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シン・ソクホ「撮影の途中で、僕が主演だと知った」 映画『イントロダクション』オンライン舞台挨拶レポート

第71回ベルリン国際映画祭銀熊賞(脚本賞)受賞した、ホン・サンス監督の長編25作目『イントロダクション』の公開記念オンライン舞台挨拶が6月24日、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町で行われ、主演のシン・ソクホが参加した。

『イントロダクション』は、モラトリアムな時期をさまよう青年を主人公に、前作『逃げた女』の変奏ヴァージョンとも楽しめるモノクロームの青春映画。主演のシン・ソクホは、建国大学映画学科でホン・サンスの元で学んだかつての教え子であり、ホン監督作品『正しい日 間違えた日』にスタッフとして参加、『草の葉』、『川沿いのホテル』、『逃げた女』に出演してきた。そして本作『イントロダクション』で初主演を飾り、将来に思い悩みながら、父、恋人、母と再会を果たしていく青年ヨンホを演じた。


 
オンラインで舞台挨拶に参加したシン・ソクホさん

シン・ソクホさん(以下、シン・ソクホ) (日本語で)はじめまして、『イントロダクション』のヨンホ役を演じたシン・ソクホです。

―  まずは、本作の主演が決まった経緯についてお聞かせください。

シン・ソクホ 特別なオファーがあったわけではなく、最初は今までの作品と同じ感覚で参加しました。今回も俳優よりスタッフとしての比重が大きいだろうと思っていたんです。でも撮影が進んでいくうちに、ホン・サンス監督から「(シン・ソクホ演じる)ヨンホの分量が増えるよ」と言われて、撮影の途中で僕が主演なんだと知りました。

―  最初は主演だと知らなかったという事ですか?

シン・ソクホ ホン監督の現場では、事前にすべてのシナリオが渡されるわけではありません。その日その日のシナリオが渡されるので、誰が主演で誰が助演かもわからないまま撮影することがほとんどなんです。今回も事前にそういった話はなく、少し出演するぐらいだろうという気持ちでした。

―  自分が主演だと知ったときのお気持ちはいかがでしたか?

シン・ソクホ 初めての主演だったので、言葉では表現できないほどのプレッシャーを感じました。ただホン監督の現場には親しみがありましたし、スタッフや俳優の先輩方もアドバイスをくださって。次第にプレッシャーより責任感が大きくなりました。


『イントロダクション』© 2020. Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved

―  当日に台本が渡されるとのことですが、俳優として大変ですか? それとも、面白さを感じられますか?

シン・ソクホ 正直に言うと…100%「面白い!」とは言えません(笑)。最初は「僕が演じることで映画に迷惑をかけるのでは」と心配も多かったですが、その状況に慣れてくるとプレッシャーよりも「今日はどんな内容が書かれているんだろう」という気持ちが大きくなって。まるで本を読んでいるような、そんな風に撮影に臨むことができました。

―  完成した『イントロダクション』を初めてご覧になったとき、いかがでしたか?

シン・ソクホ 初めて作品を観た時は、観客の目線ではなく出演した側の目線で観てしまって。映画を楽しむより、個人的に「ここはもっとうまくできたのに」と、そういうところばかり探してしまいました。

―  ホン監督の作品といえばお酒が欠かせない存在ですが、本作でもお酒のシーンがありましたね。

シン・ソクホ あのシーンは、本当のお酒を飲みながら演技しているんですよ。本作だけでなくホン監督の現場では、俳優たちは実際にお酒を飲んで演技をします。でもホン監督は無理に飲ませることはせず、俳優自身がコントロールできる範囲に留めます。途中で俳優がお酒の影響を受けてきたと思ったら、ホン監督からカットがかかるんです。

―  演じられたヨンホはあまりお酒が強くなさそうでしたが、シン・ソクホさんはいかがですか?

シン・ソクホ 僕自身も実は苦手なんです。ホン監督もそれをご存知なので、無理に飲ませることはしませんでした。お酒にとらわれずに演技ができるよう配慮してくれましたね。ほろ酔いで演技が出来るように、あのシーンの撮影時に飲んだのは焼酎の瓶の半分ぐらいでした。


『イントロダクション』© 2020. Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved

会場からの質問① ホン監督の作品では、台詞の言い回しがゆっくりに感じられるのですが、言い回しに関してなにかディレクションがあるのでしょうか?

シン・ソクホ ホン監督からそのようなディレクションはありませんでした。ホン監督から強い希望があるときは、特に意図は説明されずに「こういう状況だからこんな風に話してくれ」というような簡単な説明だけがあります。ただ、少し変に感じたり意図と違わない限り、ホン監督は演技を止めることはしません。他にも、現場で急に何かを変えたり、急いでディレクションするという事もほとんどない方です。

会場からの質問② ご自身がホン監督のスタッフや俳優に起用されたのは、どのような点からだと思いますか?

シン・ソクホ 学生としてホン監督の授業を受けていた当時、僕がクラスの委員長的な役割をしていたんです。黙々と責任感を持って委員長の仕事をしていたので、恐らくその姿を見て声をかけてくださったんだと思います。

会場からの質問③ 俳優としてスタッフとしてホン監督の作品に参加されてきたシン・ソクホさんからみて、ホン監督の映画づくりの現場の面白さはどういうところでしょうか?

シン・ソクホ 「明日は何を撮るんだろう?」という期待を抱かせてくれるところが面白いと思います。また、ホン監督が映画を考えるときの姿勢や心構えからも、参加するたびに多くのインスピレーションを頂いています。ホン監督は映画を単なる手段ではなく、映画とは本当に純粋なものだと考えているんです。いつも事前にシノプシスの説明があるのですが、これが本当に「簡単に」なんです。それは、最初から「この映画はこうだ」と先入観を与えるのではなく、映画を観た観客が感じたままに心を動かされてほしいと考えているからだと思います。


『イントロダクション』© 2020. Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved

―  残念ですがそろそろお時間がきてしまいました。最後に会場の皆さんにメッセージをお願いします。

シン・ソクホ このように映像を通してでもご挨拶させていただき、本当に嬉しいです。次回また『イントロダクション』のように素晴らしい作品をもって、日本で直接ご挨拶できる機会があれば嬉しいです。(日本語で)おやすみなさい。

『イントロダクション』
2022年6月24日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開!
監督・脚本・撮影・編集・音楽:ホン・サンス 
出演:シン・ソクホ、パク・ミソ、キム・ヨンホ、イェ・ジウォン、ソ・ヨンファ、キム・ミニ、チョ・ユニ、ハ・ソングク
2020年/韓国/韓国語/66分/モノクロ/1.78:1/モノラル
原題:인트로덕션 英題:Introduction 字幕:根本理恵 配給:ミモザフィルムズ
© 2020. Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved
http://mimosafilms.com/hongsangsoo

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