時々イジワルなニュースで心痛めるときもあるかもしれないけれど。そんなの「So what!?」、VANNESSはきっとしなやかにかわしてどこ吹く風だ。

いつまでも古くなんかならないLike a Rolling Stone、表現者としてこれからも常に進化し続けるであろうVANNESSを応援していきたい。




Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。『台湾エンタメパラダイス』『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)にて執筆記事掲載中。



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