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見られすぎて死…!? 中国古代四大美男、美しすぎるがゆえに歩んだ激動の人生|#たのしいアジアドラマ 番外編

中国古代四大美女と言えば、一般的には元祖・傾国の美女「西施」、和平のために西域に嫁いだ「王昭君」、 三国志でお馴染みの「貂蝉(ちょうせん)」、 そして唐の「楊貴妃」が挙がるのではないでしょうか。ドラマや小説の題材にもなっている四大美女は、日本でもよく知られています。

そういえば、四大美女のイケメン版ってあるの……?

……ありました! 

ということで今回は「中国古代四大美男」をご紹介します。長い時を経てどんな人物が「イケメン」として伝えられているのでしょう? そして彼らが美しすぎるがゆえに、歩んだ激動の人生とは?

※「中国古代四大美男」には諸説あります。本記事では最も一般的な4名を取り上げました。



中国古代四大美男・1人目
美しすぎる武将 
蘭陵王(541年-573年)
魏晋南北朝時代の武将

 「蘭陵王」のウィリアム・フォン1
「蘭陵王」© 2013 Polyface Entertainment Group All Rights Reserved.,上海上影英皇文化発展有限公司,北京東王文化発展有限公司

「中国古代四大美男」の中で、日本でも何度も文学作品の題材になってきたのが蘭陵王(本名・高長恭)。北斉の皇族にして、美貌の将軍です。

そんな彼のトレードマークは鬼の形相をした仮面。伝説によると蘭陵王の容貌は、味方はうっとりして士気が下がり、敵には侮られるほどの美しさだったとか。そのため戦場では恐ろしい仮面をつけて戦っていたとされています。美貌を隠すために仮面をつけていたというのは後世に広まった伝説ですが、歴史書『北斉書』にも「貌柔心壮、音容兼美(優しい顔立ちに勇猛な心、声も姿も美しい)」と記載されており、美将軍であったことは確かなようです。

その上、蘭陵王は部下思い。美味しいものが手に入れば部下に分け与え、部下をむやみに罰することもなかったとか。まさに上司にしたい武将No.1、いや皇族ならいっそ国を治めてほしいくらいですが……。

そんな蘭陵王の最期は主君に疎まれて死を賜るというものでした。なお死の前には、人々に貸していた巨額の債券を全て焼き払ったと伝えられています。最期の最期までイケメンな蘭陵王でした。

【蘭陵王を演じた俳優は?】
悲劇の美将軍とも言える蘭陵王は、ドラマ「蘭陵王」でウィリアム・フォン(馮紹峰)が、「蘭陵王妃~王と皇帝に愛された女〜」ではアンディ・チェン(陳奕)がそれぞれ演じました。二人とも美しく、かつ勇ましいイメージにぴったりですね!

「蘭陵王」のウィリアム・フォン2
蘭陵王(ウィリアム・フォン扮)
「蘭陵王」© 2013 Polyface Entertainment Group All Rights Reserved.,上海上影英皇文化発展有限公司,北京東王文化発展有限公司



中国古代四大美男・2人目
見られすぎて死……病弱貴公子 
衛玠(286年-312年)
西晋時代の哲学家

歴史的美人は人や国の運命を狂わせますが、時に本人の命運をも翻弄するようです。西晋の哲学家・衛玠(えいかい)は「あまりの美男子ぶりに、人に見られすぎて死んでしまった」という最期を遂げた人物です。

衛玠は、西晋建国時に重用された武将・衛瓘(えいかん)を祖父に持つ名家の生まれ。幼い頃から、光輝く美しさで評判でした。その輝きは容姿だけでなく、勉学でも発揮され、美しすぎる神童として育ちます。成長後は、その優秀さから何度も朝廷から仕官の誘いがあったそう。病弱だった彼は固辞し続けていましたが、ついに仕官の話を受けます。

その後、色々あって衛玠は現在の南京に移ることになります。もちろん現地は「稀代の美男子・衛玠が来る」と噂で持ちきりに。衛玠が到着する頃には彼を一目見ようとかなりの群衆が集まっていました。壁のように連なる見物客を前に一歩も進めない衛玠一行。その凄まじさは城門を入ってわずか5キロの距離を移動するのに3日3晩かかったと言われるほどです。そして目的地に到着すると……衛玠は病を得てそのまま亡くなってしまいました。この時、27歳。長旅の疲れと見世物状態のストレスによって亡くなったのではないかと言われています。

衛玠の思いもよらない最期を知った世間は、彼の死を「人々が見たために亡くなった」と形容するように。このエピソードは、常人離れした美男子や多くの人を魅了する人物を形容する成語「看殺衛玠」の由来になりました

彼がスッと南京入りし旅の疲れを癒せていれば、生きながらえたかもしれないと思うと美貌がもたらした悲劇とも言えますね。

【衛玠を演じてほしい俳優は?】
衛玠をメインキャラに据えたドラマはなかなかありませんが、中国では演じてほしい俳優にレオ・ロー(羅雲熙)の名がよく挙がります。

レオ・ローと言えば、「霜花の姫~香蜜が咲かせし愛~」「白華の姫~失われた記憶と3つの愛~」などで病弱な人物をよく演じています。美しさと同時に儚さも求められる衛玠のイメージに、病弱貴公子役に定評のあるレオ・ローが挙がるのは納得ですね!

