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「婚礼の酒」結婚にまつわる酒文化を解説|雑誌『和華』セレクション

中国ドラマ好きのための、雑誌『和華』セレクション

毎号1つのテーマを徹底的に掘り下げ、日中文化の魅力を再発見する雑誌『和華』。様々なテーマを取り上げてきた『和華』のバックナンバーから、読んでおくと中国ドラマ鑑賞がより楽しくなりそうな記事をピックアップして紹介します。
『和華』HP:https://visitasia.co.jp/waka/


《婚礼の酒》
女児が生まれると酒を仕込み、嫁ぐときは祝い酒に

文・写真/『中國旅游』 翻訳/江瑞
『和華』第12号 特集「酒」より

赤い酒瓶とグラス 

中国人の結婚には古来より酒が欠かせない。

南方の「女児酒」は、晋の 嵆含けいがん の『南方草木状』にある記録が最も古い。それによると、南方では女児が生まれると、幼いうちに酒を仕込んで池の底に埋めておき、女児が嫁ぐ時に取り出して、祝いに来た客に飲ませるという。この酒は紹興で受け継がれ、有名な「花雕酒」となった。中身は普通の紹興酒と同じだが、酒を詰める甕が独特である。甕は土を成形した時点で様々な花や人物、動物、山水や東屋などが彫られ、女児が嫁ぐ時、絵師に頼んで甕に油彩で「八仙過海」、「嫦娥奔月」などの情景図や、幸運と円満な新婚生活を願う縁起物を描いてもらう。

「会親酒」は結納の時に設ける酒席で、「会親酒」を飲んだということは、婚姻契約が成立したことを意味する。これ以後は、男女とも勝手に婚約を破棄することはできない。

「喜酒」は結婚式の時に飲む酒の俗称で、しばしば結婚式の代名詞として使われる。喜酒を振る舞うとは結婚式を行うこと、喜酒を飲みに行くとは結婚式に参列することである。 

「交杯酒」は中国の結婚式でよく行われる酒杯を使う伝統儀式である。『礼記・昏義』に「合卺而醑」とあるが、これは「一つのひょうたんを二つに割ることを卺(きん)、新郎と新婦がそれぞれ一つずつ持つことを醑(しょ)(即ち酒で口をすすぐこと)という」という意味で、合卺は後に結婚を表す言葉になった。唐代には既に交杯酒という名称が使われており、宋代になると、儀式の際、色のついた紐で二つの杯を結び、さらにその紐を同心結などの飾り結びにすることが流行した。夫婦が一つの杯を交互あるいは順番に飲む行為には、「私の中にあなたが、あなたの中に私がいる」という意味がある。

「回門酒」は、結婚式を挙げた次の日、新婚夫婦が「回門」、つまり妻の実家に帰り年長者に挨拶する際、妻の実家で設けるもてなしの宴席のことをいう。回門酒は昼食時に行われ、その後、夫婦はそろって自分達の家に帰る。

中国は少数民族が多く、婚礼の習慣も民族ごとに異なる。例えば満州族の結婚における「交杯酒」は次のようなものである。夜、新婚夫婦の部屋にろうそくが灯されると、新郎は新婦の頭を覆っている赤い布を外し、新婦の左側に座る。新郎側の介添えの女性は杯を持ち、新郎に一口すすめる。新婦側の介添えの女性も同様に新婦に一口すすめる。その後、介添えの女性同士が杯を交換し、新郎新婦に再び一口すすめる。

交杯酒のイメージ画像

『和華』
『和華』第12号の表紙

今回ご紹介した記事は第12号「酒」特集に収録!
様々な種類の酒を取り上げ、酒文化と酒造りを多彩な角度で掘り下げています。
発売中   763円(税込)
出版社:アジア太平洋観光社/星雲社発売   出版年:2016年
https://visitasia.theshop.jp/items/53229973

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公式ショップ:https://visitasia.theshop.jp/categories/3856510

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