「霜花の姫」のレオ・ロー
レオ・ロー
「霜花の姫~香蜜が咲かせし愛~」©Jiangsu Broadcasting Corporation International Co., Ltd



中国古代四大美男・3人目
誰もが認めるNo.1イケメン!?
潘岳(247年-300年)
西晋時代の詩人

中国語には男性の見た目に対する最高の褒め言葉として「貌似潘安」があります。直訳すると「潘安さんにソックリ」ですが、実は潘安とは潘岳の別名。最高のイケメン褒め言葉に、そのまま名前が出るとは! 中国において潘岳は「古代No.1イケメン」と見なされています。

彼のイケメンぶりを伝える逸話にはこんなものがあります。若い頃、潘岳が車で街に出ると、すぐさま多くの女性ファンに取り囲まれていたそう。ファンがプレゼントの果物を潘岳の車に投げ入れてくるので、潘岳が家に帰る頃には車が果物でいっぱいになっていたとか。このエピソードは、女性からの人気を表す成語「擲果満車(てきかまんしゃ)」の元ネタになりました。

そんな潘岳は、きっと言い寄る女性も多かったことでしょう。さぞ恋人は選び放題かと思いきや、彼が持った妻はたった一人。楊容姫という女性です。二人は潘岳12歳、楊容姫10歳の時に婚約。後に結婚し、潘岳は生涯妻を愛し続けました。一途なイケメンとは、もはや好感度の塊ではないでしょうか。

さて結婚して20年余りで楊容姫は先立ってしまいます。潘岳が妻を悼んだ詩『悼亡詩』を発表すると、人々の心を打ち後世に残りました。妻をヒロインに、幼馴染みからの溺愛系ロマンスを見てみたいものですね!

伴侶に恵まれ、詩人として高く評価された潘岳。しかし晩年は政治クーデターに巻き込まれて命を落としました。

【潘岳を演じた俳優は?】
ドラマ「桃花落尽与君还(原題)」で潘岳をモデルにした人物「潘琅」役として若手俳優のリウ・ジャオホン(劉釗宏)が抜擢され、その美しさと立居振る舞いから、古代No.1イケメン役にピッタリだったと評価。今後が期待される俳優の一人です。

他、中国のネットメディアでは、潘岳を演じてほしい俳優にユエン・ホン(袁弘)やイー・ヤンチェンシー(易烊千璽)の名が挙がっています。潘岳は誠実そうな雰囲気で、目鼻立ちがくっきりした落ち着いた人物という印象を持たれているようですね。特にユエン・ホンは中国のネット記事で潘岳像として使用されているイラストにソックリだと言われています。

「二人の王女」ユエン・ホン
ユエン・ホン
「二人の王女」より ©長城影視股イ分有限公司



中国古代四大美男・4人目
中国史上・最古級の美男
宋玉(生没年不明、紀元前3世紀の人) 
戦国時代の詩人

潘岳の美男子ぶりを伝える言葉「貌似潘安」にはセットになる言葉があります。「情如 “宋玉”」「顔如 “宋玉”」「美如 “宋玉”」……そう、この宋玉という人物もかなりの美男子として知られているのです。

潘岳とセットで語られがちな宋玉ですが、彼が生きた時代は、さらに昔の紀元前3世紀! 彼は美貌と才能を一身に集めた「中国史上・最古級の美男」として歴史に名を刻んでいます

まずは才能の方を見てみましょう。宋玉は楚の国で活躍した詩人で、天才詩人・屈原の弟子と言われています。名作「九弁」、「高唐賦」、「神女賦」は宋玉の作だと伝えられており、後世では「屈宋」とセットで呼ばれることも。詩人として高く評価されているのです。

残念ながら彼の肖像画等は残っていないそうですが、美男子ぶりを示すこんな逸話が伝えられています。

宋玉を失脚させようとしたある役人が楚王にこう進言しました。「宋玉という男は美しいだけでなく、話も上手。天性の女好きに違いない。彼を決して後宮に入れてはなりません」

これに対し、宋玉は故郷でのエピソードで反論します。「私の家の隣には、誰もが魅了される絶世の美女が住んでいました。彼女は私の気を引こうと、3年間、うちをのぞき見していましたが、私は心動かされることはありませんでした。こんな私が女好きと言えましょうか」

得意の話術も相まって宋玉の女好きという疑いは晴れました。頭の回転が早く、才能豊かな宋玉でしたが役人には向いていなかったようで、最後は朝廷を去り、失意の中で人生を終えたと言われています。

【宋玉を演じた俳優は?】
宋玉は「ミーユエ 王朝を照らす月」に登場。ジェン・イェチョン(鄭業成)が演じています。ジェン・イェチョンはその後、「三千鴉の恋歌」でブレイク! 「太陽と月の秘密~離人心上~」にも主演し、「鶴唳華亭<かくれいかてい>」と話題作への出演を重ねています。そんな彼を中国史きっての美男子役に起用するとはプロデューサーの慧眼には「さすが!」の一言です。

「太陽と月の秘密」のジェン・イエチョン
ジェン・イェチョン
「太陽と月の秘密~離人心上~」©Jetsen Huashi Wangju Media Co., Limited

今回の記事では、中国古代四大美男を紹介しました。皆さんの心を動かした人物はいましたか? 流行りのビジュアルは時代によって異なるものですが、中国古代四大美男は魅力的な容貌だけでなく、指導力、性格、文才など特技や人柄も高く評価された人物でした。だからこそ時代を越えたイケメンとして後世まで伝えられているのかもしれませんね。

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Text:沢井メグ(ライター/中国語翻訳者)
大学で中国語と出会い上海留学、上海万博での勤務を経てライターとなる。エンタメ系を中心に中華圏のニュースの執筆、取材、翻訳。主な訳書に台湾ドラマ『いつでも君を待っている』の原作『用九商店』(トゥーヴァージンズ)等
Twitter  @Megmi381

今回コラムに登場したドラマは・・・
「蘭陵王」
「霜花の姫~香蜜が咲かせし愛~」
「三千鴉の恋歌」
「太陽と月の秘密~離人心上~」

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